第19話 殖産興業

「さて、次のミッションはこちらです!あと、2ステップで四国統一ですよ〜。次は、財界を制覇するの巻!こちらをご覧ください。」孔雪梅はまた、ノートパソコンにある、ファイルを見せた。


<非上場オーナー企業で狐派でもある食品、飲料メーカーのトリイサン創業家、鳥居家をまとめ役とし、木津根村に狐派の新産業を誘致せよ>


●木津根村に、日本最大の労働集約型産業を創出する

●オランダをモデルとした、食品加工型農業都市となる

●具体的には、原料を輸入し、それを仕分け、等級をつけ、ブランド化し、高付加価値商品として世界に売り出し、雇用と財政的基盤を盤石化する

・・・・・・・


「うーん。相変わらず意味が分からん。難しいなぁ」次郎は何度も読み返すが理解力が無さ過ぎてを上げた。


「簡単な事でございます!執権次郎様!!つまり、木津根村に新しい産業を創りだして、全国的にすごい!って注目されるような村にするんですよ」


「そんなの簡単にできるんかね?」


「今の日本の問題は突き詰めれば、高齢化と貧困化。一昔前は、今日より明日は豊かだと信じた若い国民が、汗水いとわず、税金がどう使われようが気にせず、明るく生きてきたんです。それが今や、今日より明日は貧乏で、国が負担する医療費、介護費は青天井。その財源を稼ぎの少ない若者に頼ろうとする政治に皆ウンザリなのです!」


「ああ、それは介護施設で働いていたから何となく分かる。なんで俺よりリッチな爺さんが、金も大して払わず俺達をこき使えるのか、不思議でならんかった」


「いつの世の中も、皆がやらない、アッと驚くやり方で安いコストで良い物を作って売る会社が頭角を表すものですよ〜。そこで!木津根村では、食品材料に目をつけました!」


「食品材料?」


「手始めにスタートさせる材料は、お蕎麦とコーヒーです!!」


「は?土佐でコーヒーとか蕎麦って聞いたことないけど・・・」


「蕎麦もコーヒーも高級品は非常に高価なのですが、高品質なものを作る為に最も重要なのは気候と大規模な農場なのです。最適な気候で大規模農法ができる地域は、日本にはありません!」


「でも、コーヒーはともかく、蕎麦は日本産がやっぱり美味しいでしょ」


「そうなんです。農産物というのは自然のものなので、どうしてもバラつきが生まれます。最終的に信頼おける商品になる過程で絶対に必要なのは、良い、悪いをきちんと仕分けし、良いものは高級品、悪いものは低級品と分ける事なのです!

しかし、適した気候の周辺には、農民はいても、収穫後、品質が良いものだけを仕分けできる農業技術者はいません!」


「なるほどなるほど。日本の蕎麦は大量生産できるような土地も無いし、大して気候も恵まれていない。元々の品質が良いわけでも無ければ、コスパが高いわけでもないけど・・・農業技術者がきちんと仕分けるから、良い物と保証されてるって事か」


「その通り!!実は、蕎麦もコーヒーも中国には、最高品質が採れているんですよ。問題は、現場の農民や、業者がどれが良くてどれが悪いか、区別できないから、ブレンドされて、管理レベルも低く、安全基準も悪いって事なんです!」


「ああ、味噌みそくそを混ぜれば、少なくとも味噌よりはマズくなるという事ね。」


「そういう事です!申し遅れましたが、私、孔雪梅、長宗我部さんとは違って、本当に孔子の正統な末裔として、中国の政府に色々と顔が効くんです!!すでに、寧夏回族自治区の広大な蕎麦農場と、雲南省保山のコーヒー農園で独占的契約は済ませてまいりました!!」


「ん??孔子の末裔??孔子って、儒教を作った人・・だっけ?」





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