第29話 託児所殺人事件 12

 走れ。


 とりあえず兄には走り回ってもらう。

 伝えられたのはそこまで。

 次は走る目的を――


 ビダン!


 物凄い音がした。

 床が大きく鳴った音だった。

 床が鳴るには何かがぶつからなくてはいけない。下からでも上からでも。もしくは振動。

 いずれにしろ、何かが無くては鳴らない。

 では、何があったのか?



 兄が盛大に



 入り口近く、床でうつ伏せになって倒れていた。

 相当痛そうだ。


「だ、大丈夫かい?」


 傍にいたとある人物が慌てた様子で助け起こす。

 起こされた兄は一瞬キョトンとしながらも、助け起こされた人物に向かって笑い掛ける。



「あはは。ごめんなさーい。? ? 

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