第3話(オオイシタツルの小説)

 俺には、今22人の仲間がいる。俺を入れて23人だ。

 協力すれば、このゲームの本来のルールではクリアすることも可能だ。理由は、この動画を見てもらえばわかると思う。(先ほどの動画のURL)


 簡単に言えば、7人以上のグループが、同じコンビニに集まり、お互いに★をつけ合えばいい。

 例えば7人でそれを行ったとして、全員が全員に★を3つずつ与えたとしよう。

 すると自分以外の6人からの★が3ずつ入ることになる。つまり、18個の星が7人全員に入る。そして、流通する★の数だけプロデューサーが出るので、18✕7。つまり126匹のバケモノが出てくるわけだ。こいつらを倒す。

 7人で協力しながら3匹ずつ、順番に倒していけば、難しいことではない。

 これだけで、144個の星が全員に入るから、★100個という目標は達成される。

 しかし「ある決まり」によって、その7人全員が助かる可能性は殆どゼロだ。

 理由はもう少し下に書く。今は、「全員が★100個以上集めることは、これだけの人数が集まればたやすい」ということを分かってくれ。


 しかし、これだけの人数の規模になると、簡単にそれをできない。なぜならそのルールに則れば、助かるのは23人のうちの7人だけだからだ。

 この中の16人が助からないということになってしまう。

 それでも俺が、移動を続けて、そのたびに移動先のコンビニにいる奴等を説得し続けて、これだけの仲間を増やしたのには理由がある。


 さっき書いた、全員が助かる方法を実行するためだ。


 まず、助かるのは7人という話だが、なぜ7人だと思う?

 「7」という数字はどこから来るものだと思う?


 このゲームのキーになっているサイト「カクヨム」をよく見れば答えは分かる。


 ジャンルの数だ。


「ファンタジー」「SF」「恋愛・ラブコメ」「現代アクション」「現代ドラマ」「ホラー」「ミステリー」


 「カクヨム」にはこの7つのジャンルがある。


 みんなの小説も、この中のどれかに属しているはずだ。

 どれになるかはわからない。ちなみに俺は現代ドラマだ。


 そして、このゲームは、わかりやすく言うと、コンテストだ。


 各ジャンルの中の先着1名ずつが元の世界に戻れるというシステムになってる。

 「ファンタジー」から1名。「SF」から1名。という具合だ。

 つまり、ライバルは同じジャンルの小説が設定された高校生たちというわけだ。


 先ほどの例でいえば、7人でグループを組んだところで、同じジャンルの人がひとりでもいれば、★100個集めても、全員は助からないということになる。


 そうなれば、ジャンルがかぶっている人は協力しないだろ? 自分以外の誰かが先着でクリアしてしまって、たったひとつのイスが消えるかもしれないんだから。


 「7人一組になって、奇跡的にその7人が別々のジャンルだった」という場合のみ協力体制が取れるが、可能性はゼロに等しい。

 大抵は7人集めても、「SFとミステリーが2人ずつかぶった」「ホラーが3人いた」などの重複が起きる。その段階でこの戦略は機能しない。


 8人以上が集まった場合も同様だ。必ず助からないやつが出てくる。


 このゲームは、協力すると有利だが、協力させないように作られている。

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