2-3 防衛大臣大君沙ミ《おおきみさみ》
「お?
「早速助けに来てくれたとか?」
「あるいはそうかもしれんな——いや、待て、主役はあっちだ!」
キリンが興奮気味に指さしたのは、戦闘機の真下に位置する海上だった。まるで戦艦に『ふた』でもしたかのような、もしくは武装したクジラかのようないかつくて黒い潜水艦が、船体の上部を海面から覗かせている。
「
キリンが例によって
ほどなく後、潜水艦の
その六人中の四人は、
「え、おい稀、あれって
「大臣?」
ぼくらよりも十数メートル離れた場所だろうか、六人が接岸した小発動艇から砂浜へ降り立った。その後各自ライフル銃を両手で斜めに持っている戦闘服姿の四人の男たちが、軍服姿の二人と共に、彼らとは対照的な規則正しい大げさな歩調で以って、軍服の二人を囲むかのようなフォーメーションでざっ、ざっ、ざっ、ざっ、とこっちに向かって歩いて来る。キリンいわく、あのライフル銃は
ふっと隣を見ると、解説をやめたキリンが、軍隊式の敬礼を行っていた。一瞬冗談かと思ったけれど、どこまでも真剣な顔で揃えた指先をこめかみに添えている。何それと突っ込むまもなく目の前にやって来た六人が、いかにも軍隊らしい動きで整列する。ぼくらの真っ正面に軍服の二人が、そしてその後ろの両サイドに銃を持った戦闘服の男たちが二人ずつ立っているというフォーメーションだ。
と、ぼくの正面に立っている真っ白い軍服を着ている女性の方、よく見るとべっ甲縁でメタルパーツがあしらわれている眼鏡をかけていた赤い髪の毛の人物がすっと前に進み出て口を開いた。その顔にはよく見覚えがあった。この人って確かにキリンの言う通りの——
「はじめまして、近衛稀殿、中島キリン殿。わたくし、防衛省の防衛大臣を務めさせてもらっている、
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