112G.ベイトボール プレデター

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 ノマド『ユートピア』船団。

 そして、完全オーダーメイドで同級は予備の一隻しか存在しない、全銀河でただ一隻の大型宇宙船、『ラ・ソラーレ』全長2,800メートル。

 これを旗船フラグシップに置いた、約6,000隻で構成される自由船団である。


 最大でも1,000隻いかない自由船団ノマドが大半だが、ユートピア船団は特殊な設立事情もあって、数だけではなく質の上でも他に比肩するモノが無い船団だった・・・

 特別なのは、旗船ラ・ソラーレだけではない。

 いずれの船も、最高級の性能と設備を持っている。


 盤石な生活インフラに、ゆとりと余裕のある生活空間、豊富な娯楽とアクティビティ、多岐に及び取り揃えた趣味のツール、必要なモノは何でも作れる生産ライン、隙のないそれらの支援システム。


 これら最高の居住環境に加え、安全保障体制においてもまた、最高の備えを行っていた。

 船団の半数を占める護衛艦隊は、数でこそ基本的な星系艦隊の3割に満たないが、性能でいえば通常の戦闘艦とは比較にならない。

 資金力にモノを言わせた、高出力ジェネレーター、高出力シールド発生機、高火力兵装、常に最新を維持する電子システム。


 ユートピア船団とは、銀河で最も権力のある者たちの楽園ユートピアであるべく、その為に必要なモノ全てで作られた自由船団である。



 なお、現在同船団は『キングダム』船団へ攻撃を仕掛けていた。



               ◇


 共和国本星系『フロンティア』外縁部。


 ヒト型機動兵器『エイム』の大集団が、星屑の海の中を進んでいる。

 ユートピア船団独立戦術部隊『サード・エンカウンター』。

 約3,300機のエイムで構成される、自警団ヴィジランテと同様の組織であり、ひとりのコントローラーが10機前後の無人エイムスクワイヤを率いるという共和国に似た編成となっていた。


 船団の宇宙船と同様に、ヒト型機動兵器も最高級ばかりだ。

 エイム・フォーミューラー。

 簡易に多様なセッティングと完全な互換性を実現した、エイムのパーツ群の総称である。

 個々の性能が高いのは無論のこと、機体として組み立てた後のパーツ間調整もほぼ自動で実行される為、稼働率という点で戦略性も非常に高い。

 それらが、両腕部と両肩部、更に背面ブースターユニットのハードローンチなどに火器を満載。

 それらの中で、一際重装甲重武装化を施されているエイム・フォーミュラーが、無人機スクワイヤを率いる指令コマンド機だった。


「アミーン、お前のチームだけ遅れてるぞ。陣形を崩すなよ」


『違うねそっちが早過ぎるんだ。オーバーアクセル警報出てるんだぞ』


『うわぉ、リーダー気取りか? ドブロンかっこイイー』


『体感で2Gもかかってないのにギブアップするなよ、ウェイカーが』


『お前こそ40Gも出せないのに高速機気取ってんなよヘタレ。武装が貧相なだけでザコにしか見えねーわ』


『ハァ!? 無駄に幅だけ取る装甲チキンが何か言ってるしー! ぜーんぜん聞こえねー!』


『使いもしないイナーシャルリフレクションに金かけて、火力足りない上に通信システムの方もポンコツなんだな』


『いいかげん黙れよ殺すぞ装甲デブ!』


「いい加減にしろマース、アミーン。あとナッソー、『気取り』じゃなくてチームリーダーは俺だから。メインブリッジからサードユニットのメンバーの選任と指揮権も与えられているし。これ以上チームを混乱させるならメンバーから外すぞ」


 それらエイム部隊、サード・エンカウンター内の通信では、戦闘に向かうモノとは思えない子供っぽい中傷が飛び交っていた。

 高価な兵器に乗っているが、中身の方は伴っていない模様。

 上官に当たる指揮者リーダーの叱責に対しても、従うどころか非難轟々で総スカンを飛ばすような態度だった。


 これが通常の軍隊なら大問題になるところだが、この組織なら問題にならないのもまた事実である。


 元々、自由船団ノマド自警団ヴィジランテは軍などと違い、基本的に命令に従う義務は無い。

 ユートピア船団のサード・エンカウンターは更に特殊で、メンバーには大きな自由裁量権が与えられていた。

 それは例えリーダーであっても、簡単には編成から外すこともできないほど。

 旗艦艦橋メインブリッジから指揮権を与えられているのは事実だが、実質的には非常に強制力の低いモノと言えた。

 名誉職的なリーダーであり、言う事を聞かない部下どもに溜息しか出ない。


 そんな纏まりの無い状態であろうと、サード・エンカウンターは戦略目標へ急速に接近しつつあった。

 キングダム側も自警団ヴィジランテのエイム部隊を展開中だ。

 宇宙船から威嚇のレーザーも発砲されているが、サード・エンカウンターのエイムは回避する気配も見せない。

 どうせ当てる気はないだろう、と舐めてかかっているからだ。


『貧相なエイムばーっか。イヤだねぇキャッシュの無いノマドは。貧しさ故に命を落とすことになる』


『船に張り付いて迎撃に出られてないぜ、臆病者が!』


『数ばっかいてもダメだな。いや数でもこっちの方が上か。らっくしょープー♪』


『……後続が来る前に敵機は全て排除せよ。俺達で旗艦を制圧する。「ディサイブ・フォース」に出番なんか与えるな』


『命令すんなバーカ!』


『戦闘開始ぃ! ブリックストーンユニット前進せよッ!!』


 キングダム船団まで距離6,000キロメートル、接触まで一分を切ったところで、ユートピア船団のエイム部隊は一斉に散開をはじめた。

 300チームが好き勝手な方向から、我先にと巨大な剣のようなシルエットの宇宙船へ殺到していく。


 大雑把に角張る分厚い装甲の機体群は、両腕に装備した大砲のようなリニアランチャーと、両肩部に載せた箱型のマルチランチャーから実体弾プロジェクタイルを発射。

 放たれてから更に数十に分裂した弾子は、四方八方ランダムな軌道偏向を繰り返し船団へと降り注いだ。

 キングダム船団は遅滞防御兵装ディレイWSのレールガンや迎撃レーザーで対抗。

 2,500以上の小規模な爆光が、船団の船を照らし出す。


 やはり過剰と言えるほどの武装を搭載した中型機の部隊が、両腕に構えたレーザーライフルを乱射していた。

 背面から肩を通して突き出ているのはプラズマを放つ開放型の砲身だ。

 肩の両側面に三段重ねしてあるランチャーからも、キネティック弾を射出。

 弾幕を展開し、キングダム船団のエネルギーシールドを派手に叩く。


 大火力を振り回す部隊がいる一方、頻繁に移動を繰り返す部隊もいた。

 肩当てストックの無いライフルのような強加速ブーストレールガンと、マニュピレーターに固定された刺突式ビームブレイドを装備した軽量機集団だ。

 船団の防衛部隊を揺さぶるつもりらしく、旗艦の周囲をウロウロしているが、自警団ヴィジランテのエイムと防衛船の攻撃で近付けずにいる。

 こちらも伊達に、幾つもの修羅場を潜ってきたワケではない。


『なんだよ底辺ノマドのクセに!』

『迎撃ウザ過ぎ! 俺のオルマンディアを半分も潰しやがって!!』

『あのデカイのどんだけレーザー積んでんだよ!? レーザーバカのバルタじゃねーんだぞ!!』

『俺に当たってるんじゃねーキネティック・バカ!』


 思い通りに攻勢が進まず、サード・エンカウンターの中にも苛立ちが膨れ上がっていた。


 デリジェント星系に乗り込み、メナス艦隊を突破し住民の脱出を支援した奇跡の船団ノマド、キングダム。

 星系艦隊を圧倒する、空前絶後の超高性能戦艦。

 だがそんな物、素人のノマドが運用する以上、自分達ユートピアの実力と装備それに物量を以ってすれば、容易に制圧できると考えていた。

 現実には、非常に堅い守りで付け入る隙を見出せないのだが。


「クソッ、これ以上手古摺るとディサイブ・フォースが上がって来る……。というかシールドバンカーはどうしたんだモンフォート!? 他のヤツもキネティック弾使うなら援護しないと撃ち落とされるだろうが!!」

『うっせバーカてめぇでやれ!』

『撃たないとあっちが好き放題撃てるだろうがお前らやる気あんのかよ!?』

『ヒトのせいにすんなザコエイムが! 勝手に落とされてろ!!』

『テメーこそ撃ちまくって一機も落とせてねーしクソザコ!!』


 焦るリーダーが、いまさらながらに戦術を組み立てようと考える。

 だが、そもそも命令を聞くような連中じゃないから好きにさせていたワケで、案の定この期に及んでも協調性は皆無だった。


 高価なエイム・フォーミュラーを次々撃墜されながら、それでもひたすら無策に攻撃を続けるユートピア船団のエイム部隊。

 攻められないまま挽回の手を打つでもなく、いずれ戦線が崩壊するのは明らか。

 結局は本隊・・の連中の想定通りになるのかと、サード・エンカウンターのリーダーも苛立ちながら効果的ではない攻撃を続けていたが、



 レーダーになにか反応が出たと思った次の瞬間、直撃を受けエネルギーシールドごと機体を撃ち抜かれていた。



「―――なんだぁああああああ!!?」


 メタリックな赤の重武装エイムが、バラバラになり吹っ飛んでいく。

 強加速ブーストモードで投射された55.5ミリ弾体は、秒速25,000メートルという平均的なレールガンの3~4倍もの砲口初速を叩き出していた。

 過剰な電磁加速により僅か一斉射で砲身が過熱オーバーヒートするも、4連装された砲身の中央が回転し、別の砲身が発射位置へ。

 過熱オーバーヒートした砲身も側面カバーが持ち上がり、蒸気となった冷却材と共に排熱を行っていた。


 砲口初速、3,000~30,000メートル/秒(ブースト時)。発射速度ファイアレート50発/秒。

 ミネラル・クォーター社製、ローレンツフォース・アクセラレーション・キャノン。

 MQFW AMRマクファイア-GUN9000である。


『ドブロン!? おいあのリーダー気取りどうしたぁ!!?』

『待て待て待てIFFにエネミー表示!? いつの間に来たんだコレ!!?』

『どうしてこんな近付かれるまで誰も攻撃してないんだよ!? ふざけんな!!』

『全機攻撃だ! 敵機に集中砲か――――――!!』


 自分達の集団の中に敵が飛び込んで来るなど、サード・エンカウンターのオペレーターには想像もできなかった。

 どれほど高度なセンサーと情報システムを搭載していても、所詮それを扱うのは習熟すべきヒトである。


 驚いている間にまた一機吹っ飛ばされ、音叉のように枝分かれしたプラズマ砲を持つ機体が、宇宙を流れるデブリと化した。

 パニックに陥ったエイム部隊は四方八方へ乱射を開始。

 敵機の反応を追い攻撃を向けるが、まるで捕捉できない。

 あまりにも敵の姿を確認できないので、電子攻撃ECMによる欺瞞を疑う始末だ。


 だが、敵機の方は電子迷彩カモフラージュなど展開していない。

 単に機動性能が高過ぎるだけである。


『あッ! いたぁ! こっちにいたぞ!!』

『「こっちー」じゃわかんねーよイルミネーターにリンクさせとけよ低脳がぁ!!』

『しっかり攻撃しろよ全然当たってないじゃないかこの安物!!』


 無人機スクワイヤは搭載されたセンサーと制御演算機フレームに従い敵を追尾していたが、追い切れないのに加え各機体の性能差が出て、一見バラバラに応戦しているように見えた。

 有人コマンド機の方は、影も捉えられず一方的に撃墜されている。

 他者との協力を拒む上に、機体の能力にかまけて情報連携データリンクも整えておらず、味方機の照準データと同期すら出来ない。


 だから、超高機動の敵機が指揮官コマンド機だけを狙い撃ちしているのに、いまさら気が付く事になる。


『汚いぞこいつッ……!? 最優先命令! マスターユニットを守れ!!』


 コントロールを失った無人機スクワイヤが、他のオペレーターに指揮権を移管されるでもなく戦場で棒立ちになっていた。

 それが示す事実に総毛立つオペレーターは、自分の無人機スクワイヤに自機の盾になるよう防御体制を指示。

 指揮官に判断する能力がなくとも、専用の戦術システムは『キング』を守るべく『ポーン』を前面に配置し、『ナイト』と『ビショップ』を攻勢へと押し出した。


 管制AI任せで多少マシになった戦列により、火力が敵機へと効果的に集中される。

 これでもかと過剰に搭載された兵器が一斉に火を吹き、紫電を帯びた弾体や深紅の光線、黒いプラズマ弾、噴射炎を吐き乱れ飛ぶ誘導弾が宇宙空間のただ一点へ撃ち込まれ、



 灰白色に青のフルカスタム機は、真正面からこれを突破してみせる。



 両肩部に装備した四発の偏向ベクタードノズルを繊細に稼動させ、斬って捨てるが如く鋭い機動マニューバでレールガンの火線を回避。

 追ってくるレーザーの斉射を円運動で突き放し、プラズマ弾は左腕マニュピレーターの物理シールドで明後日の方向に弾き飛ばした。

 殺到するキネティック弾は、纏めて引き付けながら脚部の兵装プラットフォームに装備するサブマシンガンの弾幕で撃ち落す。


『なんだコイツ!? 普通のエイムじゃ――――ぐェ!!?』

『うぉああああああ!!? 落せ落とせ落とせぇええ!!』

『クソ野郎こっちを撃つなバカぁ!!』

『ミスファイアセーフティーもかけてないのかよ無能がぁ!!』

『ママー!!!!』


 桁違いの反応速度と高加速高機動に、全く対応できないサード・エンカウンターのオペレーター達。

 恐怖と錯乱により撃ち尽くす勢いで武装を乱射するが、敵機の凄まじい回避性能の前に掠らせることすら出来なかった。


 大混戦の中、全方位から来る攻撃を蹴散らすように回避しつつ、同時に応射し敵機を鉄屑へと変える灰白色のエイム。

 死に物狂いで逃げるサード・エンカウンターだが、電子妨害ECMをものともしない射撃精度からは逃げられず、ピンポイントで次々と撃ち落とされていく。

 もはやプライドも根拠のない自信も崩壊し、怒りを撒き散らす者や泣き叫ぶ者と様々だったが、いずれの結末も大して変りはしなかった。


               ◇


 ノマド『ユートピア』船団の独立戦術部隊、『サード・エンカウンター』のエイムが一方的に駆逐されていく。

 それも、たった一機のフルカスタム機に。 

 その様子を、ユートピア船団の護衛艦隊旗艦から観察している者たちがいた。


「あらあら、威勢よく出て行った割に……。キングダムの旗艦を押さえるどころか、彼女・・の本気を引き出すことすらできませんでしたわね。

 まぁメナスの特殊機を追い詰めるようなエイム乗りを、あのおぼっちゃま達がどうこう出来るとは思っていませんでしたけど」


「武器もエイムも使う者次第、という本質を理解しなかった……理解しようとしなかった子供の末路などこんなもんだろう。

 いや、コクピットの直撃は徹底して避けているのだから、死んではいないか。

 ある意味で、期待通りキングダム船団のトップエースの実力を見る事は出来たワケだ」


 映像の中では、エイム集団の中で荒れ狂う超攻撃的なカスタム機と、狙って刈り取られている非常に高価な重武装機の惨状が映し出されている。

 ほぼ壊滅一歩手前というところだが、同じユートピア船団に属するはずの見物人たちに、焦燥や怒りといった感情は、無い。

 金髪を緩い縦ロールにした不敵な微笑のお嬢様と、丸刈りに口髭、剣呑な目をした痩身の男は、灰白色に青のエイムしか見ていなかった。


「高い機動性に標準的だが高威力な火器……。癖のない、腕に自信のあるヤツが乗る機体だな。古風だが嫌いじゃない。

 流石に大破したという旧式の連邦軍機からは乗り換えたか」


「それが、例のMk.53の全面改修機という事のようですわ。よほどの拘りがあるのかしら?

 前の機体も相当イジっていたようですけど、今度もまた随分と作り込んできた事で……」


 頭部にセンサーを増設、肩や胸部のブースターを増強、脚部に特殊な装備、という目立った外見的特長以外にも、機体の挙動を見れば高度にチューンナップされているのが分かる。

 以前に交戦した時より遥かに性能を上げているが、縦ロールお嬢様にそれを忌避する思いはなかった。 


「それで? おぼっちゃんらはそろそろ全滅しそうだが、君らは出ないのか? ワシは命令どおりに動くだけだが」


 ユートピア船団護衛艦隊旗艦、『ナイトウィング・オブ・ケルディム』。

 恰幅の良い身体を艦橋ブリッジのシートに沈めている初老の艦長は、緊張感もなく乗客・・たちに問いかける。

 一見やる気もなさそうだが、それでもこの銀河で最も資金力のある自由船団に雇われた、護衛艦隊の責任者だ。

 今回もを用意しているとはいえ、桁違いの火力を振るうキングダム船団と正面から睨み合いなど、どれだけ手を尽くそうが自殺行為だと分かっていた。

 船団の本船船橋メインブリッジとこの金髪縦ロールが何を示し合わせたかは知らないが、さっさと逃げるか降伏するか決めてほしいものである。


「そうですわね……それじゃそろそろ、先行した友軍を救出しに・・・・・・・行くとしましょうか。

 ディサイブ・フォースもよろしくて?」


「我々も艦長と同じ、報酬と契約に見合う仕事をするだけだ。上から命令が出ている間は、海賊だろうがなんだろうがアンタらに乗せられてやる」


 軽い調子で冗談のように建前を口にする、ゆる縦ロールの金髪お嬢様。

 その少女に同意し、ユートピア船団の上層部が防衛部隊を動かすと決めた以上、隊長たる口髭の男にも否はなかった。

 高給と引き換えに、例え死んでもプロとして仕事を全うするだけ。

 そういう契約である。


 仕事として来ているのは、金髪縦ロール少女も同じであった。

 だが、以前デリジェント星系で交戦した時とは違い、エリザベス改めエリザベート・ブラックスター自身にも戦う理由がある。

 ゴールドコーナー社に偽名で潜入していた身分では色々と不便もあったが、今なら装備も戦い方も自由にできた。


 灰白色に青のフル改造エイム、そしてオペレーターである村瀬唯理むらせゆいり

 その存在は、野蛮と暴力の支配する世界で生きてきたエセお嬢様、エリザベートの心をこの上なく躍らせるのだ。





【ヒストリカルアーカイヴ】


・エイム・フォーミュラー

 規格の共通化やパーツ単位での自動調整機能を搭載した、ヒト型機動兵器と構成部品群の分類名。

 豊富なパーツの組み合わせにより多様な戦闘状況へ迅速に対応できる、徹底した機体セッティングの自動化と簡便化による高い稼働率など、その戦術優位性が売り。

 という事になっているが、現実には多機能かつ高性能の為に非常に調達コストが高く付き、更に組み合わせるパーツの相性よってはカタログスペックを発揮することができない。

 十全に性能を発揮するには結局個別の調整作業が必要となり、そうなると単に高価で構造の複雑なパーツという存在になってしまう。

 富裕層向けの趣味の玩具という評価であり、正規軍や私的艦隊組織PFCで用いられることは通常ない。


・スクワイヤ

 人類側の自律兵器とその関連技術全般の総称。語源は従騎士(エスクワイヤ)といわれている。

 指令機からのリアルタイムな命令、搭載制御システムによる自動制御、またはそれらを併用したコントロールを行う。

 その技術は、ヒト型機動兵器、小型戦闘艇、更には宇宙戦艦や専用の超大型防衛施設にも用いられる。

 なお戦闘運用に際し、指令機が喪失した場合の操作権限の移管や、自動での管制下への復帰方法などを厳密に設定しておくのが常識。

 無人システムの宿命として、常に乗っ取られるリスクも孕む。


・ハードローンチ

 機械間の着脱を行う規格と、その構造を指す名称。

 具体的には、接続する機械を固定する開閉型フックと、開放時に押し出す爪、制御及びパワーサプライの端末ターミナルから構成される。




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