アウソニア
僕は机の上に飛び乗り、天井から長さ1mぐらいの蛍光灯を二本抜いて傍に置く。
「オカダ君、後ろ!」
スケさんが窓の方向に注意を促した。屋上からラぺリングで数人の戦闘員が降下してきたのだ。そのまま窓ガラスを両脚でぶち破り、ロープごと市長室に侵入してきた。
「キャー!」
シュレムはゴルフクラブで戦闘員の頭をノックしたが、ヘルメットを飛ばしただけだった。すぐに数人から羽交い絞めにされ、クラブも奪われる。
「ちょっと! どこ触ってるのよ!」
白衣が少し破れる音がした。三人の男に襲われて、さすがのシュレムも身動きを封じられる。
「コラー! その生意気おっぱいは俺の物だー!」
僕は戦闘員を一人残らずシュレムから引き剥がすのが早いか、長い蛍光灯を両手に構えながら華麗に振り回し、片っ端から殴った。もちろん、ただのこけおどし。蛍光管は音を立てて粉々に砕け散った。
「誰が生意気おっぱいよー!」
シュレムは目の前の男二人の首根っこを掴むと、シンバルのように頭同士をかち合わせた。
彼女の足元に崩れ落ちる二人。……怪力女だ。これがアマゾネスの実力か!
威嚇するオオカミとジャガーの姿を見て、残りの戦闘員が恐れをなして窓の方に逃げ出す。僕は武器になりそうなものを探した。
「逃がすか!」
壁に掛かっている丸時計を掴むと、フリスビーのように男に向かって投げつける。見事、メットなしの後頭部に時計が直撃し、戦闘員は下の植え込みに落ちた。
「やるじゃん、二人とも!」
カクさんに褒められた。そしてスケさんは叫ぶ。
「オカダ君、スタリオンをここに呼び出した方がいいわ!」
スタリオンとは、例の頼りになる高機動車の事だ。……もうとっくに呼び出しているって。
市民病院から市役所まで自動操縦で10分ってところか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます