第12話 大晦日には激闘を 後編

「いいかチサト。オレがいいと言うまで黙ってるんだぞ」

 チサトは答えずにまた一口、豆乳を飲んだ。


 現実同様、DOFもお金は重要だ。

 ゲームを楽しむには強い装備を市場で買い漁り、身を固めて冒険に出るのが手っ取り早い。優れた装備は光を帯びており、こんな夜には殊更目立つ。

 花蝶姫は全身をキラキラさせながらやってきた。

「おまたせでした!」

「ああ。なんというか……。取り巻きがいっぱいだね」

 花蝶姫は十数人を引き連れてやってきた。口々に何かを恵んで欲しいと嘆願している。

「仕方ないですね」

 花蝶姫は硬貨をばらまいた。お礼を言いながら人々は争うように拾って、そして慌ただしく去って行く。

「装備が凄いと大変だね」

「そうですね」

「まあ、あれも、乞食プレイもあれはあれで楽しいんだよ。案外上流の人がやってるかもしれない」

「そんなものですか」

「まったく自分とは異なる人間を演じるというのも案外面白いんだよ」

 

 お正月。ともなれば薄汚れたダンジョンを駆けずり回るよりは街で騒ぎ回る方が似つかわしい。

 追っかけを引き連れた女の子がぞろぞろと街を練り歩いている。女の子の頭上にはwebカメラで実況中継している様子が映し出されている。まあ、確かに美人さんだ。最近ではDOF内でタレント活動をしている者も増えている。ああいう手合いはきっと男どもから沢山貢がせているだろう。

「こんばんは!」

 突然、男女に声を掛けられた。オレはマイクの設定を全公開にして。

「こんばんは」

「あの、宗教は何を信仰されてますか?」

「いえ、今のところは何も」

「そうですか! 是非、戦いと鍛錬の神アスカリダを信仰してみませんか?」

「いやー、宗教って戒律とかあるじゃないですか。あーゆーの色々面倒で」

「DOFの華は戦闘です。戦いと鍛錬の神アスカリダは必ずや貴殿の力となるでしょう」

 ぐいぐい来るなあ。

「実はこのキャラ、2ndなんですよ。実は1stは戦いと鍛錬の神アスカリダの司教です」

「なんとそうでしたか! でしたら2ndも……」

「いや、2ndは違う育成を……」

「いえ、貴殿は戦いと鍛錬の神アスカリダの力を御存知のはず! 是非……」

「失礼します」

 オレはマイクの設定を非公開に戻した。

「行こう」

 四人は逃げ出した。どうせみんな勧誘されるに決まってる。

「何、今の人達?」

 チサトは何でもく。そしてオレが何でも答えると思っている。

「聞いての通り宗教の勧誘だよ」

「神様を信じて何かいいことあるの」

「DOFには合計10の神々が存在する。そんで信仰の見返りとして神業テオルギアという能力を与えてくれるんだ。更に信者の数により神業テオルギアの力が増す。ほら、あっちでもこっちでも様々な神の宣教師が勧誘を行っている。これも一つの戦争みたいなもんだ」

 おっと、花蝶姫をほったらかしにしちまった。

「花蝶姫はDOF始めてどれぐらい?」

「一ヶ月程ですわ」

 その割に装備は全部伝説級レジェンダリか。恐ろしい。おそらく一人(ソロ)で柴式部先生に突撃して犬軍団に袋叩きに遭ったのだろう。いくら強い装備でも、背後からしこたま殴られたりすればやられてしまう。


「カガミ様。あの……フレンド登録して下さらない?」

「うん」

「良かった! お断りされてしまったらどうしようと思っていましたわ!」

 部屋に、チサトの荒い息が響く。

「あ、空をご覧になって?」

「え?」

 オレは現実リアルのことかDOFのことか迷った。

 視界一面、カラフルに染まり、小気味いい破裂音が鼓膜を打った。はらはらと零れるスターマインの残滓がなおちりちりと闇に爪痕を残し、ふっと果てる。続いて申し訳程度に大晦日と正月の常套句を並べて置いて、滑稽なアスキーアートを描いた花火が続々と夜空を飾り、笑い声が方々から伸びた。


 チサトが立ち上がってオレの膝の上に乗ると、乱れた息を押し殺しながらこう宣う。 

「ねえヒメハナマガリアツバさ。うざい。消えて?」 

「ヒメハナマガリアツバ? どなたに向かって仰っているのかしら」

「そう。アンタさ、出会い厨でしょ? そんなどっから出してんのかわかんないような媚びた声で男にすり寄ってんでしょ?」

「はっ……」花蝶姫が忍び笑いを漏らす。「あなたもしかして、ブラコンでしょ?」

「なっ……」チサトは絶句した。一瞬オレに目を遣る。オレは気づいていないふりをした。無理があるけど。


「な……そ……」チサトは何かを言いかけた。「ヒメハナマガリアツバには関係ないでしょ?」チサトはオレのパソコンを勝手にいじり、いつの間に覚えたのか、蝶花姫にビデオチャットを要請した。しかし花蝶姫は即座に拒否。


「なんで拒否るの?」花蝶姫は答えなかった。チサトは鼻息荒くして設定をいじくり、オレのパソコンのカメラの映像を花蝶姫に見せる。そして自身はオレの足の間に座を占めた。

「な……どうしてあなたがそんな所に座ってらっしゃるの? 退いて頂戴」

 オレは両手を床についた。気配を察したチサトがオレの首根っこをがっしり掴む。チサトは笑って口を開いた。

もしこの世に罵詈雑言のデパートがあるとしたらチサトも陳列して貰えるだろう。チサトはいかに蟹でもここまで泡を吹くこともないだろうと思われるほど泡を吹き、憤然として豪腕を振るい、海老反り、オレに適宜てきぎ打撃を加えた。花蝶姫も負けなかった。

 オレは余りに暇なので携帯電話でヒメハナマガリアツバについて調べてみた。

 チサトはひどい奴だ。蝶じゃない。北海道以南に棲む蛾だ。……。蛾の皆さんに対する風評被害に当たるかもしれない。ごめんなさい。別に蛾の見た目が気持ち悪いとか手に付いた鱗粉がなかなか取れなくて最悪とかそういうことを言いたいわけじゃないんです。

 銃弾飛び交う戦場で、オレは首をすくめて潮目が変わるのをじっと待つしかなかった。


 オレが顔を上げると、二人とも呼吸困難になったのだろう。暫定的な一時休戦に移行した。歴史は活かされず、ああ戦争とはやはりかくも不毛なものだ、と和平も済んだ後にようやく気付かされる。ほら、可哀想に。非常食もこんなに怯えて。


「ヒメハナマガリアツバと顔を突き合わせて話していたらきっと殺してた」

「奇遇ね。あたしも貴女の体になら刃を何万回だろうと突き立てられると思うわ。こんなにも人を憎んだのは初めてなの」

 チサトは鼻で笑う。

「ヒメハナマガリアツバがそこで泣こうが叫ぼうがチサトは痛くも痒くもないし、ヒメハナマガリアツバがいくら手を伸ばしても届かないカガミだって見ての通りチサトの座椅子。これが現実」

「ご覧なさい。お兄様はもううんざりといったご様子よ」

 はい。

「さあ、あたしがそこな粗暴な妹君から解放して差し上げます」

 チサトは一笑に付して。

「ヒメハナマガリアツバに何ができるって言うの?」

 チサトはボイスチャットを切断した。せいせいしたと言わんばかりに一呼吸。「さて……」チサトが立ち上がって。

 違和感があった。何か、おかしい。

 

 ゆっくりと、確かめる。桃色を基調にした金襴緞子の振り袖だ。両翼を挙げた鶴、青梅、桜。散りばめられた銀縫錦。袂まで来る長い袖。部屋の隅に所在なさげに飾られたドレスに負けていない。そして、彼女は小首を傾げてきらり赤眼鏡を輝かせ破顔して。


「来ちゃいました♡」

オレの体が跳ねた。待て待て、勝手に動くんじゃないよ。そして、思考停止。してる場合じゃない。どういうわけか働こうとしない怠惰な脳に鞭打って考える。気が動転してる。名状し難い恐怖にとても冷静でいられない。


「君は……花蝶姫?」

「ええ」

「どうやって、ここに来たの?」

「存じません。あたしも、知りたいくらいです」

 そしてすっと表情を引き締め、チサトを見遣った。チサトは唇を固く結んで目線をぶつける。


「ひとまず、矛を収めません?」

「ほ……こ?」

 チサトの目が焦点を失っていた。ともかく平和は訪れた。


「あたし、初詣はつもうでに行く予定でした。でも、こんな所に来てしまいましたわ」

 はい。こんな所に来て頂いて大変申し訳ございません。

「今頃、家の者が大騒ぎであたしを探していると思いますわ」そう言って花蝶姫は口の端を上げた。「別に行きたかったわけではないので、これはかえって勿怪もっけの幸いかもしれませんわね」

 花蝶姫には驚かされた。突然見ず知らずの家に飛んできて、よくもこう泰然としていられるものだ。……それとも、何か嘘をついているのだろうか?


「このドレスはどなたのかしら」

「ルーシーのだよ」

 花蝶姫は遠慮なくルーシーの着ていたドレスに手を伸ばす。

「これ……オートクチュールじゃないかしら」

「それお菓子じゃねーよ」

 たぶん、チサトは特注品オートクチュールを高級チョコ《クーベルチュール》あたりと聞き間違いしている。

 ルーシーのドレスが殺風景なオレの部屋の一角に所在なく吊されていた。花蝶姫はレースをめくっては感嘆の声を漏らしている。

「縫い目がほとんどありませんの。一体、どんな技術で縫製されているのでしょう」

 

 そうして花蝶姫はオレの家をくまなく見回した。非常食は怯えてこたつの中から出ようとしない。

「そうだ。せっかくですしテレビが観たいですわ!」

 花蝶姫の家にはテレビがないのかな。

「あ、わたくしも、観たいわ」とルーシーも合わせる。

 テレビを点けると格闘技をやっていたのでチャンネルを変えようとすると花蝶姫はそれが観たいと言い出し、食い入るように見ていた。


 きっと格闘技なんて観るのは初めてなんだろう。二人はどういうわけか意気投合し、ガチ《セメント》なのか脚本通りなのか判らない闘いを歓声と悲鳴を上げて観戦していた。花蝶姫がそばかりんとうに手を伸ばし、食べる。


「これを作ったのは貴女?」

「いいえ、カガミよ」

「まあ、そうなの? お名前はカガミ様と仰るのね。あ、あたし、いいことを思いつきましたわ! カガミ様、貴方わたくしの家にいらっしゃらない? そうして厨房でわたくしのために料理を作ってくれたら嬉しいわ」

 ああ。お先真っ暗だったオレの人生に、一筋の光明が。そうだ! オレは今より料理の道を志し花蝶姫のコックとしてたゆまぬ研鑽の末、分子美食学ガストロノミーの権威として世界に名を馳せるのだ!


 何だか今日は熱い日だな。額に汗がにじむ。

 振り返るまでもない。……チサトが燃えている。今ならまだぼやで済むだろう。オレは口を開いた。

「ごめん。オレにはもうやりたいことが決まってるんだ」ねーけど。

「あら残念。心変わりがありましたらいつでも仰って下さいね。お待ちしておりますわ」

 やがてテレビの格闘技はメインイベントが終わり、花蝶姫はすっくと立ち上がる。


「もう夜も遅いですし、今日はこの家に泊めて頂きましょう」

 はい。……結構ずうずうしいんですね。

 TVを見終わったら帰るものだと思い込んでいたのだろう。チサト火薬庫はたちまち燃え盛った。罵詈雑言デパート新装開店。会話のドッジボールが交わされる中、オレは我関せず、ルーシーに向き直る。

「明けましておめでとう」

「おめでとう」

 新年早々、小さな我が家にも大玉花火が止めどなく打ち上げられた。どんなひどい言葉だったかは、チサトの名誉のためにも伏せておかねばなるまい。ていうか書ける内容じゃないけど。

 チサトは花蝶姫の侵攻を阻もうとロフトに防衛線を敷き弾幕を張った。ところが花蝶姫は心がグラフェンだかアダマンタイトだか知らないがとにかく硬い物でできているらしく、一向に意に介さず、ずかずかはしごを上がっていった。

「あら行き止まり、あの……この家には別室はございませんの?」

「うん、この部屋に三人で住んでいるよ」

 花蝶姫は下に降りると、忙しなく動いてオレの部屋を隅々まで点検し、窓から外を覗いた。そしてぽんと手を打って。

「判りましたわ! ここって、コンドミニアムとかいう集合住宅ね? 小説で読んだことがあります。かわいらしいおうちね」とお褒めの言葉を賜る。花蝶姫は散々暴れ回った挙げ句、「あたし、眠くなってしまいましたわ。寝床を準備してくださらない?」とのたまった。とりあえず押し入れを開け、なるべくきれいめのフリースとジャージを選んで花蝶姫に渡す。そしてチサトに。

「今晩だけは泊まっていって貰おう。女の子一人でここから帰れって言うのか?」

と告げる。しかしチサトは聞く耳持たず、例によって母親に告げ口するぞとオレを脅し、仕方なく『貸し』を一つ作ってロフトを上った。

 さて。

「どう寝ようか」

「いつもはどう寝ていらっしゃるの?」

「いつもは……」

 二つの布団を並べた真ん中にオレは寝そべる。続いて左にルーシー、右にチサトが横になった。

「もうアンタが寝るところなんてない。下で雑魚寝でもしたら?」とチサトはあくまで喧嘩腰。

「仕方ないわね。ならあたしはカガミ様の上で」

「うえー!?」

 チサトの素っ頓狂とんきょうな声に反応して近所の犬が吠えだした。それに合わせて花蝶姫も吠え返す。

「ちょっと待……。上ってどういう……」チサトの目が引きつっている。

「わかったわかった。オレが下で寝るよ」そして一人、はしごを下りる。

「あたしも下で……」

「いや。花蝶姫は上で寝てくれ。でなければ出て行ってもらう」

「わかりましたわ……」

 なんていうかね。そんな顔をされるとすげー困るんですけど。でもこうしなきゃもう収拾がつかないんだよ。

 さて、寝床をつくらねば。押し入れを漁ってもシーツぐらいしか見つからない。仕方がない。コートを羽織って体にシーツを巻き付けた。

「おやすみ」

 三人が返事するのを待って、目を閉じる。

 これは無理かもしれん。

 ロフトは一見するとおしゃれ? で二階があるみたいで快適そうに見えるかもしれない。しかし致命的な欠点がある。

 設定温度を上げても暖かい空気はみんな高い天井へと逃げてしまい、下には恩恵がほとんどないのだ。非常に熱効率が悪い。下が暖まるほど設定温度を上げると、上は寝苦しいほど暑くなる。こたつで寝たら体に悪いし。

 長針が短針を緩慢に追い越していくのを憂鬱に眺めていた。非常食がそんなオレに寄り添ってくれた。

 仕方ない。

 非常食を抱え、忍び足でハシゴを上り、部屋の隅を進んで三人の足をすり抜け、なんとか自分一人が丸くなるスペースをこしらえ、震えながら目をつむった。下よりはずっと暖かい。けど、明日には風邪を引いているかもしれない。

 どうやら程なく、眠りに落ちた。


 重苦しい朝だった。

 息苦しさに咳き込む。胸の上に何かが乗っているような、足も容易に動かず、右腕もまるで誰かにしがみつかれていた。

 いた。

「ふぁっ?」

 参った。

 花蝶姫は有言実行の女だ。オレの体に乗っかって気持ちよさそうに眠りこけていた。ついでにチサトがオレの腕にへばりついている。おまけにルーシーがオレの足にしがみついていた。

 何があった。

 これは天国か地獄か。

 そりゃあね。オレだって男だし、嬉しくないわけなんかない。しかし物理的に重い。いや女の子に対しては何人乗ろうが重いなんて形容しちゃ失礼なのかも。ただ、御陰様で風邪も引かず、ぬくぬくの朝を迎えられたというメリットも忘れず付記しておこう。

 さて。

 と、ここでルーシーが動いた。オレの足をむんずと掴み、そのままルーシーがくるり、回転。

「うが……あ……」

 痛みに呻く。なんということだ。こんな受け身の取りようがない姿勢で関節技を喫するとは。三人がもぞもぞ起動する。

「おはようございます」オレは何とか声を縛り出す。人は弱ると言葉遣いが変わる。

「おはよう」返事をくれたのはルーシーだけだった。二人はまだ寝ぼけている。

「ルーシーさ、何か夢見なかった?」

「そうね。格闘家と闘う激しい夢を見たわ」

 ああ、昨日のテレビか。ルーシーだけはちょっと動機が違う。

「ほら、朝が来た! さっさとこの家を出て行きなさい! あ! カガミに一体何してくれてんの!?」

 もしかしたら、今日のオレは果てしなく高い質量を持っているのかもしれない。んで強い引力が生じて……ニュートン先生の万有引力の法則よろしく三人ともオレに引きつけられたのかもしれない。そうとでも思わないとこの場を説明できない。……正直、混乱している。呼吸困難になりそう。

「メガネは……」花蝶姫を乗せたオレは精一杯右手を伸ばして息をつき、枕元の物をつまむと花蝶姫に捧げた。彼女はそのスマートグラスを掛け目を瞬かせると中で焦点を合わせ、何かを見ている。

「さもありなん。もうこんな時間。大変名残惜しゅうございますが、うちの者に捜索願など出されても困りますので、そろそろおいとまさせていただきますね」

「あの……まずどいてもらえないかな。……三人とも」

「非常食は?」とチサトが喧嘩腰でオレに異議を申し立てる。非常食はオレの額に座を占めていた。

「卦魂は愛玩動物だからいいんだ」

「何それ。チサトもアイガンドウブツなのに」

 花蝶姫はスマートグラスに手を遣った。

「あたしよ。ええ、初詣が嫌で家出したの。ええ、もう帰るわ。貴方からうまく言っておいて頂戴。……お小言は帰ってからで結構よ」

 通話が済むと花蝶姫は非常食に視線を置いた。眉間にしわを寄せる。と、唐突に起き上がり、はしごを下りた。

 下で、しゅるしゅると衣擦れの音がする。

 オレは「暖房つけて」と、遅ればせながら告げる。

 音が静まると、オレも下に降りた。振り袖を着た、花蝶姫がいた。玄関に行き、サンダルを出す。

「こんなものしかないけど、裸足よりはましだと思う」

「ありがとうございます、カガミ様。感謝の念に堪えません」

 花蝶姫を見送りに、オレもコートを羽織って外に出た。いくばくか距離を置いて、チサトが尾行けているが気付かないふりをする。

「昨晩はお世話になりました。ここまでで結構です。ではまたお目にかかりましょう」

 花蝶姫が牡丹ボタンに見えた。


 やがてタクシーが駆けつけた。スマートグラスで呼んでいたのだろう。花蝶姫が乗り込む。と、窓が開いた。「何か面白いことが起こるかもしれませんけど、カガミ様はお怒りにならないでくださいね。きっとそれもカガミ様のためなのです。それでは御機嫌よう」

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