第16話 立会演説会
選挙前日、
明日の選挙会場となる公民館には、普段娯楽が乏しい
「本日は、
「高知知事の
高知知事の
恐らく、これはほぼ全員サクラだ。しかも村民だけじゃなくて村外からも応援を連れて来ている。
次に、
「えー、挨拶するまでもありません。皆さん、私にとって子供のようなもの。親には挨拶などいらないんです。さて、皆さん、この狸穴に投票しなかった人を私は徹底的に調べ、
シーンと場が静まった。
(なんだ?おタヌキ様?おいおい、俺に入れなかった奴を徹底的に調べる?そんなの許されるのか??明らかにど真ん中の違法だろ!それ。なんでもありっつーこと?)
「それでは、次に新人候補の石ノ森次郎候補者です。」
「はじめまして。あれ?マイク音でませんよ。あー。あのーマイク交換してもらえませんかー」
係員のような人間は、うつむいて対応しようともしない。
ああ、そうか、これは全員、狸穴配下という事なのか。クソ。はじめから計画通りな
「私は、この度立候補させていただきましたー」
「なんだー?聞こえねーよー。やる気あんのかーにいちゃん?」
「よそもの帰れ−、よそもの帰れ−」「帰れ!帰れ!帰れ!」
(くー性格悪い連中めー。為す術ねーな。ここは一旦撤退するか)
その時、ヘリコプターの音が聞こえてきた。どうやらこの広場に着陸するようすだ。観客達がひしめくのをものともせず、どんどん地面に向かっていく。
どうやらテレビ局のヘリらしい。
「なんだね?これは?どういう事だ?聞いてないぞ!おい!どうなってるんだ!」
狸穴陣営が慌てる。
ヘリからはカメラとキャスターが現れ、突撃インタビューのように、狸穴に向かっていった。
「狸穴村長!この度の村長選について、一言お願いします!」
「なんだね君は?ん?全国放送で生放送?ああ、これはこれは、私は
「ありがとうございました。それでは戦後初めての村長選のきっかけとなった初の対抗立候補者、石ノ森次郎さん。一言いただけますか?」
「私が村長になった暁には、まずは
「それは良いところに目をつけました!最近四国では狸の害が深刻で、畑が荒らされるなどは可愛い物で、私腹を肥やす
キャスターとカメラはそこまで言うと、さっとヘリコプターに乗り込んだ。
「おい!何のVTRを流しているんだ??お前ら大体どこのテレビ局だ?ワシの許可も無く突然なんだ!」
キャスターは振り向きざまに答えた。
「あら?神聖な村長選挙の取材に、現職村長の許可が必要?日本ってそんな事がまかりとおる国でしたっけ?た・ぬ・き・ちゃ・ん?」
「おい!貴様、何がたぬきちゃんだ?お前ら聞いたか!あいつら捕まえろ!」
狸穴が叫んだ頃には、ヘリコプターはスムーズに離陸体制に入り、誰も近づけなくなった。
裏で1人だけ笑っているものがいた。
次郎だ。
(あいつ、変装も一流か・・。さすがに、初めての奴には気づかなかっただろうな。あんなジミヘンみたいなカツラと、ダテメガネ。とんでもない女の子と知り合っちゃったな。孔雪梅)
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