第2話 体操服と変わる私
教室の扉をあけるとそこには私の席に座ってる女の子がいた。
「何してるの?」
「あわあわああ」
……?言葉を発せれてないようだ、私はこの子を見たことがない。長い黒髪に目が隠れてるくらいの前髪。頬は赤く染まっている。リボンからして一年生。私と一緒か。
「あぅあの……」
「ん?どうかした」
……返事がない。?さすがに無視はあり得ないだろうが
「どうかした?って聞いてるんだけど?」
「ひえっ!!ごめんなさい!!」
おっと!…これは難解だな…
「あっいや怒ってる訳じゃないんだ、私の席に座ってなにしてるって聞いてるんだ」
「ごめんなさい!っ!!」
イスに座りながら頭を下げる。違和感を覚える。こんなに動揺してるなら立ってもおかしくないのに
しかし会話が進まない。
「う~んどうすればいいかな」
こうゆう相手は苦手だ。どう接すればいいか分からない。
頭を掻いてると
「あの、ごめんなさい……怒ってますか?」
女の子が話しかけてきた。
「いや怒ってないよ」
…………この沈黙の時間はなんだ?
「ならよかったです、どうしてここに?」
「鞄取りに来たんだよ」
私は鞄を取る
「いつまで私の席に座ってるの?」
「あっいや!すぐにでも立ちたい、いえぇ!そうゆうあれではなく…」
声がだんだん弱くなっていく。う~ん
「落ち着いて、怒らないから、深呼吸」
すぅーはぁーと深呼吸する、名前そいえば聞いてないな
「名前は?」
「えええーと、多々羽黒菜です。」
「多々羽は何してたのかな?」
できるだけ優しくしたいが優しくすることは持ち合わせていない
多々羽は体を硬直させる。
「ごめんごめん、言葉やらは癖みたいなもんだから…」
なぜか私が謝って弱る…私ってどれだけ怖いんだ
「ひえ、私がいけないんです…、ごめんなさい。美人さんの席に座ってたら…立てなくなっちゃって……」
途切れ途切れだけど喋ってくれるようになった。多々羽はちょっと涙ぐんでいる。何故私の席に座ったかと聞きたいんだけどそれより気になることが
「ちょっと待って」
私は多々羽の横に膝まづきスカートとイスの間をみると
「ひゃん」
粘着質のある液体で粘っている。あいつらの仕業だろう。私は朝いつも魔法の液体(ただの洗剤だが)をかけてきれいにしている。放課後に仕掛けてたのか。
「ごめん、私のせいでこんなことに巻き込んじゃって。」
「いえぇ!私の方こそすみませっかん」
最後に噛む多々羽。う~んどうしたものか、そうだ。
私は鞄の中からハサミを取り出して多々羽のスカートを切る
「ななななななににしてるの!?美人さん!!」
「じたばたすると危ない、太もも切れちゃうよ」
すぅーとイスに体を預ける多々羽
片方を切りおえもう片方を切る。
「にゃううひゃす!?」
「動くと危ないって言ったよね?」
理不尽だとゆう顔をしている。ハサミが太ももに当たって冷たくてビックリしたのだろう。
もう片方も切りおえると多々羽に体操服を渡すとキョトンとしてる
「スカート切っちゃったから着替えて、下パンツで外出れるならいいけど」
とゆうと私にパンツを見せないようにスカートとゆうか布を押さえて、かに歩きで私の後ろにいき、着替えてる音が聞こえた私は魔法の液体をかけてスカートとイスを剥がす。すぐに剥がれ粘着質を拭き取り綺麗にして声をかける
「振り向いていい?」
「いいですよ」
振り向くと当たり前なのだけど私の体操服を着た多々羽がいた。少し頬を赤らめているのが気になるが
「サイズは?」
「ぴ、ピッタリです、それで私のスカートはどうなったのでしょうか?」
多少ブカブカなのだけれど…私は布になった濡れてるスカートを見せる
「明日から私は何で行けばいいんです?!」
「それなら大丈夫、ちょっとついてきて」
学校を出て数分歩くとそこには大豪邸が見えてくる。私の家だ。
「さあ入って」
「はぅ!?ここに?!」
「私の家よ」
「美人さんの!家に?!」
前から気になってたことにふれる
「その美人さんってゆうのやめてくれないか?私の名前は白咲美礼。白咲でも美礼でもいいからやめてくれ」
「ごめんなさい……白咲さん。」
「よろしい」
家へ入るとメイド服をきたメイドが駆け寄ってきて
「おっかえりー!みぃたん!今日もきゃわゆいなぁ!!」
頭を抱える私キョトンとする多々羽
「おっ!?誰かな!?みぃたんが誰かをつれてくるなんて珍しいな、マキナちゃんは嫉妬しちゃうぞ!」
無愛想な私の顔のほっぺに指でつんつんするマキナ、私の専属のメイドだ。マキナは日本人ではない。がどこ出身かは分からない。白い肌にきらきらと光る腰までゴールドの髪を左右で縛っている。折角の綺麗な髪に後がついてしまうのではないかと不安になるほどだった。私にひけをとらない美人だと思う。全体的にスレンダーだが
「えっ!!この子みぃたんの体操服着てるよ!なにがあったの??ねえねえ」
……うざい
「なにも無いわよ、ちょっと私のせいで服濡らしちゃったのよ」
「そう。じゃあお風呂沸かしておくね、父上への電話はどうする?」
またキョトンとしてる多々羽。次は私もキョトンとする、なんでお風呂なんだ?ところでマキナはどこかで真面目スイッチが入って急に真面目になる。
「新しく制服用意してと伝えておいて」
「うん。分かったよ」
父に電話するためにマキナは部屋に行こうとすると立ち止まりこちらに駆け寄ってきて
「挨拶がまだだったね!僕はマキナ=シルバーシィーヴだよ!マキナちゃんって呼んでね」
「あぁう、多々羽黒菜です。」
頭を下げる多々羽
「黒菜ちゃんだね、よろしくだよ、ゆっくりしていってね!ではではー」
走ってどこかに行った、父に電話しにだろうが
「メイドっぽくないねマキナちゃん。」
「そうだな、多分母にそう接するように言われてるんだろう」
多々羽を私の部屋につれていき
「どこでもいいから座ってて」
ところがもじもじして座らない多々羽
を見て私は
「どうした?」
声をかけるが
「うぅ…し……が……」
聞こえない。
「聞こえない。もうちょっと大きい声でお願い」
「した……が……」
前髪の隙間から見える顔が赤くなってる
「聞こえない……」
「下着が濡れているんです!!」
あぁ…さっきのイスの液体で濡れちゃったのか
「気づかなくてごめん、下着用意してくれてるかな、マキナ」
「あわあわあ」
言っちゃったぁー!みたいな顔をしてる多々羽
「ちょっとマキナに言ってくるわ待ってて」
出ていこうとするが多々羽が落ち着いてない…う~ん…あっと思い浮かび。多々羽の頭に手を置き、頭を撫でようとするが撫でる前に私の手から離れる多々羽
さすがにショックを受けるんだけど
「そんなに嫌だった?」
ぶるんぶるんと首を横に振る
「嫌じゃないですただびっくりしただけです」
うつむいて表情を伺うことは出来ない。なんだろうこの感じ。今までに感じたことのない感じは
「お風呂沸いたよ!!」
勢いよく扉をあけて入ってくるマキナはこの状況を見て
「え?はやくない?」
「なにがだよ!?」
にかっと笑い
「下着も用意してあるからいいよん!」
「なんで分かってたんだ」
「ずっと黒菜ちゃん歩き方おかしかったし、体操服着てたら大体わかるよ」
「そうか、よし。多々羽入ってきなよ」
こくっと頷いてマキナについていく。
水分を含んだ髪がさっきと違う多々羽を魅せている。
「お風呂、ありがとうございました…」
違う沈黙が生まれた
「なにか、あったのか?」
「なにににもなにも無いですよ!???」
先ほどと比べ物にならないぐらい慌てている。なにがあったのかはちょっとばかし察しがつくのだけど
「うっふふん~くろなたんかわゆいなあふふん」
スク水を着たご機嫌なマキナ。
「まあ、女の子同士だし良いでしょ」
「良くないです!」
やはり多々羽の声は豪邸に響き渡る屋上で聞いた声だった。
多々羽とマキナがお風呂なにかがあったと言うことは察することにして、私がすることはまず多々羽を送ることだ
「うぅ……」
「マキナのああゆう性格だったって言わなかったのは申し訳なかったよ」
素直に謝る。マキナはかわいいが大好きで人、物全て可愛ければいいらしい。多々羽の顔は前髪が邪魔をして全体図は見えないがマキナのカワイイセンサーが反応したらしい。
「うっ…お嫁にいけない…おっぱい見られた」
っ!?多々羽の口からおっぱいなんて出てくるなんて思わなかった。今は気付いていないが気付いたらまたあわわってなるんだろう。
夜道を歩き
「ありがとうございました、制服」
紙袋をかかげ頭を下げる多々羽
「いや、私が切ったし、巻き込んじゃって申し訳なかった。あと助けてくれてありがとう」
一番言いたかった言葉を言う。やはり女の子も捨てたものではないと思った。
「へっふえ??気付いてたんですか?」
暗がりで顔は伺えない。
「あぁ、会話する声で何となく、学校に残ってる子なんて少なかっただろうし」
表情も伺えない。なんとも言い難いこの感情は。不安。何に対する不安なのか分からないが多々羽が発した言葉は
「ごめんなさい。もっと早く止めていれば良かったんですけれど…私に勇気が無くて」
鼻を啜る音が聞こえる。誰かの為に泣くなんてそんな難しいことなかなかできる事ではない。私のことで泣いたかは定かではないが。
「いいや、止めてくれてありがとう、あれ以上やられてたら厄介だったから」
なにも言わないのか、言葉を選んでるのか。
「…ふふ。明日からも仲良くしてください…」
笑うのは初めてだった。多々羽の表情が見えないのが悔やまれる
「こちらこそだ、いじめっ子がいる中で私に喋りかけれるかな?」
と私が意地悪を言うと
「うう…もちろんです」
自信なさげで消えそうな声だった
「嘘だよ、明日にはあいつらいないから」
「え?どうして?」
不敵な笑みを浮かべても多々羽には見えないだろう。
「世の中には知らない方がいいことがあるんだよ。それじゃあね」
私は立ち去る。
後ろから多々羽が
「また、明日!」
「明日は休日だよ!」
「え?さっき…」
「嘘だよ、また明日な」
後ろを向くと必死に手を振る多々羽に私は手を振り替えすと恥ずかしい気がした、ただ手を振り慣れてないだけだ
多々羽も送ったことだし、あいつらを消すか。私の視界から。あいつらは私に暴力をふるった。なら私なりの暴力をふるわしてもらおうか。
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