第17話 まずは1勝
立会演説会に参加したのは、狸穴の息のかかった配下ばかりで、多数派ではあるが、狸穴を恐れる狐系の人達は家でおとなしくテレビを見ていてぶったまげていた。
しかもその内容たるや・・・刺激が強すぎた。
狸の格好した、
「戦後初の村長選挙が行われる、
と、淡々とテロップが流れた。
その後、
「私が村長になった暁には、まずは
という、次郎の声が、全国のお茶の間に響いたのだった。
全国の国民には、モノ好きな若者としか見えなかっただろうが、この映像は、四国の狸派全員を刺激したのは言うまでもない。
「楽しみになってきた」
龍は1人、テレビを見ながらクスッと笑った。
選挙当日、さすがに
次郎は、特にやる事も無く、アパートを燃やされてからは、大おじい様の家に世話になりっぱなしだった。
「大おじい様のお陰で、狐系の人、ほぼ押さえられたようで、感謝しております。それに加えて、狐でも狸でも無い人も昨日のテレビの効果で狸穴には入れにくいと思うんですが、どうですかねえ?」
「
「ああ、そうなんです。不気味な事言ってましたよ。俺に入れなかった奴を、
「
選挙は即日開票され、投票率95%、その約8割を次郎が押さえ圧勝した。
狐の人口は5割、2割がどちらにも属さない層、狸が2割だから、狸も一部は次郎に入れていた事になる。
そこに、大型バイクが突然急ブレーキで大おじい様の庭に止まった。ヘルメットを取ると、孔雪梅だった。
「お!孔雪梅!!もう会えないかと思ったよ!帰ってきたんだね!!」
「執権次郎様!!今日もお
「お前、それにしても、やりやがったなー。よくあんなエッチな映像を自分で撮って、集めて、編集して・・大丈夫だったのかよ?裸にされたり、何か無かったのか?」
「私は執権次郎様に仕える身。
「そりゃよかった。それにしても何だよあのインタビュー。思わず吹き出しそうになったよ〜」
「あら、執権次郎様も私がいない間に益々
まさか、狸退治を宣言するとは!私めも、思わず吹き出しそうになりましたわ!!」
「村長になったのはいいけどさー。アパートも燃えちゃったし、これからどうしようかね〜」
「執権次郎様!すでに手配済みですよ!次郎様がこの村に来る前から・・・。2人だけの愛の屋敷の準備はできておりましたのよ!!」
「何それ・・?」
「さ、乗ってください。ご案内いたしまする!」
大おじい様と美香さんに別れを告げ、オートバイに乗り更に高い峠に着くと、古いがセンスの良い小さな洋館が建っている。ブラックジャックの屋敷を
「ここ、何年も空き家だったんです。昔は牧師さんが住んでいたんだそうです。リノベーションして、村長の執務に耐えうる、最新の機器を取り揃えております。ここがこれから私達の愛の巣 アンド、村長の館です〜!」
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