第38話 お腹減った事件 07

 そう、立てるようになったのだ。

 母親も兄も知らない。

 こっそりとベビーベッドの上で練習していたのだ。

 そのために筋肉トレーニングもした。ちょっとだけだけだ。

 ……そうだ。だから私は人より体重が健康的なのだ。脂肪よりも筋肉の方が重いのだから、至極当然だ。うん。そうに違いない。

 そういえば筋肉をつけすぎると身長が伸びないという知識がある。真偽は分からないが、もし赤ちゃんの頃から思い切り筋トレしていたら、どういう人になるのだろうか。

 ……うん。想像するのは止めておこう。そして筋トレもほどほどにしておこう。

 さて、そんな陰ながらの努力はどうでもいい。

 とりあえず食卓だ。

 立つことで視線が高めになり、食卓に乗っているものも幅広く見えた。



 結論。

 食卓にミルクはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る