第18話 長宗我部素親こと佐藤宏和?
「執権次郎様と孔雪梅の新居での新生活楽しみですね!!いざ!部屋を案内します!」孔雪梅はやたら張り切って、岬の館に次郎を案内する。大きな玄関から応接間に移ると、1人の老人が
「ん?あんたが次郎さんか。よろしくな。」
爺さんは、起き上がりもせず、寝っ転がりながら、顔だけ後方の次郎の方に向けて軽く挨拶をしたかと思うと、また首を元に戻した。
「よろしくなって、どちらさんですか?」
次郎は、また余計な奴が出てきたなと軽くイラツキながら、聞いた。
「執権次郎様。こちらは、
「は?何それ?
股引に手を突っ込んで尻を
「この方どうやら、記憶の限りでは本籍は群馬県の
「つまり、この人の今の名前は
「人聞きが悪いですが、簡単に言えば、その通りでございます。ちなみに、この事実を知っているのは、龍様を除けば、私、孔雪梅と、次郎様、そして、こちら
「契約書における、重要機密事項?」次郎は嫌な予感がした。
「そうです。契約書における、重要機密事項です。つまり、誰が漏洩したに依らず、漏洩があった場合、全員処分されます。厳重に情報管理をお願い致します」
「この爺さんが漏らしても、俺も処分されるって事?」
「左様でございます。執権次郎様。同様に私も処分されます。」
「処分って、何されるの?」
「処分は処分でございます。さて、天下の為に戸籍を捏造するのは、前例は多くあります。
孔雪梅は興奮が頂点に達し、奇妙なポーズを決めて次郎を指差した。
「まあ、落ち着けよ。分かったよ。でも、そんな面倒な事してまで、長宗我部さんが必要って事なのか。よく分からんものだな。」
「天下を取るには、いつの世も大義が必要でござります!ただ、力があるだけでは天下を取る資格はありませぬ。民衆の支持が得られる、四国を独立国家とする大義、それには、神の島と言われた四国をかつて統一した公租、長宗我部元親の末裔という権威がどうしても必要なのでござりまする!」
「それで、この爺さんが、その権威ってわけね。本気かよ?と思うけど・・・本気なんだろうな。それで俺の上司って事なの?」
次郎は、露骨に嫌な顔をしながら、
「おう、次郎さんよ。俺はもう年だし、大それた考えは無いよ。安心してくれ。龍さんに言われたとおりやるだけだ。あんたの上司なんて、とんでもない。形の上だけだよ。俺な、年だけど苦労してきただけあって聞き分けいいんだよ。俺なんて、単なる身寄り無い年寄りホームレスだった所、色々と世話してもらって感謝してるんだ。恩返しさせてもらうだけだよ。残りの人生」
長宗我部素親は、掻き癖があるのか、両手を股引に突っ込んで、ボリボリ股を掻きまわしながら言った。
「この3人で、まずは四国を制圧するのでありまする!」
孔雪梅は嬉しそうに目を輝かせた。
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