第14話 ㉙

「わかった。君は私達を楽しませてくれたからね。この人を、殺すのはやめて上げよう」

 理科室の床にへたり込んでいる沙月の前で、美奈が言った。

 それは沙月に向けられた言葉ではないようだったが、沙月のことを見逃すと言っているように、沙月には聞こえた。

 自分は何もされずに済むのだろうか、不安の中に示された僅かな希望が、果たして信頼に足るものか、沙月は迷った。

 美奈が微笑んで、沙月を見る。沙月の全身に鳥肌が立った。

 美奈が一歩近付く。沙月はへたり込んだままずり下がる。

 美奈が沙月を見ている。理子の返り血で真っ赤に染まった顔の中に、白い眼球がぽっかりと浮かび、その中の黒目が沙月に焦点を合わせていた。その目の中に沙月は、強烈な悪意を感じ取った。それは自分を見逃そうとしている人間の目ではなかった。蛙を見つめる蛇の目に違いなかった。

 沙月がずり下がる。美奈がゆっくり近付いていく。沙月がずり下がる。

 力の抜けた手足でいくらずり下がっても、立って歩いている美奈から逃げられるはずがなかった。美奈は沙月が必死になっているのを楽しむように、ゆっくり、ゆっくりと沙月に近付いた。沙月は必死で声を上げるが、喉も痺れて、ちゃんと大声を出すことが出来ない。

 沙月は理科室の扉に向かって一心に体をずり下げていく。美奈が悠々と追って行く。完全に、手も足も出ない沙月を、いたぶっている。絶対的弱者を、上から見下ろして愉悦に浸っている。

 ずり下がって、沙月が黒板の傍に来た時、ふと視界に細い金属棒が入った。それは天井に吊るされた、巻き上げ式のスクリーンを引き下ろすために使うもので、先がフックになっている。それが、黒板の桟の端に引っ掻けてあった。床にへたり込んだ状態でも、簡単に手に取ることが出来る。

 理科室のその棒を沙月も触ったことがあって、軽いアルミ製ではなく、そこそこの重みがある固い金属の棒だった。もしそれで思い切り殴りつければ、人に致命傷を与えることも出来るだろう。

 沙月は僅かに視線を動かして棒の位置を確認する。悟られぬように、すぐに視線を美奈に戻す。美奈が、力のない者を見下す目で沙月を見ている。完璧に油断していた。

 沙月の中に、急に闘志が湧いてきた。

 痺れたように力の入らない手足に命令する。動け! 動け!

 黒板の傍で動きを止めている沙月に、美奈が返り血に濡れた顔をゆっくりと近付けてくる。

 跳ね上がるように沙月は立ち上がった。立ち上がり際に棒を掴む。そのままの流れで振りかぶり、振り下ろす僅かな間に、沙月は美奈の驚愕の表情を見た。完全に虚を突いた。

 金属棒が美奈の脳天を捉える。激し衝撃が金属棒を走る振動となって沙月の手に伝わる。確かな手ごたえだった。美奈の頭から血が噴き出す。美奈は大きくふら付きながら、しかし倒れなかった。

 沙月はすぐに、少し前に見た光景を思い出した。

 美奈は怪我を治すことが出来る。沙月はもう一度振りかぶると、今度は横薙ぎに金属棒を振り回した。美奈のこめかみに棒の先のフックが突き刺さり、そのまま振り抜かれる金属棒が美奈の頭部を引っ張り、その顔面を黒板に叩きつけた。フックを引き抜き沙月が大上段に振り上げる。フックに抉り取られた肉が天井に飛ぶ。

 顔面で黒板に寄りかかっている美奈の頭をめがけて、沙月が金属棒を振り下ろした。棒が何かを砕いた感覚が、はっきりと手に伝わった。美奈の頭は黒板を擦って落ち、桟にぶつかって弾み、そのまま体ごと倒れた。床に転がった美奈の頭から、血と、どろりとした肉が零れた。

 沙月は肩で息をしながら、倒れている美奈を見つめた。また動き出すのではないかと緊張が切れない。沙月の呼吸が少しずつ落ち着いていく。美奈が再び立ち上がる気配はなかった。

 途端に、沙月の体中の力が抜けた。慌てて金属棒を杖にして堪える。今にもまたへたり込みそうだった。そして今へたり込んだら、しばらくは立ち上がれない気がした。強い緊張からの解放に、膝が笑っていた。

 とにかく、早く誰かを呼ばなければならない。ここで起きたことを上手く説明出来るか、出来たとして信じてもらえるか、それは沙月にはわからなかったが、すぐに誰かの助けが欲しかった。誰かに傍に来て「もう大丈夫だ」と言って欲しかった。間に合うかどうかはわからないが、理子に救急車も手配しなければならない。沙月は声を上げようとしたが、喉が渇いて張り付き、まともに声が出せなかった。

 沙月は震える体を金属棒の杖で支えながら、理科室を出た。理科室の傍にあるのは家庭科室等の専門教科のための教室で、都合の悪いことに、この時間に授業で使われている場所はなかった。沙月は力を振り絞って、別棟にある、通常のクラスの教室を目指した。

 今にも手足から完全に力が抜けてしまいそうだった。理科室と通常の教室の間がこんなに遠いと感じたことはなかった。しかしこれは先程までの、美奈に迫られてずり下がっていたのとは違う。教室には授業中の教師も生徒もいる。一歩一歩が、希望に近付いていく歩みだった。

 沙月はようやく教室の前に辿り着き、安堵して扉の窓から中を覗き込んだ。

 沙月は危うく金属棒の杖を取りこぼしそうになった。

 教室の中には、確かに授業中の生徒達がいた。しかしその生徒達が、立って授業をしている教員も含めて、全員、美奈の顔をしていた。

 しかもその教室に並ぶ席を埋め尽くした美奈達が、一様に沙月の方を見つめていた。体はきちんと席に着いたまま、頭だけを沙月に向けて見つめている。

 ひっと息を飲み。沙月は窓から見えないように身を避けた。全身ががくがくと震えた。自分がいることを、教室の中の美奈達は気付いている。今にも扉を開けて、美奈の手が自分を掴むのではないだろうかと沙月は恐怖した。

 沙月の呼吸が一気に荒くなる。沙月は金属棒を強く握りしめた。美奈はやはり化物だったのだ。もはや学校中の生徒が美奈になって、自分を殺しに来ているのではないかという恐怖に沙月は飲み込まれる。

 だとするなら逃げ場はない。ぎゅっと閉じた目を、沙月は見開いた。

 一度は出来たのだ。何人だって、やってやる。


 教室の中では英語の授業が行われていた。生徒に英文を読ませながら、教師が机の間を歩いていく。時折、舟を漕いでいる生徒の頭を小突く。ふと、教師は窓から誰かが覗いているのに気付く。それは国語教師の沙月だった。沙月の表情は酷く強張っていた。教室の中に、信じられない恐怖を見ているような、壮絶な表情だった。

 さっと扉の影に沙月が身を隠す。英語教師は不審に思って扉に近付いた。一体、何の用があって教室を覗くのだろうか、あるいはあの表情は、酷く体調が悪いせいかもしれない。

 とにかく一声かけなくてはと思い、教師は扉を開けた。


 沙月は息を殺して待っていた。窓から見えないように注意しながら、扉の脇の壁際に立ち、金属棒を振り上げた。一瞬の隙も作らないように、扉を凝視する。やがて扉が、僅かに動いた。来る。沙月は息を止めた。

 扉が大きく開いて、顔を出した美奈に向かって、沙月は金属棒を振り下ろした。鈍く重い感触が手に伝わる。美奈が崩れ落ちる。この化物がしぶといことを沙月はよく知っていた。倒れた美奈の頭に突き刺すように、金属棒を突き下ろす。刺さりはしなかったが、頭蓋を砕いた金属棒は想像以上に肉にめり込み、中で柔らかいものが潰れて崩れるような感触があった。

 沙月はすぐ教室の中に目を移す。一瞬の油断もあってはならない。教室の中には数十人の美奈がいる。しかし沙月は躊躇しない。躊躇すればすぐに捕り付かれ、押さえ付けられてしまうだろう。扉の前に倒れた美奈を飛び越え、一番近くにいた美奈の頭部を殴る。美奈達が一斉に動き出す。しかし自分に向かって来るわけではない。

 逃げていくのだろうか? 興奮した頭で沙月は考えた。違う。逃げているのではないと沙月は判断した。何故ならば駆けだした美奈達が、窓の外の沙月を見つめていた時と同じように、まだ沙月を見ていたからだった。顔にあの薄ら笑いを浮かべて。

「ああああっ!」

 沙月は雄叫びを上げて、更に美奈を打ちすえる。金属棒を振り回し、手当たり次第に周りにいる美奈を殴っていく。椅子や机が倒れ、激しく音を立てる。倒れた椅子に足を引っ掛けて転ぶ美奈がいる。沙月が金属棒を叩きつける。

 沙月に打ちすえられて倒れた美奈にもさらに金属棒を振り下ろす。もう二度と立ち上がらないように。

 美奈達が金属棒を避けて教室から出て行く。美奈も教室を出る。隣の教室にも大量の美奈がいるのが見える。中に跳び込み、また金属棒を振り回す。硬い金属棒が、衝撃で歪み始める。

 金属棒で頭を打ちすえる。正確に狙い続けることはできない。狙いが逸れて鎖骨を殴りつける。腹に思い切り食い込む。金属棒の先に付いたフックが当たると、皮膚を引き裂き、肉を抉り取る。顔面にフックがぶち当たる。美奈の鼻が削げ落ち吹き飛ばされる。更に振り回した金属棒が今度は別の美奈の顔面に当たり、眼球を押し潰す。教室から駆け出していく美奈を追って廊下に出て後ろから殴りつける。

「あああああああああっ!」

 倒れた美奈にもう一撃、駄目押しに殴りかかる。

 廊下には無数の美奈がいて、沙月から離れていくように移動していく。しかし数人の美奈が、沙月を取り押さえようと向かって来る。力の限り金属棒を振り回す。一人の側頭を打ちすえる。美奈はそのまま弾かれたように廊下の窓に顔面からぶつかりガラスが割れる。しかしもう一人の美奈が沙月に掴みかかる。沙月は必死で引き剥がす。美奈の爪が沙月の腕の皮膚を裂いて血が出るが、既に返り血に染まった沙月の体では、どこまでが美奈の血でどこまでが沙月の血かわからない。

 金属棒の柄の部分でしつこく自分にくっついて来る美奈の頭をかち割ろうとする。しかし美奈はしがみ付いて離れない。そのまま押されて尻餅をつく。このままでは、押さえ付けられて動きを封じられてしまう。その先に待っているのは、当然に自分の死である。美奈を突き離そうと必死にもがく。と、沙月の服のポケットから何かが落ちる。それは解剖用のメスだった。刃が光を反射して輝き、その鋭さを証明してみせている。自分は一体何時、こんなものをポケットに入れたのだろうか。しかし沙月にはゆっくりと記憶を手繰る余裕などない。メスを拾い、自分を掴む手に突き刺す。声を上げて美奈が僅かに体を離す。手から引き抜いたメスを、そのまま美奈の眼球に突き刺す。顔の内部に深々とメスが入る。そのまま無茶苦茶にメスを動かした。内部を掻き乱していく。ついに美奈が悲鳴を上げる。メスを動かす度に、血やどろりとした肉片を含んだ液体が吹き出す。美奈が沙月を離し目を押さえ床に転がる。もう一人さらに向かって来ていた美奈に金属棒を振り回す。足に当たって、美奈は体勢を崩したが、尻餅をついた状態では金属棒に威力が足りない。沙月は素早く立ち上がり、美奈が体勢を立て直す前にその頭を打ちすえた。倒れたところに念を押してもう一発、振り下ろす。

 沙月が顔を上げ見回すと、廊下に立っている美奈はもういなかった。どうやら階下に移動したらしい。メスを目に刺した美奈が床に転がって、阿呆みたいに口を開けて騒いでいる。その口めがけて沙月は金属棒を突き下ろす。前歯をへし折って喉奥に突き刺さった金属棒が頸椎を切断した。


 廊下の、沙月から少し離れた所で、一人の美奈が沙月を眺めていた。顔を洗ったらしく、顔の返り血は取れていた。

 ――どういうこと……?

 美奈の魂は、沙月に何が起こったか理解できなかった。確かに、沙月は殺されていないが、明らかに異常を来たしていた。

「どういうことも何も、君が彼女を殺すなと言うから、代りに彼女に殺してもらっているのさ」

 美奈の魂は、自分の中にいるこの化物たちの異常な能力に、改めて恐怖した。彼等は沙月自身の命を奪わなくても、彼女に狂行を取らせて楽しむことが出来るのだ。

「もし今、君が自分の体を動かせるなら、彼女を止めたいと思うかい? でも、それは止めた方が良いな。私達のことは認識出来なくさせているがね、彼女は今、他の全ての人間が君に見えているんだよ。つまり彼女は必死で君を殺し回っているというわけさ。近付かない方が良い」

 もし美奈の魂が肉体と繋がっていたなら、美奈は咽び泣かずにはいられなかっただろう。沙月が美奈を殺そうとする心理は推察できた。沙月の目の前で、美奈の姿をした化物が、人間を弄ぶように扱い、最終的に殺害したのである。おそらく、美奈の中の化物の能力に操られている部分があるとは言え、沙月の狂行の根本にあるのは美奈に対する怖れと防衛本能に他ならなかった。

 美奈の魂は、狂行を取らされている沙月に対する悲しみを感じていた。人生も、精神も、滅茶苦茶に弄ばれている沙月を思って苦しみを感じていた。それと同時に、より利己的な、悲しみがあった。沙月が、美奈に対して、強烈な敵意を持って戦っている。それを美奈の魂は堪らなく辛く思った。沙月に自分が憎まれていると思うと、気が狂ってしまいそうだった。しかし、そのことを否定する資格が、自分にはあるだろうか、と美奈の魂は考えないわけにはいかなかった。沙月の前で、理子にとどめを刺したのは、間違いなく、美奈の魂自身なのだから。

「嫌だろう? また襲われて、大切な人を殺すことになるのは」

 美奈の口が、美奈の魂に追い打ちを掛けるように、言う。

 今の沙月がそう思っているだろうように、美奈の魂もまた、美奈の体の中にいる他の魂と同様、化物に過ぎなのかもしれない、と美奈の魂は怯えるしかなかった。


 三階の廊下で、呼吸を整えるために沙月はしばらく立ち尽くしていた。

 近くに倒れている美奈が、不意に呻き声を上げた。咄嗟に沙月は金属棒を振り下ろす。二度、三度、四度、滅多打ちにする。再び沙月の息が上がる。

 沙月は廊下を見回す。倒れている美奈の一人の手が、微かに動いたような気がした。沙月は慌てて駆け寄って、頭部に金属棒を何度も付き下ろした。

 ふと顔を上げると、沙月は自分が襲撃した教室の扉の前にいて、その中が見えた。幾人もの美奈が呻き声を上げたり、微かに動いたりしている。喧騒の中では気付かなかったが、多くの美奈に、とどめがさせていなかったのだ。

 沙月は心臓が止まる思いだった。今にもその美奈達が傷を治して立ち上がり、自分に襲い掛かって来るのではないかと思った。沙月は教室に飛び込み美奈の一人に金属棒を叩きつける。背後の美奈が声を出す。振り返り美奈の頭を殴りつける。隣の美奈の手が微かに動いたように見える。金属棒を顔面に何度も突き刺す。また別の美奈が微かに呻く。慌てて駆け寄り殴り殺す。激しく殴打する振動で周りの美奈の体が揺れる。引き攣った表情で沙月が周りの美奈の体を叩きのめす。また別の美奈の体が動いたような気がする。沙月は半狂乱になって美奈の死体を手当たり次第に殴り始める。机も椅子も蹴散らしていく。顔面を何度も突き刺し原型がわからなくなるまで変形させる。頭が割れて半分に千切れるほど滅多打ちにする。殴られた顔面から眼球が転げ落ちる。眼球がころころと転がって、沙月に黒目を向けて止まる。

 沙月は奇声を上げて眼球に金属棒を振り下ろす。小さい目標に直撃することはできず金属棒が床にぶつかる。強烈な振動が沙月の手に伝わる。金属棒にかすった眼球が転がる。沙月はそれを追ってもう一度、金属棒を振り下ろそうとする。しかし床に広がった美奈の血で足を滑らせる。沙月は転んで倒れ込む。手から金属棒が離れる。目の前に倒れた美奈の顔がある。慌てて身を起こす。沙月の顔が険しくなり、その美奈の顔を睨みつける。頭が割れ、頬が凹み、鼻が捻じ曲がっているが、まだ美奈の面影を留めている。崩れながらなお、その顔は微笑んでいるように見えた。

 沙月はポケットを探る。まだ数本のメスが入っている。メスを持って美奈の顔を突き刺す。何度も何度も顔の表面の肉が全てえぐれ潰れるまで繰り返す。喉に突き刺したメスを力任せに動かす。皮膚が裂け、みちみちと音を立てて肉に穴がこじ開けられる。美奈の首を何度も突き刺す。メスの歯が骨に当たる。強引に力を加える。手の先まで美奈の首の肉の間に潜り込んでいる。硬い骨の上に立てられた刃が肉を押しのけながら徐々に骨の上を滑り始める。やがて骨と骨の隙間を刃が見付ける。沙月が一層の力を籠める。軟骨が押し広げられ刃の下で切られ砕かれていく。沙月が何度も勢いを付けて刃に体重を掛ける。刃がずぶずぶと段々沈んでいく。刃が首を貫通し教室の硬い床に辿り着く。横に滑らすように刃を動かそうとする。肉の圧力で刃はかなり重い。沙月はもう一本のメスを出しまだ繋がっている肉に刃を立てる。血と肉が不快な音を鳴らし続ける。やがて美奈の頭が、胴体と完全に分離する。

 沙月は美奈の髪の毛を掴んで、頭を持ち上げ、立ち上がった。激しく荒い呼吸。ふと校庭側の窓の外に目をやる。ふらつきながら、窓に近付き、叩くような勢いで窓に腕を突き外を凝視する。

 校庭に、大量の美奈がいる。

 何百人という美奈が校庭に集まって、沙月を見上げていた。全ての美奈が、微笑みを浮かべ、沙月を見つめている。

 沙月は吠えた。

 窓を開け、校庭にいる美奈達に向かって、届かないメスを振り回す。もう一方の手に掴んだ美奈の頭も振り回している。髪を掴まれた美奈の頭は激しい手の動きに揺さぶられ、外側の窓や壁にぶつかって血と肉片のスタンプを残す。もはや意味をなさない叫びを上げ続けながら、沙月がメスを振る手を伸ばす。校庭の美奈に届かせるように、窓から身を乗り出し振り回す。

 校庭の美奈達が騒いでいる。沙月を嘲笑っている。

 さらに手を伸ばした時、沙月の体が窓から抜けて、コンクリートの地面に落下した。

 校庭に避難していた生徒達が、悲鳴を上げた。

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