イザベラ
「カクさん、こっちは暇だったので倉庫に戻って色々調べてみたんだが、地下室に誰かいるぜ」
「え? 全然気付かなかったけど……オイラの屁で目が覚めたのかな?」
警報装置の音がけたたましく鳴る中、段ボール箱だらけの薄暗い倉庫に引き返すと、隅にある階段を下りた。
「うわぁ!」
突如、地下室の鉄格子付きのガラス窓に痩せた男が張り付くと、拳でドンドン扉を鳴らした。
何か言っているようだが、あまり聞こえない。
「おい、どうする? 男が捕まっているみたいだけど助けるか?」
僕がカクさんに言うと、彼は鼻ですんすん周囲の臭いを嗅いだ。
「顔と臭いに覚えがある、確かランドルトだったかな?」
「ええーっ! 湖賊ビルショウスキーの一員だった奴か? 今日、双子の姉と出会って話したばかりだというのに、何という運命の巡り合わせじゃ!」
「姉だと? オイラが知らない間にどこで会ったの? 美人なのか?」
時間がないので、とにかく救出しよう。カクさんの質問には答えず、閉じ込められているドアのロック部分にフランキ・スパス12ショットガンの散弾を浴びせた。破片に目を背けていると、間髪入れずにブリーフ姿のランドルト弟が中から飛び出してきて肝をつぶす。
「しばらくぶりです! お、オカダ査察官でしょう?! ありがとうございます!」
「お前、何で裸なんだ? いいから、さっさとここから逃げるぞ!」
多少ふらつくランドルト弟を先頭に、僕らは段ボールに埋め尽くされた倉庫を横切り、出口に向かって力の限り走った。
「……チッ! グズグズし過ぎたか」
パークス商会1階の駐車場まで出ると、スタリオン高機動車の向こうから警備会社のツートンカラーのワゴン車がサイレンを鳴らしながら突進してくるのが見えた。運転しているのは、紺の制服を着た柔道部にいそうなアマゾネスのペアだ。僕らを発見したのか、ややスピードを緩めたのが分かる。
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