無題

「やあ、こんにちは。……君はドコから来たの?」

 わたしは返事はせず、上を指す。

「フフッ、じゃあ君は天使ちゃんなのかな?」

 ……なに言ってんだろう、この人。




 お腹すいたなぁ。そろそろ、お昼にしようかな。

 そんな思いでフラッと外へ出たら、道に迷ってしまった。

 見渡す限り人がいない。殺風景でイヤなカンジで、不安になるトコだ。

 そしたら、冷たいコンクリートの上で、足を投げ出して座っているお姉さんが居た。

 突然後ろから声をかけたのに、全く驚かずに「やあ、こんにちは」と返された。さらには「天使ちゃん」なんて言ってきた。……だいぶキてるのかな?

「お姉さん。大丈夫?」

「ダイジョウブじゃないよ。……そりゃ、こんなにカワイイ幼女に声かけられちゃテンションあがるよ!」

「お姉さん、分かるの?」

「? ……そりゃ、見りゃ、ね」

「ふーん……ヘンな人」

「よく言われてたよ。そうでもないと思うんだけどな……」

「……どうして、この辺りには誰もいないの?」

「うーん……ここの星の人たちはね」

 お姉さんは、お昼の献立を考えているような表情をして。

「お互いに滅ぼし合ったんだよ」

 と、軽く言った。本当に、何でもないかのように。

「少なくとも、この辺にはあたし以外居ないよ。……昔は、青くて、キレイな星だったらしいよ。自分で見た事ないからわかんないケド」

「綺麗な星だったよ。……わたしたちの星よりは」

「へえ、そうなんだ。……君はどこの星から来たの?」

「カセイって呼ばれてる星。お姉さん、わたしたちのトコに来る?」

「……君みたいなカワイイ子の住んでるトコなら、退屈しなさそうだね!」

 ……お昼ごはんを探して出かけたのに、結局、ヘンな人を連れて帰ることになった。

 さて、お昼はどうしよう。……あっ、今、迷子になってたんだ。






お題

・出会い ・昼ごはん ・火星

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