26G.シャークアタック ナインボール



 トムナス恒星系グループの惑星イラオスで宇宙船を手に入れた、マリーン船長以下パンナコッタ号のクルー。

 とりあえず最低限航行できるだけの整備と準備を新しい船に施したのだが、以前の貨物船パンナコッタのような使い勝手を実現するには、当然の如く時間がかかると思われた。


 新パンナコッタ、製品名『H・Cブライトネス3C005』、全長100メートル、全幅55メートル、全高の65メートルのライトクルーザーである。

 4発のエンジンと重力制御による推進システムは、最高で19.5G――――――毎秒191.1メートル――――――の加速力と、やや低め。

 元は軍船という事もあり、メインジェネレーター、シールドジェネレーター共にはじめから高出力な物が乗せられており、生命維持システムも手堅い作りになっていた。

 レーザー砲は中距離焦点の10メガワットクラスという標準的な物が、船体上部に3基。

 部屋数も人数分以上あり、ペイロードもある程度確保されているという、バランスの取れた船となっている。


「つまり、面白味のねぇ船、と」

「もう……ほとんどノーマルなのは仕方ないじゃない。改造している時間なんて無かったんだから」


 新パンナコッタの船首船橋ブリッジにて。

 可もなく不可もない船のシステムを確認しながら、オペレーターシートの吊り目オペ娘がひとりごちていた。

 エンジニアのメガネ少女は、そのオペレーターシートの下に潜り込んで、何やらゴソゴソやっている。


 購入した中古船は星系内の紛争で使われていた機動戦力らしく、しかしそれ程消耗も見られない、状態の良い物だった。戦闘で人員が足りなくなり、以前の乗組員は別の船へ配置転換になったのだとか。

 つまりほとんど新品であり、それは喜ばしい事だが、平凡な性能で満足する娘さんたちでもなく。

 旧パンナコッタなどは散々改造しており、基本的な機能しか持っていない船では満足できないカラダになっていたのである。

 基本性能は以前の船よりかなり高いのだが。


「はい繋ぎ直したよー。センサー系、専用デコーダー通さず直結ね。そういえば前もやったっけ」

「どうせ自前のアルゴリズムにかけるしな。解析の解釈もデコーダーによって違うし邪魔になる」


 幸か不幸か玄人の多いパンナコッタの乗組員は、使い易さを重視したユーザーユースなシステムを、かえってもどかしく感じる事が多いそうだ。素人向けの親切設計が有難迷惑になる、と。

 一応宇宙船の共通規格として普遍的な部分は残すが、性能にせよ使い勝手にせよ徹底的に弄り倒すのが理系女子たちのやり方であった。

 

「えーと……? 20hd内のウェイブセンサーデータに誤差無し。データフローも問題無し。通信、環境センサー、船内センサー、自己診断問題無し。

 生命維持系、推進系、動力系、問題無し。クルーのトラッキングも出来てる。船内システムは正常に動作中。メインフレームチェック完了、っと」 

「大丈夫そうね。ワープのテストは出来そう?」

「ん……大丈夫なんじゃねーの? スクワッシュドライブとコンデンサも問題なさそうだし。ユイリ、プローブ準備できてるか?」

『いつでもどーぞ』

「んじゃーワープドライブのテストはじめるぞー」

「みんな念の為にブリッジに集合ね」


 最低限の改造を終えると、オペ娘は新しい船の機能を再度確認。全システムに問題が無いか自己診断プログラムにかけたが、やはり何事もなかった。

 船長席のお姉さんも満足そうに頷くと、最も重要な機能についてオペ娘に尋ねる。


 『スクワッシュ・ドライブ』。

 所謂いわゆるワープと呼ばれるような光の速度を超える航行技術は、銀河に広がる文明にあって、無くてはならない基幹技術だ。

 航路を決定する星図チャートや、電波より早く広範囲を探査する導波干渉儀ウェイブセンサーといったワープ周辺のシステムも、また然り。


 2点間の空間を圧縮し、データ上安全と思われる・・・・地点に飛び込むという航法は、言うまでもなく非常な危険を伴っていた。

 圧縮回廊が重力圏などの影響で曲がっていたら、予定の地点とは全く異なる場所に出てしまう事になる。

 星図チャートが古ければ、俄かに出現したデブリ帯など空間密度の高い場所に突っ込んでしまうかもしれない。

 それに、数hdから場合によっては数光年――――――1hd=約1億5,000万キロメートルから1光年=約9兆4,608億キロメートル――――――もの距離を縮めるスクワッシュ・ドライブは、当然の如く莫大なエネルギーを要する。

 回廊を形成できる時間は長くても数分であり、それだけのエネルギーを一度に用いる機械的、状況的リスクも大きかった。


 故に、ワープの実行には、慎重な上にも慎重を期す。

 今回は新しい船での初ワープという事もあり、船の外では赤毛娘がヒト型機動兵器で待機中だった。

 ごつい装甲の腕部マニピュレーターには、人間大のミサイルのような物体を抱えている。

 宇宙船に先行して周辺の調査などを行う小型探査機、『プローブ』だ。

 テストではスクワッシュ・ドライブで圧縮回廊を形成し、プローブを行き来させて安全性を測ろうという事になっていた。

 なお、スクワッシュ・ドライブの使用にあたっては、機関の出力を最大にまで上げる必要がある。

 前述の通りマシントラブルの可能性も高くなり、用心の為に全てのクルーを船橋ブリッジに集めていた。


 惑星『イラオス』の軌道上ステーションを出港して1時間30分後、75万キロ地点。衛星軌道を離脱し大分経っている。

 船は約18G、800秒の減速の後に静止状態へ。

 船首を星系外縁へ向け、スクワッシュ・ドライブのテストを開始した。


               ◇


 共和国派、皇国派で分裂しているトムナス恒星系だが、一週間前から両陣営で停戦状態となっている。

 だが、停戦期間とはつまり、戦争準備期間でもあった。

 戦闘が収まっている間に、両陣営ともに戦力の立て直しと兵力の増強に勤しんでいるのだ。

 また当然、それらの準備は秘密裏に進められ、時としてその事で両勢力の間の小競り合いが発生し、期間が明ける前に停戦が破られる事もままある。


 トムナス星系最外縁部を回る準惑星軌道上には、数万から成る小惑星帯が存在していた。

 『ビルクルス小天体群』。

 恒星系の惑星軌道に、引力によって小惑星帯が形成されるのは珍しくない。

 このような空間密度の高い場所は、ワープでの突破はほぼ不可能となっていた。

 よって、宇宙での航行速度から見ると止まっているに等しい速度で慎重に通過しなければならない。

 その為、航路からは外されるのが常となっている。


 それを、わざわざこんな所に来るのは、正規の航路を使いたくない理由がある船か、武装のテストに来た改造貨物船くらいのものだろう。


 親皇国派、トムナス星系軌道防衛軍の第332艦隊所属、50th高機動巡視部隊。

 主力となる高速重巡洋艦『ドリンダルネ』620メートルクラス、以下軽巡洋艦10隻、駆逐艦7隻、フリゲート4隻。

 これら22隻から成る小艦隊は、秘密任務により星系外縁の小惑星帯に来ていた。


 ビルクルス小天体群には、高機動巡視部隊の艦艇の他、900メートルクラス貨物船と護衛船である巡洋艦2隻もいた。

 輸送船には独立惑星国家にネットワークを持つ企業ロゴが入っていたが、実態は違う。

 その正体は、皇国軍スキュータム・ライン方面艦隊特務艦隊司令部の秘密工作部隊に所属する偽装船である。


 高機動巡視部隊と秘密工作部隊、両者は無数の小惑星に混じって、積み荷の受け渡しの最中だった。

 皇国側から引き渡されるのは、星系内での使用が条約で禁止されているブラックホール兵器だ。

 惑星、小惑星、その他天体の公転軌道に重大な影響を及ぼし、惑星内環境すら脅かす為に、銀河のほぼ全域で禁じ手とされている兵器である。

 この時代では、反物質爆弾、人工恒星兵器、これらに並ぶ天体規模破壊兵器だった。


 当然、こんな現場を敵対勢力に見られるのは非常に拙い。

 公的、政治的非難の対象になれば自陣営の正当性が失われるし、それを理由に相手も同様の兵器を持ち出したら際限なく緊張が高まり、何かの切っ掛けで暴発しかねない。

 星系軍内の皇国派としても、母なる星が消えてしまっては元も子もないのだ。

 ならばそんな兵器を持たなければ良いのだが、自分たちだけは最終的な切り札を持っておきたいと考えるのも、人類史はじまって以来変わらない根性である。

 だからこそ秘密裏に、こっそりと兵器の提供を受ける為に、小惑星帯などという辺鄙な場所で落ち合っているのだが、



 そんなところへ、何者かがワープアウトしてくる重力反応が現れたのだから、現場は一瞬で大騒ぎになった。



「約23万キロ恒星寄りにスクワッシュドライブ反応! 反応小さい! 小型艇か探査機と思われます!」

「共和国側に泳がされたか!? 搬入作業は!?」

「2基は詰み込み完了! 1基は作業中です!」

「不明機減速! 反転して回廊に再突入します!!」

「こちらを走査されたか!?」

「センサーの動作は確認! ですがこちらを探知したかは不明です!」


 騒然となる高速重巡『ドリンダルネ』艦橋ブリッジ内。

 その舷側では、横付けした偽装船から大仰なコンテナが運び込まれている真っ最中だった。

 事実、大仰にするのも当然な荷物だったが。


 ワープして来る小型機、それも直後に圧縮回廊へ戻るという事は、恐らく探査プローブの類だろうと艦長は考える。

 探査プローブの目的は、文字通り投入先の調査だ。23万キロ程度の距離なら、身を隠しているとはいえ艦隊の存在も知られた可能性があった。

 皇国軍の偽装船は、荷物の放出が終わっていた為にすぐさま離脱を開始。ブラックホール兵器の提供など、露呈したらそのダメージは小さな星系国家の比ではないのだ。

 星系軍皇国派としても、見られたからには相手が誰であろうと口を封じなければならない。


「星系内からのワープだな!? 回廊出口を見つけろ! それらしい船をマークしたら目を離すな!!」


 すぐさまレーダーオペレーターに目標の捜索を指示する艦長。

 高速重巡の導波干渉儀、センサーシステムが圧縮された空間の先を走査するが、事態は思わぬ方向へ進む事になる。

 『それらしい船』が、自分からビルクルス小天体群へワープして来た為だ。


                  ◇


 探査プローブのワープテストから30分後、本船のワープ航行も問題無く成功し、新型パンナコッタは10Gにまで加速度を落とし航行中だった。

 次の目的は、小惑星帯を使った資源採集と、武装の調整だ。


「フィスちゃん、何か船に問題は?」

「無いねぇ…………。強いて言えばコンデンサのチャージに時間がかかり過ぎる問題。まぁこんなもんなんだろうけどな」

「ジェネレーターには様子を見て手を入れるし、サブジェネレーターと予備コンデンサも手に入れば付けるわよぉ」


 詰まらなそうに言うオペ娘に、少し怒ったように頬を膨らませるエンジニア。

 船の性能が物足りないのは自分のせいではないが、手を付けられないので口惜しい思いをしているのは事実。

 パンナコッタのエンジニア担当として、不本意なのはエイミーとて同じなのだ。


「ハァ…………ユイリのエイムも直してあげたいのに。高感度アレイ、ネザーズの高圧対応バス、ブースターの変調点火レーザー、短波長屈光結晶ー…………」

「物欲を並べるな物欲を」

「ごめんねー、ビンボーな船で…………」


 しかし、今は時間も無いがお金も無い。船長のお姉さんも、煤けた笑みでかしいでいる。

 せめて以前の船のパーツが使えたら、と思うと、別れたのが余計に物寂しかった。手がかかる子だったので、余計に。


 微妙な空気となり船橋ブリッジに沈黙が下りる。

 が、それを破ったのは「あん?」という通信オペレーターの漏らした声だった。

 すぐに操作卓コンソールを叩いて間違いが無いのを確認すると、そのまま情報を船長席へ上げる。


「船? 20万キロ?」

「アステロイドに混じってやがった。ったくセンサーアレイのレス遅いから区別がつきやしねぇ」


 三次元のレーダー映像には、小惑星の密集地帯から飛び出してくる船影が映っていた。

 我ながら言い訳みたいな事を、と歯がみするオペ娘のフィスだが、平凡な装備に固さの残る小慣れないシステムとあっては、万全とはいえないのも事実。

 そこを、専門職の知識と工夫でどうにかしなければならないのだ。


「えーと船数22、一番デカいので600メートルクラス。船種を解析中……『マラガランパス』? ニュータクティカルシステムズ社製造の重巡洋艦。星系艦隊の使っている船と同じ型だな。こんな所で何やってんだ?」


 センサー類を一点に向け、返って来る情報を自作のフィルターとアルゴリズムにかけ詳細に分析するオペ娘。仕事が早い。

 船橋ブリッジのディスプレイに表示されるのは、艦首が半球状の物理シールドになっている、細長い艦体で後部に単発大出力エンジンを持つ重巡洋艦だ。両絃にカヌーのフロートのように突き出る、独立した武装ステーションを持つ。

 他の船のデータも照合し、それらの構成から船団がトムナス恒星系軍艦隊所属であるのは間違いないと思われた。



 問題は、どうして正規軍がパンナコッタを襲ってくるのか、という事で。



「船団、てか艦隊だなこれ。多分星系軍艦隊、時速76万キロ、20Gで接近加速中。センサーで走査されてる。向こうのECMを確認。完全にやる気じゃねーか……。どうするマリーン姉さん」

「フィスちゃん、シールド展開。ECM、ECCMを最大にして。スノーちゃん、船首回頭面舵40、上げ5度、最大船速。アステロイド帯に逃げ込むわよ」

「了解……右40度、上5度」

「そうなると思った…………。ったく初乗りでこれかよ。

 シールド全周展開。ECM作動、ECCM作動。

 おっと、先行艦フリゲートのレーザーがホット状態になったぜ。通信どうする?」

「……一応やっておいてちょうだい」


 明らかな戦闘機動を見せる星系艦隊に、とにかく安全を確保すべく動きはじめるパンナコッタ。

 オペレーターのフィスは攻撃しないよう通信で相手に求めるが、その直後に問答無用で山ほどレーザーを撃ち込まれる。

 電子妨害ECMが効いているので狙いは外れたが、数も火力も艦隊の方が遥かに上だ。

 速力で見てもパンナコッタが逃げ切れるものではなく、小惑星帯に飛び込もうというのは当然の選択だった。


 進路を変えて一目散に逃げる武装貨物船へ、後方からレーザーを撃ちまくる星系艦隊。

 センサーによる走査スキャンを妨害し、偽の情報を送り、シールドで防御し、回避運動を取っても、22隻から成る艦隊の攻撃をわし切るには至らない。

 赤い光線はパンナコッタを囲むように発振され、時にシールドを掠め、悪くすると直撃する。

 シールドはレーザーを捻じ曲げるが、その度にジェネレーターには高い負荷がかかっていた。


「シールドジェネレーター過負荷、出力50――――――――35パーに落ちる! クッソこの船コンデンサがバッファに使えねぇ!?」

「進路まっすぐ。スノーちゃん回避運動はもういいわ。少しでも早くアステロイド帯に入って。フィスちゃん、レーザー砲を準備して」

「え!? い、いいけど、やり合うのかよ姉さん!?」


 4発の後部ブースターを目一杯ふかし、無数の小惑星が滞留する空間へ脇目も振らず突撃する武装貨物船。

 実際あまり良い手とは言えないのだが、全く何も無い空間で22隻もの戦闘艦から撃たれ放題撃たれるよりはマシといったところだ。

 もちろん、戦うなど論外。

 武装を準備させる船長にも、何か違う考えがあるとオペ娘は信じるほかない。

 幾筋ものレーザー光が、船のすぐ横を薙ぎ払った。フィスの電子妨害ECMアルゴリズムが、艦隊のオペレーターに対応され始めている。

 小惑星帯突入まで、残り1分。船の速度は時速90万キロオーバー。距離約1万5,000キロを、減速無しで突撃する。

 これなら逃げ切れるか。

 そう思われた直後、連続してレーザーの直撃を受け、船のシールドが撃ち抜かれた。


「ひゃぁあああ!?」

「うわーん!!」

「ッ……そ!? やられた! シールドダウン! 冷却は……システムエラーだとふざけんなバカ!? 右舷側外殻ブロックにエアリーク警報! R2エンジンオフライン! エリア隔壁封鎖! R2エンジンへのパワーバスカットオフ!!」


 無防備な船体を超高温の熱線が抉り、右側面が損傷する。

 船橋ブリッジに重力制御で抑えきれない激震が走り、隅っこにいた小柄な双子が悲鳴を上げた。

 同じ頃、格納庫カーゴ内では赤毛の少女がヒト型機動兵器に搭乗し、ジッと発進待機スタンバイ中。

 オレペーターはすぐさまダメージコントロールに入るが、直後に来た船長の指示に目を剥いていた。


「フィスちゃん、アステロイド帯に入ると同時に至近の小惑星をレーザーで撃ってちょうだい。ブレイクショットよ」

「はぁッッ!? あ! そうか!!」


 『ブレイクショット・エフェクト』。


 古い名称ではケスラー・シンドロームとも言い、宇宙空間における物体の破壊が破片デブリの飛散により他の物体の破壊へと連鎖し続ける現象を言う。

 大気中なら物体の運動エネルギーは空気の抵抗を受け徐々に減少するが、真空中ならそれが無い。

 破片は何かに衝突するまで速度とエネルギーを維持し続け、衝突すればその物体を破壊し新たな破片を生むだろう。


 そして、無数の小惑星が漂う一帯は、まさに打ってつけの条件が揃っていると言えた。

 良い事とも言えないが。


 小惑星帯突入のまさにその瞬間、操舵手の小さな少女は最大減速をかける。緩衝しきれない逆重力加速度で、船内の人間は前に吹っ飛びそうになった。

 同時にオペレーターは、船尾に対してX軸が重なる小惑星を攻撃目標として捕捉マーク。一瞬で射撃指揮装置イルミネーターへ入力し、自動攻撃を開始させる。

 船が駆け抜けた直後、船体上部のレーザータレットから放たれる光線。

 それは岩石でできた小惑星を爆砕し、密集した空間内でアッという間に連鎖した。


「うーわヤベェ!!?」

「スノーちゃん! ……お願いね」


 巻き起こる粉塵に、砕け散る無数の破片。

 艦隊からの攻撃もそれらに阻まれるが、パンナコッタはぶつかり合う巨石の只中にいるのだ。

 前後左右に上下から小惑星の破片が押し潰さんばかりに迫るが、船はサイドブースターと重力制御を駆使して転がるように逃げ続ける。

 こういった状況では、メインフレームによる軌道予測も自動操縦もアテにならない。

 頼りは、腕の良い操舵手のみとなる。


 とはいえ、それも絶対ではないのだが。


「ちょぉおおお!!? スノーてめぇ自分から突っ込むなよ!!」

「ここが……一番薄かった」

「フィスちゃんシャッター下ろしてシャッター!」


 ビシビシッ……! とシールドの無い船体に衝突する細かな破片。

 比較的障害物の密度が少ない部分を選んでいるとはいえ、恐らく買ったばかりの船の装甲はボコボコになっていると思われる。

 これも一応、一流の技ではあった。


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