第十八話 想い人
マキは、オルフェスの部下であるアリシアと共に、旅を続けていた。とはいっても、ケフェウスまでの道のりはもうそれほど長くはない。
野営地を立つ際、オルフェスは、マキに女物の薄い陽射しよけの布をくれた。
「黒髪は目立ちすぎる。それにその美貌は、飢えた男達の格好の獲物だぞ。これで髪と顔を隠すがいい」
オルフェスがなぜ、女物の陽射しよけを持っていたのか、マキはあえて尋ねなかった。
聞かなくても想像がつくこともある、と思ったからだ。
マキが乗ってきた馬は、近くの村で借りたものだったが、親切なエイカーが返してくれると申し出てくれた。そんな彼らのマキに対する態度を、アリシアは憮然とした表情で見ていたことを彼女は知っていた。
アリシア自身は、オルフェスの部下という立場のため、マキのように扱われることはないと自覚はしていても、女としての容姿が既に負けていると思わざるを得なかった。
そう思うほどに、彼女の中に認めたくない嫉妬心がわき起こるのを感じていた。
野営地を出てから一日、二人は黙々と歩いた。昼に何を食べるとか、道はこちらだとか、どこの村まで行くかとか、最低限のことは話しても、自分自身の事を語りはしない。
顔を布で隠した女と、剣を持った女。
アリシアはまるで、自分がマキのお供をしているかのように思えて不快感を感じていた。マキから何かを話しかけられても「さあ」「お好きに」「良いのでは」「そうでしょうね」とまるでそれしか言葉を知らないように応えるだけである。
しかし、マキもそのあからさまなアリシアの態度に、思わず「帰って頂いて結構です」と言いたいのを我慢していた。
そんな二人の関係が少し動いたのは二日目の朝だった。
街道筋の小さな村の宿に泊まった二人は、早々に朝食をとるとお互いに無言のままに支度をして宿を出た。
ほどなくして、街道筋に立てられた行き先を書いた看板の下で、小汚い格好の十歳くらいの女の子が泣いているのを見つけた。
他の旅人も、先に歩いていたアリシアも一瞥して通り過ぎようとしたが、マキはその女の子に優しく声を掛けた。
「どうしたの?」
手で顔を覆って泣いていた女の子は、涙と鼻水で汚れた顔を上げてマキを見た。
「……お母さんが、お母さんが…」そう言って彼女は声を上げて再び泣き始めた。
「ちょっと!寄り道なんて勘弁してよ。さっさとあなたをケフェウスに送って、私は戻りたいんだけど」アリシアは苛立ちながら、足を鳴らして戻ってきた。
「子供が泣いているんだもの。理由くらい聞いてあげた方がいいと思わない?」
アリシアの態度にマキは少し怒ったように言った。
「村の子供でしょ。あなた、村に戻って助けて貰いなさい。私達はとても急いでいるの」アリシアは子供を見下ろして言った。
「そんな言い方は無いと思う。ね、私が聞いてあげるから、どうしたの?泣いてばかりではわからないから」マキは手拭いを出すと、女の子の顔を優しく拭った。
「……お母さんが、連れて行かれたの…」そう言って彼女は嗚咽を上げた。
「連れて行かれたって、誰に?」
「鎧を着た人」
「鎧?この周辺の巡回警備士かしら。どう思う?」
「私が知るわけない」
アリシアの態度に、マキは思わず声を張り上げた。
「あなたは、同じようなことがオルフェス様のアルフィルク領で起きても放っておくの?」
「ここはアルフィルクじゃない!」アリシアが怒鳴り返した。
「でも、同じ帝国でしょ!」
「土地ごとの決まりがあるのよ!どこでも一緒なんて、帝都暮らしのお嬢様の考えそうなことよ!」
「だったら、あなたはどうなのよ。オルフェス様は言っていたけど、あなたは初めてアルフィルクを出て、ここまで来たって。そんなあなたが他の土地の事を知っているなんて思えない。私は父さんの隊商に付いて、色々な土地をまわっているもの。少なくとも、あなたより経験がある」
「なによ、男を追って男に追われるようなあんたが!」
「あなただって、早く戻りたいのはエイカー様に会いたいからでしょ!」
「なっ!」アリシアは耳まで真っ赤になり、顔をそらした。
マキは言い過ぎたと思いはしたが、口げんかで負けるようなら、貴族のユーリに啖呵を切ったりはしていない。
泣いていた女の子は、二人の剣幕に泣くことを忘れ、口を開けて事の成り行きをただ見ていた。
そっぽを向いてブツブツと何かを呟いているアリシアを放って、マキは改めて女の子を見た。
長い髪はぼさぼさのまま編み込まれたらしく、あちこちから枝毛が飛び出し、涙で腫れた眼は、アウストラリス人とは少し違い、褐色がかっていた。
服はところどこにほつれ、履き古したと思われる革靴はつま先が削れ、横が少し裂けている。
「お名前は?」
「リサ」彼女は小さく答えた。
「リサね、どこから来たの?」
リサは躊躇いがちに、ケフェウスの方向を指した。
「ケフェウス?」
「あの壁の街には行ったことない」
「そっか。それでお母さんと一緒に来て、お母さんだけが鎧の人に連れて行かれたのね?」 リサは頷いた。
「その鎧の人はどんな感じだった?」
「よくわかんない。二人いたの。お母さんはすぐに帰ってくるっていったの。昨日の夜」
「昨日!?」マキは驚いた。春とはいえ、山に近い街道筋はかなり冷える。リサがどうやって一晩過ごしたのかを想像したが、彼女の髪に付いている藁を見つけて合点がいった。辺りを見回すと牧草地や畑に積まれている藁の山がいくつかあったからだ。
「イズモ、ちょっと来て」突然、アリシアがマキの腕を掴むと強引に引っ張った。
「ちょ、ちょっと…」
リサから少し離れると、アリシアは溜息をついて囁くように言った。
「少しは想像つくでしょ?」
「どういうこと?」
「アルフィルクでもあることだから…あの子の母親は多分、身体を売りに行ったと思う。つまり、娼婦だよ」
「ちょっと…そんなことって」
マキが言い返すのを制して、アリシアは少し気まずそうな顔をしてから、リサを見て諦めたように続けた。
「村にもいくつかそういうところはあるけど、巡回警備士達はそんなに給金が高くないから、ああやって流れの娼婦を買うことがあるって。それが良いことかどうかなんてわからないけど、ケフェウスに入れないってことは、身分証明書も持っていないってことだよ。それにあの子の眼の色は、たぶんリーンとの混血じゃないかな。だから…」
「だから放って置けってこと?」
「簡単に言えば」
「今の話、あなたの憶測でしょ?」
「それは…そうだけど」
「ねえ、お願い。あの子を助けてあげて。こんなところに一人でいるなんて可哀想じゃない」
アリシアはマキを見つめた後、再び溜息をついた。
どうあっても、リサを助けるというマキを諦めさせるのは無理だと判断すると、アリシアは「オルフェス様なら女性は放っておかないか」と呟いた。
「それはそうでしょ」マキが微笑むと、アリシアはその美しい笑みになぜか顔を赤らめてしまった。
「で、どうしよう?」
三人はとりあえず、看板が見える街道筋の横を流れる小川のほとりに移動した。
「母親を探すしかないと思う」
そうは言っても、といったところである。アリシアは困惑しつつ、最善の策を考え始めた。
彼女とて剣士の一人であり、剣術のみならず学問も怠らずに精進してきた身である。
何よりも、マキ・イズモという女には負けたくないという、嫉妬心ではない競争心が芽生え始めていた。
「状況を整理しましょう。リサ、こっちに来て。あなた、昨日から何も食べていないんじゃない?」マキが尋ねると、リサは頷いた。
「これをあげる」マキは荷物から、泊まった村で買った弁当を出した。毒消しの葉で包まれた干し肉と芋と茎野菜の煮物、水で戻す干し飯をリサの前に置いた。
「いいの?」
「もちろん」マキが頷くと、リサはゆっくりと干し肉を手に取り、味わうように食べ始めた。
空腹の時ほど、ゆっくり食べるという癖がついているようだった。
その間、マキは干し飯を水で戻し、芋を切り分けた。
「この先に確かもう一つ小さな村あったと思う。ケフェウスとの往復で見たから…そこで話を聞いてみよう」
「わかった、そうしましょう」
マキは頷きながら、安堵していた。アリシアが先に進むことを食い下がってきたら、そこで別れることも考えていたのだ。
旅は天気に恵まれていた。穏やかに雲が流れ、春の陽射しは心地良く、小川のせせらぎも長閑だった。
マキは帝都を出てから、アレスの足跡を追っていた。彼は彼なりに旅を楽しんでいることがわかった。宿屋や定食屋、土産物屋などで聞き回ると、大勢の旅人が行き交うにも関わらず、アレスのことを覚えている人達がいたのだ。
彼らはアレスについて一様に、おいしくて安い飯屋と宿屋を探している性格の明るい剣士、と面白そうに話してくれた。
マキはアレスを追うことで、自分が彼と同じものを少し遅れながらも見て、体験していることに気がついた。
それはどことなくむず痒く、少し照れくさい感覚だったが、自分が間違ったことをしていないという自覚にもなった。
もし、両親の言うがままに、あのユーリとの結婚を選んでいたらそうはならなかっただろうし、恐らくどこかで逃げ出していただろうと思う。
アレスはまだケフェウスにいるだろうか?
あの人は未だに、帝都の街角で最初に出会ったときのように冒険を続けているだろうか?
それを思うと、胸が高鳴り、会うことが楽しみになっていた。
同時に、女の子が大好きなアレスにとって、自分が重たい女となってしまうかが心配だったが、それを決めるのは彼自身であり、彼女ではない。
マキが小石を拾って小川に投げると、心地良い水音を鳴らした。
アリシアはそんな彼女を見て、自由さとその美貌で得られるであろう富と名声を捨ててまで追う男がどんな人物かに興味を抱いた。
野営地で少しばかり小耳に挟んではいたが、正直なところ、アリシアが顔も知らぬ男のことをあれこれと判断して何かを言うのは、さすがにマキに対して失礼だと思っていた。それだけに、彼女はマキとそういった話をしてみたいという思いが少なからずあったのだ。
アリシアの父マーレイは、アルフィルク領でオルフェスに仕える騎士団の団長である。若い頃からオルフェスに仕え、ライエ国との国境を守るために日々鍛錬し、騎士団を鍛え上げている。
ケフェウスに向かう数日前にも、ライエからの密入国者を追って、オルフェスと共に数人を倒したと言っていた。
何かがあればオルフェスはマーレイを連れて行く。アリシアは幼少の頃からオルフェスに可愛がられていた。
時折、昨日のような下品な冗談を言うのは辟易したが、年頃になってから見るオルフェスはマーレイより年上だというのに、随分と若く見えた。
癖のある髪を束ね、酒と女が好きで、いつも豪快に笑い、それでいて剣術の腕は凄まじい。マーレイに鍛えられたアリシアも、騎士団の一兵卒と互角、あるいは上ではあったが、剣を持って戦いを挑んだとしてもオルフェスには片手であしらわれるだろう。
彼女はそんなオルフェスを格好良いと思って慕っていた。
それが恋心かと言われると、そうでもあるようで、そうでもない。
そんなある日、突然マーレイからオルフェスに付いて、遙か南のケフェウスまで行くように、と言われたときは胸が躍ったのだ。
他に連れ立ったのは、若くして準執政官になったアイラ・ファローの弟であるエイカー達だった。
エイカーは実に気の利く男だった。どこか抜けているところもあるが、慣れない旅で少し体調を崩したアリシアにも良くしてくれた。それは誰にでも…と思っていたが、どうやら一番年下の彼女の勉強係としてオルフェスが命じたらしかった。
嫌な顔ひとつせずに、色々と教えてくれるエイカーに対して、アリシアは彼にオルフェスにはない格好良さを感じたのだ。
いつしか、エイカーを少しずつ目で追うようになったのを、オルフェスに看破された、ということである。
一度、そういう想いを抱くと、命令とは言え離れがたくなるのは仕方のないことである。
エイカーとはケフェウスでも、途中で立ち寄った帝都でも二人きりになることが何回かあった。その度に彼女は、かしこまった態度をとって、エイカーを苦笑させていた。
どうすれば、マキのように相手を追えるほどに、強くなれるのか、それが知りたかった。
アリシアはマキと同じように、小石を拾って小川に放り投げた。思った以上に飛ばず、川の手前の大きな石に当たって、乾いた音を立てた。
彼女は美しい水音を立てたのに、自分はこんな音か、と思わず苦笑いすると怪訝な顔をでマキとリサが見つめていた。
「あ、なんでもないから。そろそろ行かないと」
「ちょっと待って、リサの髪だけ整えてあげたいから」マキは櫛を手に、リサを小川の側に連れて行き、ほつれて編み込まれた髪をほどきはじめた。
「ああ」とアリシアは感心した。
同時に、自分にはそういうところが足りないのだと少しばかり自己嫌悪した。
髪を整え、顔を洗ったリサは大きい瞳と彫りの深い顔立ちで、南国特有の美しさを持っている少女だった。
二人は少しばかり、その変わり様に驚いていた。
言葉が足りない話し方が可愛く、なぜこんな子が…とマキは思わずにいられない。
彼女たちは小川のほとりを離れた。
マキはアリシアと一緒に考えつつ、リサと手を繋いで歩きながら、彼女から少しずつ情報を引き出した。
リサはあまり言葉がうまくない。
まとめて質問すると考え込んでしまい、返ってくる答えはひとつだけ、ということがよくあった。そのため、マキは言葉をかみ砕きながら質問し、得られた答えをアリシアとまとめていった。
まず、母親のサナが鎧の男とケフェウス方面に向かったことを聞き、アリシアが言っていた村に向かった。方向が同じなら、もし母親が戻ってきても出会える可能性がある。
さらにいくつか、リサに関することを聞き出した。
リサは十歳で、母親サナとケフェウスの近くにある小さな村に住んでいたこと。
父親はおらず、家は常に貧しいこと。
母親は時折見知らぬ男と少しばかりの間出かけてしまうこと。
そして、今回はいつもと違い、突然村を出たこと。
すぐに戻ってくると言ったこと。
アリシアは話をまとめながら、眉間に皺を寄せていた。
「そんな顔をしていると、皺が残るわ」
「かまわないよ。別にあなたほど美人じゃないし」少しばかり意地の悪い答え方をして、アリシアはしまったという顔をした。
マキは気にする様子も無く、肩をすくめた。
「ね、リサ」アリシアが言った。
リサはアリシアが話しかけてきたことが意外、というように彼女を見上げた。
その様子にアリシアは咳払いしてから、質問する。
「あなたの母親は本当にすぐに戻ってくると言ったの?」
「うん」
「待っていなさい、ではなく?」
「……わかんない」
「アリシア、どういうこと?」マキが尋ねた。
「この子はあまり言葉の細かい意味を理解できないみたいだからね。戻ると待つではちょっと違うと思わない?」
「確かにね」
「この子の話だと、やっぱり母親はその…だと思う」リサの顔を見て、アリシアは言葉を濁した。
「でも、帰ってこないなんて」
「イズモ、あまり大きな声で言いたくはないから」アリシアは立ち止まって、マキに耳打ちをした。
「そんなこと…」
アリシアの耳打ちにマキは言葉を失った。
「この子の器量ならあり得る話だと思う。悲観的な話だけど、そういうことはあるから。ねえ、あまり言いたくはないけど、あなたの結婚話も似たようなものでしょ」
「それは、そうだけど」
言葉に詰まったマキを見て、アリシアは自分が考えつく物事の多くが悪い方向性の話ばかりであることに、嫌気がさしていた。
もし、リサが無事、母親と再会して平和的かつ幸せな未来が待っているならそれに越したことはなかった。それでも、アリシアが思いついたことは貧しい農村家庭の人々が、器量よしの娘をどうするかなど、容易に想像できる話だった。
リサがいた場所から少しばかり疲れが出る頃に、三人が目的地とした村に入った。
五十軒ばかりの小さな村で、宿屋が辛うじて一軒あった。
「ここで少し待っていて。宿屋なら人の出入りも多いし、何かわかるだろうから」アリシアはそう言って、宿屋の古びた扉を開けた。
数人の旅人が若い女の来訪に目を向けたが、帯剣と肩当てにある紋章を見ると目を反らした。
受付にいるはげ上がった中年男に、アリシアは話しかけた。
「ご主人、少しばかり話を良いでしょうか。私はアルフィルク領オルフェス・ガフィーノ公爵様に仕えるアリシア・セラスと申します」
「はぁ、それはそれは。かの有名な公爵閣下の…何でございましょう?」男は目を細めて、アリシアを舐めるように見た。その行為に、不快さを感じたもののアリシアは続けた。
「実は先の村の側で十歳のリサという迷い子を見つけたのです。母親はサナといいます。
心当たりは?」
「…さてねぇ」
「では、この辺りの巡回警備士は鎧を着ていますか?」
「さあ、あたしはあまり外に出ないもんでして。たまに見かけるときは、着ていたような気もするけれども」
「ではもう一つ。この辺りに人買いがいたという話は?」アリシアがそう言うと、背後の旅人の何人かが動いた。
マキとリサは少しばかり話をしながら、宿屋の近くで待っていた。
突然、木が折れるような大きい音が響き渡り、宿屋の扉ごと、男が地面に放り出され、土まみれになりながら転がった。その後をさらに男が身体を反らしながら転がり出て、地面に倒れると動かなくなった。
三度、今度はアリシアが頭のはげ上がった中年男の数少ない髪の毛を引っ掴みながら、地面に放り投げた。
男は痛い痛いと喚きながら、目の前に立ったアリシアを見て「お許しください」と言って、地面に頭をこすりつて謝り始めた。
村人たちが何事かと集まるが、喧嘩と見るや否や物陰に隠れて様子を窺っていた。
「イズモ、この者達は人買いだ。この男は宿屋で人買いを仲介しているろくでなしだ!」
「それじゃ…」マキはリサを抱きかかえる。
「その人買いの話だと、鎧を着た連中は巡回警備士に化けているそうだ。細かいことは後で話すから、さっさと行こう」
「お、お母さん、どこ行ったの?」リサが悲しそうな目でアリシアを見つめると、彼女は困った顔をしてから跪いてゆっくりと話しかけた。
「リサ、私の話をちゃんと聞きなさい。あなたのお母さんはもういない」
「…いないって?どこに行ったの?」
「あなたを守るために、いなくなったの。お母さんにはもう会えない」
アリシアの真剣な眼差しに、リサの瞳にはみるみるうちに涙があふれ出した。
「いやだよ、いやだ!」
「アリシア、もっと…」
「あなたまでそんな目で見ないでよ」
アリシアは顔を背けた。
「私だってこんなこと言いたくなかった」
マキはしばらく黙ってから「ごめんなさい」と言った。
アリシアは首を振ると、二人を促すようにして歩き始める。
三人の心を映し出すように、傾きかけた春の陽射しが陰り始めていた。
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