ビュドロザ
巨大
「何よ、あと一歩! もうちょっとなのに!」
アディーは、唇を噛み締めて悔しがった。チトマスもグローブをはめた拳を握り締め、装甲ドアを叩いて舌打ちする。
「遠隔操作で地雷を爆発させる事はできないの?」
「う~ん、古いタイプだからね。100キロ近くの重さが加わらないと反応しないわ」
「あれだけたくさんの足があったら、どれかで踏んでくれないかしら」
「実は対蟹地雷で倒せたケプラーモクズガニは一体もないの」
「がっくり……」
アディーは両肩を落として車内で脱力した。
予想に反してケプラーモクズガニは進行方向を変えてきた。最短距離で仲間の死骸の所に横ばいで進んで来る。
「あちゃー、どうするアディー」
ここからでは遠すぎて、彼女の腕では狙撃できない。
「正直……あと一発であいつを倒せる自信はないわ」
所詮アディーは専門の訓練を受けていない素人だ。チトマスは射撃を交代しようかと考えたが……。
「一体目の近くに地雷を一個置いたでしょ。アディー、あれを狙うのよ」
「チトマス、私もそう思っていた」
ケプラーモクズガニは仲間の屍にたどり着き、覆いかぶさった。共食いで命を繋いできたのか……巨体を維持するのも大変なのだろう。ハサミを器用に使って死骸の解体を始める。
「どう? ……そばに置いた地雷は踏みそう?」
チトマスに尋ねると、うまく避けているらしい。さすが知性があると言われているだけの事はある。
「できるだけ近付くのがいいけど、失敗して逃げる事を考えたら、ここからの方が安全ね」
アディーの腕前ギリギリの狙撃距離だ。
観測すると無風状態で太陽は背、気象条件は良好。
「スコープ越しに地雷を発見したわ」
よく見ると現在、
「よし、一か八かやってみるわ」
「いいよ、覚悟を決めよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます