実習期間中 第1週 7日目





                      平成○○年 6月10日(日曜日)







 彼女は朝から天気が良かったので、午前中だけ少し気分転換に外出しようと決め、久しぶりにカメラを首から提げ、あてもなくブラブラと出歩き、気になるのがあれば写真に撮りつつ地元を散策していたら、お昼前になったので、近くのパン屋で昼食を買い、そのまま大きな自然公園へ入ると、公園のベンチに腰を下ろし、飲み物片手にその場で先程買ったばかりのパンを食べた。










 すると

初夏の風が気持ちいい晴天の下、スケッチブックに向き合う【少年】を見つけて



 少し離れてはいたが、彼女はすぐに気付いた。

 『あぁ、あれは大瀧河君だ。』と。




 最近何かと気になり見ていて、それに見た目から印象的だったので、忘れる事なく憶えていられた。











 彼女が居る【緑黄地自然公園】は、実習先の中学校からだいぶ離れていたが、この辺りでは大きくて有名な自然公園だったので

『大瀧河君の家って、学校から離れてるけど、この辺りなのかな。』

『今日も暑いのに、ずっと絵を描いてるみたいだけど、大丈夫かな?』

『もしかして、わざわざ絵を描きに、此処まで来たのかな?』

『休日でも絵を描いてる位だから、やっぱり絵を描くのが、好きなのかな。』

『一体、何の絵を描いてるのかな?』等と考えながら

 彼女はベンチに座ったまま、ボンヤリと彼の様子を眺めていた。













 教育実習中の学外だったので、声を掛ける事はできず、ただ遠くから見ていただけだったが、ふと彼女は【自分のすべき事】を思い出して、そのまま急ぎ帰宅した。
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る