2-9 三春さんのフルネームは三春のゐ子
おにぎりを食べたあと、ぼくらは三春さんからあれこれと情報を収集した。
どうやら最寄りの港へ行けば、話が前へ進むようだ。学童たちを集団疎開させる船が出ているから、まずはそれに乗り、ぼくらが所属していることになっている、
「のゐ子殿はどうするんでありますか?」
キリンが三春さんの下の名前を呼んでそう訊いた。ちなみに三春さんのフルネームは、三春のゐ
「
「もしもよろしければ、線香をあげさせてください」
すかさず神妙な声でそう言ったのは、ぼくではなくキリンだった。いつものキャラからしたらふざけているようにも取れるけれど、どうも本気で言ってるっぽい。三春さんのことがすっかり気に入ってしまったようだ。それはぼくだって同じだったけど。
三春さんは哀しげに微笑んだ。「はい、母も喜ぶと思います」
ぼくらは家に上がり、質素ながらも手入れが行き届いている
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