まれびと

 渦の中心より安定に持ち込まれるわずかな光を得て、星には生命ともつかぬなにかが蠢いていた。それらは高々数百の配列を盛んに交換しながら急速に成長していた。しかしその場には、致命的な欠如があるように思われた。彼らは徐々にある種の到達点に達し、ひとつの平衡に留まるに違いなかった。そしてやがて、全ての可能性が終わることになるだろう。

 ところがその遠からぬ終幕をかき消すように、天を裂いて巨大な塊が星を掠めた。身を粉にしてそこいらじゅうに振りまきながら、滑らかな軌道を描いて、それは安住を定めた。星の席が奪われたのである。星はその動きを惑い、それでも大きく離れることはなく、やがて別の解を見出した。やってきた塊はあまりに巨大であり、星を捕まえて周囲に引き寄せておくことが出来たのだ。星はすぐに安寧を取り戻した。しかし表面に活きるなにかは違った。今や、光は常に一部の面だけを照らしていた。常に光を得る者は身を焦がし、黒いぼろ切れのようになった。全く光を得られない者は凍り、白く砕け散るほかはなかった。その境界に居た者は、絶え間なく寒暖の変化に曝され、黒か白いずれかの結末を迎えた。過酷な環境の変化は、ほとんど全ての可能性を破壊した。

 一方で、生き残ったなにかにとって、それは全く異なる可能性を切り開く道のりだった。塊から降り注いだ稀少な元素は、彼らの新たな体を組み立て直した。環境の激変を凌いだ者は、今まで以上の速度で進化を繰り返すことができた。


 飛来した「まれびと」によって――こうして、この星に生命が生まれることとなった。

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