第3話 権力とメイド

家に帰るとマキナが私の体操服を着ていた。それだけで大問題なのだかそれは過小させるぐらいのマキナの表情だった。

「気持ち悪いんだけど」

汚物を見るような目をしているだろう。

「そんな目しないでよぉ、ハァハアみぃたんとくろなたんの匂いがする、美少女二人の匂いが…」

マキナのよだれを私の体操服をよごす、はあ…ほんとマキナは何者なのだろうか。ぁあ、私の体操服が…

「まぁいいや、ちゃんと体操服洗うか、買っておいてね」

と言い残し自分の部屋に行く、マキナは体操服脱ぐ途中に顔に擦り付けている。綺麗なくびれがあるお腹が見えている。今に始まったことではないし仕事はちゃんとするからなにも文句はない。

私はベットに腰掛け電話をかける。電話の相手は


ちゅんちゅんと部屋のスピーカーから聞こえる。

目をあけると

「おはよう。マキナ」

「おはよう。みぃたん、今日も可愛いよ」

腰まで伸びたゴールドの髪が朝日に照らされて綺麗だ。昨日体操服を着てハァハアやっていたメイドに見えない。どうせ私の寝顔を見ていたのだろうけど

「みぃたんの体操服洗っておいたよ」

「マキナが汚したんだろ」

えへへと笑うマキナ。

「朝食が出来てるよ、早くきてね」

言い部屋を出ていく

私は制服に着替えて鏡をみて身嗜みを整える。

きめこまやかな白い肌に長いまつげにカラコンとやつをしないで良いような眼に全てのパーツがそこにしかはまらないような完璧な配置。全てが完璧。

顔が見えなくならないように前髪は眉毛のちょい上のぱっつんだ。可愛くない人がやるとほんとに見えなくなるからやめた方がいいと言っておく、後はサイドの髪を三編んでカチューシャのように頭の上にかける。今日も綺麗で可愛い。朝食を食べにリビングへ行く。

もうマキナは椅子に座っている。私も椅子に座り、マキナと向かい合って

「いただきます」

「いただきます」

朝食はクレープシュゼット。クレープの皮を三角に折り畳みオレンジのソースに浸した食べ物だクレープシュゼットをナイフとフォークを使い食べる。

マキナが喋りかけてくる

「そいえばくろなたん、なんで連れてきたの?女の子は信用できないとか言ってなかった?」

こうゆう質問は初めてだった。まぁ女の子を連れてきたのも初めてだったから当たり前と言えば当たり前なのだが。男も連れてきたことはない

「女の子は信用できるわ、女が信用できないだけで女子も信用できない」

いじめられた経験をもとに語る

「そんなに違いある?」

首を傾げるマキナ、ゴールドの髪がふさっと揺れる

「ある、言い方の問題かも知れないけどあの子は嫉妬もしないでしょうし競争心もない。ただ、私をかわいいと思ってるだけ、マキナと一緒よ」

私が言うとマキナは一瞬苦い表情をした気がするがただ気のせいか

「マキナちゃんは嫉妬するよ?」

「しないでしょうが」

立ち上がり、マキナの頭をチョップする

「いてっ…食事中に立つなんて行儀が無いよ!」

と言いつつもマキナが立ち私の頬を舐める、いきなりの行動でビックリする

「頬にオレンジソースが付いてた、ぐふぐふ、美味しい…」

気持ち悪い…

「もう、ナフキンかなんかで取ってよね」

「美少女とオレンジソースって合うんだね」

「合うんだねじゃねえ」

もうほんとにマキナは…なんでこんなに美少女が好きなんだろうか。私は変態なマキナしか知らない。マキナはここに住み込みで働いている。ほとんど休みはない。労働基準法に引っ掛かるがマキナがなにも言わないとなるとそこまで辛いと思ってないのかも知れない。まぁここまで自由な職場は無いか

「ごちそうさま。美味しかったよ」

「はい。ありがと、学校頑張って」

「ん、いってきます」

食器を片付けて家を出て学校へ向かう。そいえばマキナとはもう10年ぐらいの付き合いだが学校とか行ってるとこ見たことない。私が6歳の頃にマキナは私の専属のメイドして配属された。当時マキナは10代前半だったと思うが正確な年齢は分からない。最初来たときはドジばっかりやらかして大丈夫かと思ったけど仕事は出来るようになった。頭はおかしいけど

マキナの事に思い更けていたら学校についた。

教室に着くと先生が立っていた。遅刻はしてないはずだけど、白々しいな自分

「え~と突然だけど泣子、明、七海、舞が転校となった」

クラスがざわめく、えーなんでやらお別れ言いたかったやらいきなりすぎねえかとか、先生がクラスのざわめきを止めて

「いきなり四人が居なくなって寂しくなるが皆頑張ろうな」

この四人は私をいじめた四人だ。実帆は金で動かなかった。後の四人は金を積んでどこかに行ってもらった。ちゃんと後々たかられないように見た目が怖い人たちに行ってもらって転校してもらった。

人は金で動く。金を積めば出来ないことはない。実帆は転校させることは出来なかったが、あいつは一人なら何もしないだろうから特には気にしてない。私に暴力を振るうやつらは私の視界から消えればいいんだ。


昨日の電話の相手は母だった

「もしもし」

「もしもしどうしたの美礼」

「私の学校にいじめっ子がいるところを見ちゃって私に暴力を振るわれる前に転校させたいんだけど」

「まぁ!それは危険ね!すぐさま転校させましょ!」

「うん、じゃあ名前ゆうよ」

母は学校の理事長だ。色んなところで理事長をやっているため、理事長を見たことない人が多数で私の母が理事長をやっていることを知ってる人はまずいない。だからこそ学校を好き勝手に出来る。権力で

これだけで人の人生の道標を変えたと思うとあれだが、あんなやつら人じゃないからどうでもいい。

「ほんとなにがあったんだろうな」

先生がぼそっと言うと

「先生なにも知らないの!」

一人の生徒が挙げ足を取る。

めんどくせえなぁ

「い、いや知ってるぞ!家庭の事情だからその事情はなんだろうなと思っただけだ」

うん。下手かこいつは。だから教師同士の恋愛がばれるんだよ……

私のクラスの先生は男で名前は嘉川京野。何歳か忘れたが結婚していて結婚相手が同じ学校の先生だ。結婚となったときは生徒から凄い祝福を得たようだ。付き合ってるときからバレていたが、嫁は新人で直ぐに結婚はしないと思ってたが一年のスピード婚ででき婚だった。でき婚なのに結婚が珍しくて祝福されたらしいがまぁやった責任は取ったってことはいいことだ。たしか今嫁の先生は産休に入ってる。もう産まれたとか言ってたな。まぁそんなことはどうでもいいか。


前半の授業が終わり、昼を食べに空き教室に行こうと教室を出ようとしたら扉が少し空いていて人が覗き込んでいるが髪の毛が邪魔をしていて瞳が見えない。制服を着てなかったら貞○を思い出す。しかし恐怖しか覚えない。駆け寄ると

「白咲さん、おはようございます」

もう昼だが

「なにしてんの?すげえ怖いんだけど」

「一緒にお昼食べたいなと思って…」

「いいけど普通に来てくれよ…」

後ろで喋っているのにクラスの奴等がまたぼそぼそ言ってる。

「え?今度は恐喝?」

「あの女の子震えてねえか?」

「ついに手を出し始めたか」

「止めなよ、聞こえるよ、恐喝されちゃう」

おいおいすげえ発想力だな、聞こえてるし恐喝するぞ、ここに止まるのは良くない。多々羽の手をとり

「行くよ」

「へっえ!?どこに?!あと手握ってますよ?!」

多々羽の言葉は聞かずに空き教室へ向かう。

視線はクラスの視線だけではなく。クラス外の人からも熱心に注がれていた。

空き教室の扉の鍵をあけて入る。

私が毎日ここでお昼ご飯を食べている教室だ。後ろに机が数十個ありひとつだけぽつんと机が置いてある。

「多々羽は昼、弁当だよな」

「そ、そうですけどなんでわかったんですか?」

「いや弁当箱持ってるし」

自分の左手に持っている弁当を見る多々羽。

「そうでしたね、白咲さんはお弁当ですか?」

「そうだよ、マキナが作ってくれたやつ」

朝寄って教室に置いてきた弁当を取り出す。

「食べようか」

「はい。ありがとうございます。」

私は後ろから机を持ってきてくっつけはしないで隣に置く。

お弁当箱をあけて

「いただきます」

食べようとすると

「わー美味しそうです。マキナちゃんが作ったんですよね、美味しいんですか」

多々羽がお弁当を覗きこむ。

「美味しいよ。マキナは仕事は出来るから」

昨日より少しは喋れるようになった多々羽は少し喋りやすい。

「へぇ、良いですね。マキナちゃん何歳なんですか?」

「知らないな。」

「知らないんですか?」

「あぁ」

「メイドと主人の関係って曖昧なんですね」

マキナ以外とご飯を食べるなんて初めてじゃないか?両親はさておき。

気になる話題をここで1つ

「そいえば、マキナとお風呂入ったとき何があったの?」

私が言うと丁度多々羽はご飯を咀嚼していたところでお腹にパンチをくらったかのようにぐふぁとなるがご飯は吐き出せないから飲み込もうとするがご飯詰まらせて、ん!?とお茶を探している、私はお茶を差し出すとそれを多々羽は一気に飲み干すと

「酷いじゃないですか!?死ぬところでしたよ!」

「ごめんごめん、そんなに反応を示すと思わなかった」

「もう…」

「で何があったの」

更に問い詰めると前髪の隙間から見える頬が赤く染まり

「なにもないです、なにも無かったんです」

確実になにかあっただろうがなにも言わないってことは…なんだろう

「白咲さん、どれだけマキナちゃんのこと好きなんですか…」

…………?はあ?どこがだよと言おうしたときいきなり扉が開く。

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