実習期間中 回想 ~覚悟を決めて~ 





 彼女は

児童養護施設で暮らしながら、そのまま近くの公立小学校へと通っていたが




 永らくの間、ずっと誰とも関わろうとはせず、物静かに大人しく独りきりで居て、周りからは『少し浮いた存在』となっていた。






 だがある時

一緒に暮らし始めてから、周りに居た職員の誰かが、彼女の異変に気付く。











 彼女はずっと口を閉ざしていたが

彼女の事を改めて詳しく調べ検査してみたら、彼女が抱える事情の【色覚異常】が、分かってきた。






 すぐさま職員は

【事実】を保護者の父親に確認し、学校側にも連絡して『彼女の事』を相談した。










 父親曰く

娘に「この事を、周りには秘密にして隠すよう。」言ったのには、理由があった。


『これ以上はもう娘の事を、好奇の眼差しで見てほしくなかったから。』

『これ以上はもう娘の事を、好奇の目に触れさせたくはなかったから。』


 それは

父親としての『想い』で、『娘の平穏無事な暮らし』を切に願ってだった。







 この言葉は

父親から直接聴いたのではなく、『施設長』が後になってから教えて下さった。























 後日。

彼女がいつものように学校へと登校したら、『担任の先生』に声を掛けられて、

職員室で『他の先生達』を交えながら、少し話をした。








 その後、朝のホームルームで、先生の口からクラスメイトへと

『彼女が【色覚異常を抱えている事】』を伝えられた。



 先生は続けて

『彼女が困っている時は、手助けをしてあげるように。』と児童にお願いをした。






 その日を境に

周囲の見る目や対応等の、彼女を取り囲む環境は変わり、ミエナイ彼女を心配して、周りから声を掛けられ、気遣われるようになった。











 こうして

大きな変化はあったけれども、それでも暫く彼女は、平穏な日々を過ごせた。






 周りが彼女に対して やさしかった  から。


















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