みえる

 私には、幽霊が見える。




 彼らの見た目は、普通の人とあんまり変わらない。はっきりとした基準は分からないけど、なんとなく、雰囲気が生きてる人とは違う。

 見えるようになったのは、事故に遭った日のから。

 猛スピードで走る車に撥ねられたけれど、私には傷一つ無かった。けれど、その場には夥しい量の血溜まりができていた。

 他の人が、私を庇ってくれたのかな。けど、そこには私以外に人はいなかった。

 私は、いじめを受けている。

 みんなは、私を無視する。

 まるで、その場に居ないかのように振る舞う。

 仲の良かった親友も、教師でさえも、そのような扱いをする。

 給食の時間は、私の机に何も運ばれてこない。けど、お腹が空かないから気にしてない。

 父さんと母さんは、私を無視しない。でも、たまに私の居ない見当違いのところに話しかける。疲れてるのかな。

 ああ、そういえば、学校にも一人だけ私のことを無視しない人がいる。

 クラスメイトのオオタ君。

 彼には、霊感があるらしい。

 小学生の頃は、そのことでみんなにイジられてたけど、学年が上がるにつれてあんまりその話をしなくなった。今では、みんな忘れちゃったのかもしれない。

 授業中は、斜め後ろの方から視線を感じる。

 その方を振り返ると、オオタ君と目があう。そして、オオタ君はびっくりして、目をそらす……。




 ある日の放課後、帰り道をフワフワと歩いてた。

 私が事故に遭った場所も通った。電柱の根本には、花束が手向けられている。

 私も献花しないとな……。名前も知らない『誰か』だけど、助けてもらったんだから。

 なんて思ってたら、オオタ君に話しかけられた。

 いつの間にか、一緒に下校していた人たちは居なくなっていて、少し、ドキッとする。

「好きだ」と、ストレートに言われた。こういう体験は初めてだから、すごく照れくさくて恥ずかしい。でも、それ以上に、すごく嬉しい。

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