外伝パート②イケメン巨乳教師・チトマス先生

アルマ

 イケメン巨乳教師・チトマス先生


   【~炎の成人式編~】


 今日はめでたい新成人達の門出の日、いわゆる成人式だ。それは植民惑星ケプラー22bのオーミモリヤマ市においても、地球と同じように行われている。本当に大切な通過儀礼であり、恒例行事なのである。

 だが、決定的に違うところがある。それは、ずばり年齢だ。晴れ着に身を包んで並ぶ男女の顔には、まだ幼さが残っている。地球と違い平均寿命が短いこの惑星では14歳で成人と認められるのだ。

 

 しかし、なぜ私が成人式の会場に特別ゲストとして招待され、あまつさえ壇上に上がってVIP扱いされているのだろう……全く経緯が分からない。男物の渋い色のスーツに身を包み、引きつった笑顔を若者達に投げかけてはいるが、誰も私が何者であるのか、更に女性である事でさえ気付いていないのではないか。

 ここケプラー22bにおいて男女同権が確立されたのは、つい最近の事。革命成就の前までは成人式といえば女性達だけのアマゾネス成人式だったが、今回からはB級奴隷、もとい男性達も参加が可能となったのである。正に記念すべき日と言えるだろう。

 

 さっきから気になっている紅顔の美少年は私と同じように中性的だな。もし私とイチャイチャすればBLの世界が……なんて馬鹿な妄想を抱いていると、ミューラー市長から名前が呼ばれた。青い眼鏡のフレームに美しいふんわりとした金髪をまとうスタイル抜群の彼女は、近々ケプラー22b総督に任命されるという噂の超エリート女史だ。ピシッとした細身デザインのグレー色スーツがよく似合っている。


「こちらは革命の功労者の一人、チトマス元巡査です。彼女は警察官を退官し現在、教職員を目指して猛勉強中なのですが、こうして皆さんの晴れ舞台を祝うために、わざわざ駆け付けてくれました……」


「いやあ、どうも……!」


 直立するとスポットライトを浴びせられ、どぎまぎしてしまった。本来ここに呼ばれるのはオカダ太陽系外植民惑星査察官なんじゃないのか?! 場違い感がハンパない。それでも胸のリボンをヒラヒラさせながら、お尻を丁寧に壇上の席に乗せた。


 そこで突如、会場がどよめく。何だ? 私の挨拶がそんなに異様だったのか、ヘマしたのか? 思わず服装も含めて再確認しながら周囲を注意深く見回す。

 ……目を凝らすと、大声を放つヤンキー風の男どもが警備員の制止を振り切って壇上を目指していた。


「新成人代表ここにあり~!」



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