第20話 狐の正体
「さて、ここにあるように、非上場企業としては世界的に見ても巨大な食品・飲料メーカー、トリイサンですが、実はトリイサンの創業家鳥居さんは狐派、つまり我々狐側の味方になってくれる方向で調整が進んでおります。」
「トリイサンの会長・・さすがにそれは凄いな。」
「企業体として尊敬される為には、良い商品を作る事も大事ですがそれ以上に大事な事は、多くの社員を雇い、その社員に良い給与を払い、生活を豊かにしてもらう事にあると、孔雪梅は考えるのでありまする!」
「そうだよな。俺もそう思うよ。いくら安くていいものを作っても、社員が疲弊している会社、多いもんな」
「今の日本の大問題は、多くの能力がある方の働く場所が限られすぎている所です!年齢が高かったり、長く仕事をしていなかった主婦などは、中々正社員として雇われる事は難しいのです!」
「ニートもね。俺もなんとか介護施設に潜り込んだが、一旦ニートになるとキツイよ。高い給料はまずもらえない」
「そこで、これから執権次郎様に鳥居さんに協力の直談判してもらおうとセッテングが進んでおります。鳥居さん率いるトリイサンの技術力、信用力、資金力、影響力を使って、日本中の労働力を木津根村に集め、木津根村に一大産業を起こそう!という事をうまくけしかけてくださいね。間もなく、ビデオチャットシステムで、鳥居さんと面談の時間を5分頂いております。あと5分で始まりますから、しっかりやってくださいね!」
「おいっ、いつもいきなり過ぎるよ!そんな偉い人と話したことねーし!」
「大丈夫、執権次郎様はどんどん成長しているのです!鳥居さんぐらいは平気です!
しかも鳥居さんも、執権次郎様の事を今注目されているのですよ!何しろ狸の国、四国で小さな村ながら、狐勢力の拠点を作ったんですから。」
「そんな凄いことしたか?俺?」
「歴史的勝利だったのですよ!あれは!!さてここまで、執権次郎様を混乱させないように、狐、狸という言い方をしてきました。実は狐、狸というのは四国独特の表現でありまして・・・狐というのは、実は古代ユダヤ系日本人の事なのです!」
「は?ユダヤ人?あのイスラエルとかに住んでいる金持ちが多い民族だっけ?」
「そうです!ユダヤ人は、世界各国に古代から難民として逃れ、そこで財を築いた人も多い賢い民族です。なんと、古代ユダヤ人は、財宝をもって地の果てまで逃げに逃げ、まだ原始的生活をしていた極東の地日本にたどり着きました。当時の技術力が遅れていた日本では、やすやすと、彼らは日本では少数民族ながら、地位の高い身分となり、四国にも沢山住み着いていたのです」
「あっ、それ聞いたことあるよ。ムーとか言う雑誌で特集されてた気がする」
「これは、裏が取れた真面目な話なのでござりまする。高い地位にあった古代ユダヤ人は、なんと空海がやってきて追っ払われてしまいました。ユダヤ人が崇めていた徳島の宝の山、今で言う剣山に結界を張る事で、ユダヤの力を弱め、追い出したと言われています。それから何世代も経ち、かつての古代ユダヤ人の栄華も忘れ去られ、その末裔達は狐として迫害される事となりました。彼らの特有の顔が日本人としては狐を連想させた事からと言われています。これを見て下さい。」孔雪梅は画像を見せた。
「この人は、トリイサン家の党首であり、今はトリイサンの会長である鳥居さんです。」
「あっ、確かに日本人離れした顔だ。狐っぽいと言えば狐にも見えなくない。目がツリ目で、鼻が大きい。とは言え、ギリギリ、日本人と言えば日本人とも言える顔だ」
「鳥居さん一家は、みんなこんな顔をしているのです!鳥居さんは、生まれた時から大金持ちなのに、勉強して東大に入って、主席で卒業して、若くして社長になって、最近まで前線で陣頭指揮をとっていた、スーパーマンみたいな社長でしたが、昨年若い社長に経営を譲り、今は代表権だけを持つ会長職として、水戸黄門のように社会貢献活動に精を出しておりまする。そこらへんが、今回の執権次郎様と鳥居さんのトップ対談では重要な論点となりまする!さあ、鳥居さんと繋がりました。執権次郎様!頑張って!」
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