無題

 俺たちの通う学校には、魔物がいる。

 それは教室だったり、図書室だったり、特別教室だったりとどこにでも現れる。

 朝から夕方まで、俺たちがいるあいだは時間を問わずに襲ってくる。

 それはゆっくりじわじわと俺たちを蝕んだり、ある瞬間に突然襲いかかってきたりする。




 ある夏の暑い日だった。3コマ目の授業が体育で水泳だった。ひたすらクロールやら、平泳ぎやら、バタフライやらで泳がされた。昼休みを挟んだ4コマ目の倫理の授業。それは突然現れた。

 クラスメイトがひとり、またひとりと倒れた。

 ……!

 気が付いたときにはもう遅い。スッ……と、隣のヤツも倒れた。

 もう、ダメだ……。

 ゆっくりと意識が遠のく……。




「おいっ! おきろ!」

「!?」

 先生にパコッ! と頭を教科書で叩かれた。

「……?」

 隣のヤツはいつの間にか起きていて、したり顔でこちらを見て居やがる。

 ……チクショウ。

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