終章 そして私は途方に暮れた
1 世界
不死人ライゴウ=ガシュマールは死んだ。
それは彼の不死の秘密を探ろうとしていた者たちにとっては、衝撃以外の何物でもない結末だった。
慈乃は全てを語った。ライゴウの不死性の秘密とその死の理由を知ると、彼らは一連の事件を闇に葬った。公の話として扱うには、世界の暗部が曝け出され過ぎていた。
不死人の騒動も、ライゴウという男の存在も、何もかもが無かったことにされた。
明確に残った痕跡は一つだけ。
あの日から、慈乃は“不死者殺しの聖女”と呼ばれるようになった。
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