アーデルハイト
突然の衝撃的な発表に一同が口をつぐみ、水を打ったようにしんとなった。誰もがシュレムの次の言葉を待っているように固まってしまったのだ。
「あれ? もっと大騒ぎになるのかと思ったけど、こんな感じ?」
「ええええええ~!」
アマゾネス達が、ひっくり返った。
「オカダ査察官を……こ、購入って、一体どういう事なんですか?」
やはり一番に反応したのは、僕の信奉者であるチトマスだった。
「ゴールドマン教授から何も聞かされていなかったの? B級奴隷として出発したオカダ君だけど、商取引に登場したと同時に、私が落札して購入を決めたのよ」
僕はシュレムに買われた実感もなく、流れに身を任せるしかなかった。
「ゴールドマン教授が購入資金のほとんどを肩代わりしてくれたのよ。だから正確には教授が援助してくれて自由になったオカダ君を私が面倒見るって感じかしら」
「やった、オカダ君が専属奴隷として来てくれるってよブリュッケちゃん!」
「いやっほう! 宿題を全部見てもらおう。毎日いつでも好きな時に遊び相手になってもらえるかな?」
シュレムの妹達は呑気に色々と言ってくる。僕は女子寮に男は大丈夫なのか心配になったが、半ばヤケクソで宣言した。
「もう、好きにしてって感じ。皆お手柔らかにお願いします!」
いたずらっぽく笑うシュレムは掃除・洗濯・家事などを全般的に任せちゃおう、なんて言っているよ。
シュレム・マリオット姉妹、それにブリュッケちゃんと暮らす生活はどんなものなのか……。
「私達も手伝ったり、様子を伺いに来るから大丈夫だよオカダ君」
スケさんはそう言ってくれたが、嬉しいような悲しいような生活だな!
落ち着かせようとするアディーの腕を振り払ってチトマスが叫んだ。
「オカダ査察官、私も、いや自分にもお仕事を手伝わせて下さい! 私が持っている端末に連絡を入れて下されば『いざ鎌倉』という気持ちで、いつでも30分以内に馳せ参じるように備えておきます!」
もはや地球人でも知らないような言葉を、ケプラー22bのアマゾネスであるチトマスが何で知っているんだろう……。
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