第46話 僕が9ボルト(11)
次の日、光輝は始業式に参加していた。
昨日、学校が機人に襲われたこと、それを対処してくれたカンデンヂャーに畏敬の念を払うこと、そのふたつを校長は述べた後、自分の近況を二十分以上語り貧血者が二、三人出て始業式は終わった。
昨日現れた9Vスパークの正体を知っているのはあいかわらず桜花だけだ。
とはいえ光輝としては正体を知っていようが知っていまいが9Vスパークを憧れのヒーローとしてみてくれる人が多いというだけで満足だった。
「あんた、これからもヒーロー、続けるんだよね?」
帰り際、ふと桜花が尋ねてくる。
「もちろん。助けて欲しいときは電話してよ。いつだって助けに来るから」
言って光輝は駆けていく。
行き先はもちろん電光基地だ。
途中、<i-am>に電話が入る。
『ハロー、光輝クーン。〈奇機怪械〉が現れまシター! ハツディーンが言っていたように違う支部のようデース。機人の姿が違いマース。今度は四つ以上の電機が混ざっているみたいデース。新しい名称を考えたほうがいいかもしれまセーン!』
「それはなんか強そうですね」
『ケド、こっちも新しいアイテムが開発中デース。それに三ヶ月計画ですがニッカドライムも開発中デースよー』
「そのスーツで光暉さんの登場ですね!」
『イエース!』
それを聞いて光輝は心が躍った。
――僕はずっと9Vスパークのままでいていいんだ。
そのことを光輝は誇らしく思う。
ヒーローと悪の組織は戦いは切磋琢磨するように進化し、どちらかが滅びるまで終わらない。
それは特撮だろうが職業だろうが変わらない。
いつ終わるかなんて考えない。ヒーローとして戦えている今を、仲間を、みんなを救える今だけを考える。
グレイスが送ってくれた地図に従い、光輝は自分が初めて変身した自然公園へとやってくる。
「何やってんの、遅いわよ」
「いやいや学生なのを考慮してあげなよ」
「グワハハハ、それでは行くぞ!」
「「「「電池変身!!!!」」」」
僕は9ボルト 大友 鎬 @sinogi_ohtomo
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