バンベルガ

 僕とシュレムはスタリオン高機動車に乗り、奴隷解放革命の戦況がどうなったのか視察に向かった。天井のハッチにはスケさんが陣取り、攻撃してくるアマゾネスに対しミニミ軽機関銃で応戦している。


「あのブエルムとかいうS級奴隷はどうなったのかしら」


 シュレムは四つんばいになり、スタリオン後部に乗せている医薬品や応急キットを確認しながら言う。


「とどめは刺さなかったけど、あれだけのダメージを受けたらタダでは済まないだろう。後は逃げるが勝ちだ。君でも知っているほどの有名人だったのか」


「あの顔を見た時には凍り付いたわよ。TVで何度も報道されている殺人鬼みたいな奴だからね」


 彼女は短いタイトスカートのお尻でうまくバランスを取りつつ、スケさんに外部の状況を訊いた。


「あちこちで、小競り合いが続いている状態ね。戦いが終息するには、まだまだ時間が掛かりそう」


 スケさんに頭部を保護するヘルメットとゴーグルを借りたシュレムは周囲を見回しながら叫んだ。


「……あっ! あれは!」


「どうしたの? シュレム」


 シュレムは、遠方にオオカミらしきアニマロイドが走り抜けていく姿を発見したのだ。しかも一頭や二頭ではなく集団だった。


「私、オーミモリヤマ市のひどい有様に頭がどうかしちゃったのかしら?」


 ちょうどその時、聞き慣れた間抜け声が聞こえてきた。


「お~い! オカダ君、それにスケさんとシュレムさん。えらいこっちゃ、大変やで」


 カクさんがケプラー22b総督府前からスタリオンを見かけるなり、大急ぎで走ってきたのだ。


 彼からの脳内通信テレコミュで、大まかに聞かされてはいたが、全く酷い状況だ。広場が地獄絵図のようになっていようとは。

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