実習期間中 第2週 10日目~11日目





                     平成○○年 6月13日(水曜日)

                             ↓

                           6月14日(木曜日)







 晴れたある日の放課後。







 彼女が

1人で廊下を歩いていると、外から、少し大きめの音量で、音楽が流れているのが

聴こえ、廊下の窓を開け、外に顔を出したら、玄関から少し離れた場所で、生徒が

踊っていた。




 すると

彼女に気付いた生徒の中から

「サエちゃんも一緒に踊ろうよ!」と誘われるが、その場では、教育実習生なので

丁重に断ってから、職員室へと戻った。



















 その後

山田先生に、生徒から、ダンスに誘われた事を話すと

「あぁ、多分それは『ダンス部』の子たちでしょうね。

 少しだけでしたら、一緒に踊ってみたらどうですか?

 貴女にとっても生徒達にとっても、良い刺激や経験になるのではないかしら。」

優しく、彼女へ諭すように仰った。




 山田先生は

普段は陸上部の顧問をしていて、放課後には陸上部の練習に顔を出していらしたが

 その他にも

生徒から頼まれて、自主的に組んで活動している【ダンス部の顧問】のような事も

引き受けていらしたようで、普段の部員達は、学外にあるダンススクールに通って

練習をしながら


 時折

練習場所に、学校のグラウンドと校舎の間や体育館脇の小さなスペースを利用して

大会前や練習が休みの日に、自主練習をしているらしい。





















 翌日

昨日声をかけてくれた生徒に、話しかけて


 その日以降

放課後の時間がある時は、中・高・大学で部活やサークルではないが、ダンス経験があったので、ダンス部の生徒や見学していた周りの生徒と一緒に、少しだけ踊った。























 放課後の2年3組の教室では

大体いつも【大瀧河君】が、スケッチブックに向かって、何かを描いていた。


 たまに

スケッチブックの両面見開きを使って、1枚の大きな絵を描いているようだった。







 あの日以来

生徒が話しているのを、聴いた限りであるが、やはり周りは、彼が描いている絵を

一度も見た事がないらしくて


 実習中

『養老先生』の言葉通りではあったけれども、彼が、誰かに絵を見せている姿を、

一度も見かけた事がなかった。















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