67G.電子の熱帯魚と広すぎるアクアリウム

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 ノマド『キングダム』船団に属する、規格外の超高性能戦闘艦、26隻の内の一隻。

 約1億人が避難しているヴィーンゴールヴ級『アルプス』は、段階的に本来の用途へ向けた運用が行われる事となった。

 すなわち、保管されている生体サンプルからの動植物の再生を含めた、人工的地球環境の再構築だ。


 今後、全長50キロメートルという超巨大宇宙船の中には、人々に忘れ去られた起源惑星『地球』の生き物が闊歩する事になるだろう。

 現時点で、相当な変異が見られるとはいえ艦内ではある程度の生態系も維持されており、また現代水準の高度なバイオテクノロジーもあって、それ程時間はかからないと思われた。


 ヴィーンゴールヴ級環境播種防衛艦とは、そのようにして宇宙を旅する人々を受け入れるのが本来の役割だ。1億人が避難しているとはいえ、そこに地球環境を再現するのもまた、当初の想定を外れていないのである。

 しかし、長い時を経て『地球』を忘れた人類プロエリウムは、既に別の種と言っても過言ではない。


 単なる自然環境を用いたリラクゼーションに留まらず、それが現行人類にどのような影響をもたらすのかは、実際のところ生物学の権威ですら予想が出来ない未知の領域であった。


                 ◇


 ヴィーンゴールヴ級『アルプス』を離れ、高速貨物船『パンナコッタ』はキングダム船団の旗艦、クレイモア級『フォルテッツァ』へと入った。

 船団は現在、凪の宙域カームポイントへ入りワープ航行スクワッシュドライブの準備を行っている。


 30万隻もの宇宙船が一度に超光速航行を行うのだから、その準備は大変なんてものでは済まされない。

 進路の調査と設定、システムの動作確認とテスト運転、有事に対する備え、ワープ不可能な船などは別の大型船に間借りするなど。

 諸々合わせて12時間から24時間は動けないだろうが、それでも作業量を鑑みれば早い方である。高度なテクノロジーの恩恵だ。


 艦外の宇宙空間同様、フォルテッツァ格納庫内も多くの宇宙船やヒト型重機が行き交い、非常に込み合っていた。順番待ちをしている機体が外まで列を成している。

 空間密度の高さも甚だしく、200メートルクラスのパンナコッタも慎重に格納庫内を進んでいた。


 宇宙は真空なので空気が無い。当然の事実である。

 一方で宇宙船内は基本的に1気圧が維持されており、陰圧となる宇宙空間に対しては常に空気が漏洩する可能性を孕んでいた。

 これを防ぐ為には、宇宙船は真空中にあって完全密閉を維持しなければならない。さもなくば空気がダダ漏れになる。

 だが、物資やヒトが出入りする以上、出入り口は当然必要だ。

 よって、宇宙船の内外を隔てる出入り口には、圧力調整システムが必須となるワケだ。


 10,000メートルクラスの超大型宇宙船艦『フォルテッツァ』に限らず、大きな船の格納庫は内部で複数に区切られている場合が多い。

 庫内の容積が大きくなるほど、減圧と与圧にも時間がかかるのだ。格納庫の出入りに時間を取られれば、その分中での作業にも支障が出るだろう。嵩張る船外活動EVAスーツを着用しての作業も楽ではない。

 よって、頻繁に出入りするエイムや小型ボートなどの機体は最も外側の格納庫に置かれ、修理などで当面動く予定の無い機体は滅多に減圧されない最奥の格納庫に留め置かれるという事になる。


 パンナコッタが停泊するのは、最も出入りしやすい最外縁の格納庫だ。特に損耗もしていないので当然だろう。

 そこから側面通路を進むと、横一直線に繋がる窓から内部の様子を窺えた。

 最も奥まった格納庫では、エイムや小型宇宙船、移動用ヴィークルが立ち並び、整備や修理を受けているのが見える。

 ツリ目に紫髪のオペレーターは、その中の一機に目を留めていた。

 正確には、その機体から出入りする人物にだが。


「はー……あいつホントにエイムオペレーターになるんか……」


「フィスの知り合い?」


「んだな。ユイリも知ってるぜ」


「ほう」


 赤毛の少女JK村瀬唯理むらせゆいりとフィスは、一旦他の皆と別れて『H-2/6』と表記された格納庫へ入る。意味は、一番外側に位置するメインハンガーからひとつ奥に入った格納庫と繋がる、6番目の小格納庫だ。

 与圧されており、気圧調整室エアロックもグリーンサインが灯っているので素通りできた。


「うー……どうして認識しないのー? 全部って事は大元から繋がって…………IDの割り当てが被ってるとかー…………」


 壁と整備ステーションの間にある通用路キャットウォークを歩いていくと、唯理とフィスはあるヒト型機動兵器の前で足を止める。

 止めざるを得ないだろう。

 何せ、紺色に金のラインが入った環境EVRスーツ姿の下半身が、装甲の隙間から突き出ていたのだから。


「おい」

「ピャァアア!? ふぎゃッ!!? うぅううううう!!」


 ペチンッ、とフィスがその尻を無造作にスパンキング。メカニックの姐御のように豪快にいきたかったが、インドア系少女の膂力では程度が知れていたようだ。

 しかし、不意打ちを喰らった方にはそんなの関係無い。

 仰天して飛び上がった尻の主は、上半身を突っ込んでいた機体内部で頭をぶつけ、飛び出してくるなり通用路キャットウォークの上を頭押さえて転げ回ってた。


「あー……正直すまんかった」


 無残な相手の有様に、やらかしたオペ娘も流石に悪いと思いながら頭をかいている。

 となりの赤毛は、珍しく非難がましい乾いた目を向けていた。断然お尻のヒトに同情的だ。


 かような経緯により涙目で床に直接女の子座りしているのは、唯理より頭ひとつ半ほど背の低い少女だった。フィスよりも更に低い。

 髪は薄紫のショートヘアで、コメカミの所に水晶のような三角形のパーツが、僅かに覗いて見える。

 面立ちは柔らかく目がパッチリとしており、やや幼い印象を与えていた。

 背の低さもあってスタイルも幼い、と思いきや胸はアンバランスに大きく張り出していた。巨乳だ。

 筋肉質ではなく、どちらかというと皮下脂肪がプニプニしているエイミーと同じタイプと言える。

 服装は前述の通り紺色の地に金色のラインが入った環境EVRスーツ。これに、普段はサイズ大きめな黒のジャケットを合わせるようだ。袖が大きく、手の平が隠れるほどサイズが合っていなかった。


「ユイリ、こいつがファン、『ファンクション=テクニカ』。本船所属のウェイブネットレイダーで、今度入るエイムオペレーター」


 フィスから乱暴に紹介されたのは、唯理のエイムチームに新たに配属される予定のオペレーターだった。たまたま見かけたので、引き合わせておく事にしたのだと言う。

 ファンと呼ばれた少女には、災難な話であった。

 なお、エイムの装甲の間に身体を突っ込んでいたのは、搭載した装備の具合が芳しくなかったからだとか。


「えーと……どうも、村瀬唯理です。頭大丈夫? 変な意味じゃなくて」


「ハイ……多分……ん? あれ? 『ムラセユイリ』さんって??」


 ぶつけた後頭部を撫でていた童顔ロリ巨乳オペレーターだが、配属先の上役の名を思い出したかキョトンとしている。

 頭の方も大丈夫なようで、唯理としても一安心だ。


「相変わらずドンくさだな。そんなんでエイム乗り出来るんか? 言っとくけどコイツのマニューバ、死ぬほど高加速だぞ。付いて行けると思えねぇ…………」


「し、シミュレーターの規定ラインはクリアしました! それに、わたしのは電子戦機だから、そんなに高機動は要求されない、はず…………」


 気弱そうに言うファンに、胡散臭げな表情を隠そうともしないフィス。

 唯理は新たに配属されるというオペレーターのファイルに目を通した際、ふたりが以前からの知り合いであるとは聞かされていた。下半身は載っていなかったが。


 ファンクション=テクニカ。ゴルディア人種。

 船団旗船『キングダム』のインフォメーション・コントロールに所属するシステムオペレーターにして、本職はフィスと同じくウェイブネットレイダーである。実際、その性質上ふたつを兼ねるオペレーターは多い。


 唯理周辺の体制構築の一環で、ファンはエイムオペレーターとして配置されるのが決まっていた。

 見た目通りな性格や本職からしてエイム乗りなど向いてなさそうだが、ネザーインターフェイスによるシステムとの同調では適性が認められている。よって、今回の抜擢となった。

 また、オムニによる戦闘シミュレーションではそれなりの戦績を記録し、電子戦闘に関してはフィスも認めるスペシャリストとの事である。


 エイムでの実戦経験は無し、というところが限りなく不安な唯理だが、どうせ人数が揃ったら訓練するつもりだったので、結論はその時にでも出すつもりだった。

 気乗りしないとはいえ、せっかく付けてもらった部下。不安だからと言って、即行で突き返すワケにもいかない。

 やるだけやってダメならその時考える。


「まぁわたしの電子戦なんて通り一遍な事しか出来ないんで、専門職のヒトがいると助かるけど。で、これが電子戦用機…………?」


「ゴルディアメーカーのITXタイプだな。細かいスペックはエイミーの方が詳しいんだろうがー……。とにかくゴルディアはこの辺の技術力にアドバンテージ持ってんだよ。

 ファンはドンくさで単純だけど、電子戦の指し合いは腹立つほど早いからな。実際どうなるか分かんねーけど、臨機応変な対エイム戦でのECMならファンと相性いいんじゃねーの?」


 赤毛娘が電子戦用エイムを見上げると、ツリ目のオペ娘さんからそんな注釈が。一応、童顔ロリ巨乳の電子戦オペレーターの実力を評価しているらしい。

 同時に扱き下ろされてもいるので、ファンは情けない顔をしていた。


「……なんか細かい機体だね。わたし電子戦機って多分はじめて見る」


「エイム適正持ちの上にシステムオペレーターの技能も必要だから、基本扱えるヤツが少ないんだよ。需要が少ない分機体の生産数も少なくて高価になりがちだし、電子戦装備自体作るのにも整備するにも手間がかかる代物だしな。

 運用上も前線でドッカンドッカンやらせんじゃなくて、中盤から後方での支援がメインになるから重装甲はさせないし出来ないし消耗もさせられないし。

 連邦軍だってよっぽどの精鋭部隊じゃないと配備はしないんじゃねーの? もともと汎用機だってある程度の電子戦能力は持ってるんだしさ」


 その深い青一色のヒト型機動兵器は、唯理が今まで見て来たどんな機体よりも細身で華奢だった。標準的な15メートル前後の全高だが、装甲が薄く滑らかで女性的なデザインとなっている。

 頭部は、草食動物のキャラクターをデフォルメしたような形状。側頭部のパーツはツンと立てられた耳で、前面は全てセンサーアレイとなっているプリミティブな形状だ。

 かと思えば、背部ブースターユニットと腰部には、小さな翼のようなプレートを何層にも重ねた機器モジュールを装備していた。

 頭部の後方へ伸びているのが1基、両肩部後方に配置されているのがそれぞれ1基、腰部には前後に2基と両側部に1基ずつがスカートのように配置されている。

 これが、この機体の「表の肝」だという話だ。


「あ、っと……その、この『オーロラビータ』のF-7.29には、最初からアクティブセンサーアレイが付いているんですけど、コレと同じ物をブースターにも追加装備として増設出来るようになっているんです。『スプレデンス』モジュールって言って、併せて『オーロラビータ・スプレデンス』って、言います。他に武器オプションとかは付けられないんですけど……。そ、その代わり電子戦容量は、普通のエイム1,000機を同時に相手しても負けません!

 もともとオーロラビータモデルはアレイ増設を前提にしているから、スプレデンスモジュールを全て同時起動できる程のコンデンサ容量と制御フレームの計算能力に余裕があるんです。

 そのはずなんだけど……なぜかコントロールが繋がらない…………。

 いえッ! 繋がるように設計されているんですから使えるはずです! なんならアーキテクチャから入れ直して制御系見直しますから大丈夫! 問題無し、です!!

 機体のメインフレームにはわたしが専用に組んだダイナミクスシミュレーターとシグナルミキサーが当て込んであるので、単なる高出力ジャミングから光学カムフラージュまで色々対応できるはずです。そのダイナミクスもメインフレームを4Dグリッド15Gm/3.6ksecでロースパンシミュレートに特化されているからルートブランチで結果を並列で出力できてデータリンク上のサイトラインに反映して実際の試算結果とフィードバックループさせ続ければ――――――――――」


「……とまぁ、こーゆー感じのヤツだからよろしくな」

 

「うむ、了解仕った」


 してその後エイムの詳細説明など求めてみると、大人しかった彼女の話は止まる事を知らず。

 得意分野になると饒舌になるマニアなタイプらしいが、一生懸命な様子に口も出せず。

 そんな新人の仕様を生暖かい目で申し送るオペ娘に、赤毛の部隊長としては神妙に頷いて見せる他なかった。

 とりあえずやる気はありそうで何よりである。


               ◇


「アイツなー、手は早いけど詰めが甘いってーか……。あんなでも頭は回るし手数で押すデュエルロジックには強いからECM戦向いてると思うけど。ホント大丈夫かね?」


「ダメそうなら外すだけだから」


 レイダー仲間の行く末を案じ、難しい顔で唸っていたオペ娘。そもそもどうしてエイムオペレーターの件を引き受けたんだか分からないと言う。

 そんなフィスの横を歩きながら、唯理は感情を出さずスッパリと言い切った。

 予想外な科白セリフを耳にし、思わず赤毛娘の横顔を凝視していたフィスだが、


「そりゃそうだわな……」


 考えてみれば、意外でも何でもなく。

 戦いに向かない者を戦死させてしまうより、早々に戦力外通告を出した方が良いのは当然の事だろう。

 そういうドライな判断をする娘だと十分知っているつもりが、意外に思ってしまうのは天然ボケした印象が強い為か。普段一緒にいる時間が長いと、突拍子もない赤毛の行動にツリ目を剥くような事がしばしば起こるのだ。

 などと思っても何故か納得もできず、胸がモヤってスッキリしないフィスだった。


 人情オペ娘と天然気味な赤毛のふたりは、格納庫を後にして艦後部の中央居住区画へと向かっていた。ちなみにクレイモア級フォルテッツァは、刀身のような形状の艦体の前3分の2が兵装や戦闘用のブロックとなっている。

 フォルテッツァの艦内はターミナス恒星系を離脱後、急ピッチで改装が進められている最中だ。

 何せ、封印されて500年前後は無人で放置された状態。乗り込んだ当初は、本当に最低限の機能しか生きていなかった。

 基礎構造だけが健在で内装ガワが廃墟のように朽ちていた艦内は、ある意味で非常に見応えがあったと赤毛娘は思う。

 それから、約180時間。

 天井知らずの機関ジェネレーター出力と規格外に高性能な元素変換融合機T.F.M及び組み立て機アセンブラによる生産能力をフルに使い、艦内は凄まじい勢いで生活環境が整えられつつあった。


 艦後部の中心に位置するガレリア・ハブは、機関部や戦闘区、艦橋区、居住区、生産区、格納庫、これら艦内のあらゆる場所へ通じる中継点となっている。

 高さ150メートル以上の吹き抜けの空間に、左右対象シンメトリーに張り巡らされた空中歩道。

 通路の両脇に並んで浮いている、行き先案内や乗り入れている艦内トラムの発着案内表示。

 左右の壁を繋ぎ均等に配置されている空中連絡橋。

 デカデカとド真ん中に投影されている、船団の状況ステータスを示す立体動画映像ホログラフ

 そして、無数に行き交う人々やヒト型作業機ワーカーボット、飛び回る無人機ドローン

 未だ難民船と変わらない状況ながら、ガレリアは既に生活の中心地として機能し始めていた。


 そこで不意に、赤毛の少女が上を見上げていたオペ娘を自分の方へ引き寄せる。


「ッだぁ!? 危ねぇ!!」


 フィスのいた位置のすぐ脇を、タイヤの無い僅かに浮遊したバイクのような乗り物ヴィークルが高速で通り抜けていった。


「ふ……ふっざけんな死ねクソバカがぁ!!」


 突然の事に目を丸くしていたのも一瞬、即座に瞬間湯沸かししたオペ娘はツリ目を当社比50%増しで激昂。

 通行人の間を縫って走っていくヴィークルの背に怒りの叫びを投げ付けていた。


「ったく、レギュレーション出来てねぇからやりたい放題だな…………。いやレギュレーションはキングダムから引き継ぎだからガン無視してやがんだな。ヤロウはログからガラ割り出して晒し物にしてやるぜ」


 と、呪いを吐いていたフィスだが、唯理と抱き合うように胸同士で密着している己の状態を自覚し慌てて飛び退く。

 しかし赤毛の方は特に意識した様子もなく、逃げる暴走ヴィークルの方を目を輝かせ眺めていた。

 こういうとこ! と言いたいオペ娘である。


「アレひとつ欲しいなー…………」


「あ……? ハイムーブヴィークルか? ユイリが言えば船団の経費で落ちるんじゃねーの? あ、ダメだわ。オメーの場合アレで宇宙に出かねないからエイミーが許さん」


 オペ娘さんの吐き捨てるような物言いに、お口バッテンで文字通り閉口せざるを得ない赤毛のスピード狂。否定できないのが辛い。

 重力制御システムを持つ小型ヴィークルなら宇宙空間の移動も可能だが、防御シールドなどを搭載する積載スペースは無いのでお勧めも出来なかった。デブリが直撃すると死にかねない。

 

「ったく、やたらダダっ広いからああいうのが湧く……。ホント空間を贅沢に使ってる感パないな、ここ…………」


 ガレリア・ハブの一階部分は、21世紀で言う地下街を思わせる作りになっていた。

 宇宙船の居住空間など、通常は機械や機材の隙間にひっそり作られるものだ。

 だと言うのに、この広さ。

 オペ娘としても、呆れ返る他ない。

 もっとも、惑星の自然環境をそのまま内部に再現するような宇宙船を前にしては霞んでしまうが。


「ユートピアの連中はこういうの好きなんだろうけど、こっちは戦闘艦なのにコレだから…………。やっぱ戦闘の為だけに作られた船じゃないんだろうな」


 某裕福な金持ちの船団の宇宙船やキングダムの大型改造輸送船とは違い、クレイモア級は明確に戦闘を想定して作られた宇宙船だろう。しかし、内部の構造を見ればそれだけではない事が分かる。居住空間に割り当てるスペースが、戦闘艦にしては大き過ぎるのだ。

 このガレリア・ハブにしても、宇宙船内とは思えないほど広く取られているが、飽くまでも中継地点に過ぎなかった。


 戦闘と同じくらいに、内部にいる人間の事を考えなければならなかった・・・・・・宇宙船とは。

 そんな事を独り言ちるオペ娘を、赤毛の少女は玩具ヴィークルを欲しがった時とは別人のような目で見ている。


 100億隻の大宇宙艦隊。

 その作られた目的を知るのは、この村瀬唯理という少女に他ならなかった。








【ヒストリカル・アーカイヴ】


・ハイムーブ・ヴィークル

 主にひとり最大ふたり程度が搭乗する手軽な乗り物。21世紀でいうバイクのような物。

 基本的に重力制御で移動するのでタイヤが無い。赤毛娘には物足りないようだ。




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