五月第二週 金曜日 夜
俺は、下宿先でデスクトップPCで日課になっているTw○tterのチェックを行っている。
ニュース系のつぶやきには、合併したファミレスのチェーン店とITグループの続報が流れていた。
ファミレスの冷凍庫には空きがあり、サーバルームと併用させるとのことらしい。冷凍庫にサーバを設置することで排熱にかかる省電力化を、サーバをファミレスに直接設置することで各ファミレスごとに自由度の高いサービスを提供するようだ。
他にはモバイルルータの不具合の続報も入っていた。再起動するとデフォゲのIPが変わる不具合もあるらしい。
『エル』のメンバーのつぶやきも確認する。今日はいつにも増して、写真をアップしている人が多い気がする。緑さんと小川先輩は、今日もコンビニスイーツをアップロードしていた。
と、スマホが着信音。画面には福良先輩の名前が表示されていた。一体何の用だ?
「もしもし」
『あ、もしもし? 和春くん?』
「どうしたんですか? 福良先輩」
『ごめんなさい。四月に花見したこと覚えてる?』
「もちろんです。忘れるわけ無いじゃないですか」
藤井先輩と福良先輩が口論して、少しぎすぎすしたこともあったが、あの花見に参加したからこそ、俺は今まで大学生活を楽しく過ごせているのだと思っている。
当初の目的である女の子から告白してもらう、というのは達成できていないが。
『今サークルの活動記録まとめてるんだけど、一緒に桜の樹の写真撮ったじゃない? あれ、Tw○tterにアップしてくれないかな?』
「いいですけど、何でですか? あの写真先輩も撮ってたじゃないですか」
『そうなんだけど……。私的に、あの桜の樹が一番印象に残ってて、あの桜の樹を少しでもいい形で残したいの。だから、Tw○tterに写真アップしてもらって、皆でどの写真がいいか意見をもらおうと思って』
「なるほど。わかりました」
『ホント? ありがとう!』
「そんな、お礼を言われるようなことじゃないですよ。じゃあ今からアップしゃいますね」
『ちょっと待って! バラバラにアップすると普通のツイートにまぎれてわからなくなるから、そうね。午後八時にアップしてもらえる?』
「わかりました」
『他のメンバーも三〇分区切りぐらいでアップしてもらってるから、よかったら確認してみて。それじゃ、おやすみなさい』
「はい。おやすみなさい」
福良先輩の電話を終え、俺は早速Tw○tterでサークルのメンバーのツイートを確認した。
すると、確かに福良先輩が言っていたように『エル』のメンバーが花見の写真をアップしている。だから今日は写真のツイートが多かったのか。
つい先月のことなのに、ずいぶん昔のことのように感じてしまう。
こうしてみると、同じ写真をアップしている人たちが複数いることに気がついた。疑問に思ったので少し眺め、その規則性を発見して納得した。同じような写真をアップしている人たちは全員元々付き合っているか、花見の後付き合っているのだ。
『エル』のほとんどのメンバーは『Noisy myna』を使ってくれているのだが、こうしてみんなのツイートを見るとデフォゲが大量に出てきてやっぱり気持ち悪い。
……このIPに何かしら規則性があればまた面白いんだろうけど。
その規則性を見つけてやろうと思って、俺はまたサークルのメンバーのアカウントを巡っていた。そこで、福良先輩のデフォゲに変な値が付いているのに気が付いた。
結構な頻度で、スマホで使うことのないIPがデフォゲとして設定されていた。しかも同じ値で。
もう少し詳しく調べてみようと思ったのだが、午後八時に近づいてきたため作業をいったん中断。写真のアップロードを行った。
それから一ヶ月近く、サークルではしゃいだりと、まったくもって平和に過ごすことが出来た。Tw○tter上で意見交流しながら、サークルの活動記録も順調に進んでいるようだった。
相変わらず緑さんと小川先輩は定期的にスイーツや食べ物の写真をTw○tter上にアップしていた。デフォゲも相変わらずつぶやかれるため、それがただ不気味ではあったが。
『Noisy myna』の機能拡張もした。Tw○tterでつぶやいた内容を、他のSNSでも投稿できるようにしてもらいたいといった要望があったのだ。就職活動で使うようでFaceb○○kなどの他のSNSは完全に辞め切れないらしく、投降内容をTw○tterで一元管理したいのだそうだ。
波乱があったとしたら、この機能拡張の件ぐらいだろう。
例によってこの機能は渡部さん担当のiPh○ne版の方が先に実装された。が、後追いで実装した俺のAndr○id版の方が先にアプリストアにリリースされてしまったのだ。
セキュリティの観点でAppl○の申請が一時的に通らず、iPh○ne版のリリースが遅れたのだ。現在は無事リリースされているが、渡部さんの信仰心にヒビが入った。
リリースされるまでの間、『Ultimate War XX』で渡部さんは執拗に俺を攻撃し続けた。子供か。
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