第6問目 空腹と無問題

暫く歩いていると腹減った


なんやかんやで口にした物は缶コーヒー2本とタバコ2本だけ

この世界の時間軸は解らないが何故か猛烈に腹が減ってる

気が付いたらさっきの強烈な暑さは無くなってる

何が起きたんだ?

「なぁナコ・・・ゲームなのに腹が減るんだな」

「そうですね~美味しい物食べたいですよね~」

全く見当外れの答えをありがとうナコ

「いや近所のスーパーもコンビニもいつものラーメン屋も閉まってるんだけど」

「何ででしょうね~?」

本気で解らないなら仕方が無い

「じゃあ最寄りの飯が食える所へのナビゲーション頼むよ」

「ああ!はい!それならお任せです~!」

う~んと言わんばかりに考えこんで5秒ほどで

「発見しました~」

「何処のどんな店だ?」

「此処を右に曲がって750mほど先に有る住宅地付属公園です~」


・・・は?

公園?

公園で何を食うんだ?

「まさか野生のドクダミやタンポポや虫を食えとか勘弁してくれよ?」

「ちゃんとした美味しい物ですよ~・・・多分」

まぁそう言うなら平気だろう

あまり深く考え込まずに公園までガンガン歩いて行く事にする

時間が経つほど腹の減りが加速度的に進む

さっさと食って腹を満たしたい気持ちで一杯になる

急がねば


早歩きで移動し公園に着いた

物凄く違和感の有る光景


何故公園に『ビーフステーキ・デンジャラス』と言う看板と屋台が有るのだろう?

ともかく行ってみよう

「あの~すいませ」

「ガハハハ!ウチはチャレンジメニュー専門店でね!60分1本勝負!」

唐突で面食らったがすぐに

「どんなチャレンジメニューですか?」

「ステーキの量は2.5kg!残したら殺す!喰えるモンなら喰ってみやがれ!」

とガタイの良過ぎるヒゲ爺さんに言われた瞬間頭の中に選択肢が!


1:チャレンジする

2:チャレンジせず野草を探す

ノーウェイトで

「1のチャレンジする!」

「早っ!正解です~!でも食べ切れなかったら殺されちゃうんですよね~?」

「食べれば良いんだろ?」

「でも御影さん体格普通なのに本当に食べ切れるんですか~?こんな無茶な量?」

「ああ大丈夫さっきコーヒー飲んだし」

「さっぱり意味が解らないです~!」

ナコはかなりパニクってるが俺は至って冷静

「マスター肉の切り方と焼き方だけど2.5kgいっぺんに焼くんじゃないよね」

「乗ってきたな小僧!それでこそ殺り甲斐が有るってもんよ!250g10枚だ」

ドンドン話を進める俺とマスター

然し眼はしっかりと動く

屋台のステーキソースは後がけタイプ4種

ガーリックソース・大根おろしソース・メキシカンソース・ワサビ醤油ね

肉は脂の少ないアメリカンタイプでこの香りはガーリックチップ使ってるな

よしよし

「焼き加減はレアで俺が食い始めたら1枚ずつ焼いてって欲しい!後サラダ1皿」

「挑発してんのか小僧?ガハハ良い度胸だ!喰い切れずに残したら即死亡だぞ!」

「チャレンジ料金は?最初の1枚焼いてサラダ提供されてからスタートだよね?」

「残したお前の身ぐるみ剥いで即臓器提供で売り払うから構わねぇ!焼くぜ!」

ジュワ~と言う音と共に良い香りが漂って来た

こんな店リアルにも有ったらなぁと思ってる内に

「オラァ最初の1枚焼けてスタートだ!死ぬか喰うかどちらにせよ楽しみだぜ!」

と言ってカチッとストップウォッチのスタートボタンが押される

さぁ勝負の始まりだ!ナイフとフォークを握りしめる

「頂きます!」

まずは何もかけずに食べよう・・・うん悪くない

「次焼き始めておいて下さいマスター」

「ガハハハ!誰でも最初は勢いが良い!小僧!死んでも後悔するなよ!」

1枚目を食べ終わる頃にステーキ2枚目とサラダがドンと出される

順に2枚目はガーリックソース3枚目はおろし4枚目はワサビ醤油で平らげる

掛かった時間は急いで1枚あたり約2分半のペースで大体10分と言った所か

マスターの顔色は余裕が無くなって来ている

「やるな・・・小僧!然し此処からが本番よ!」

「もう御影さん見てるだけでお腹いっぱいです~」

そう此処からが本番なのだ

また5枚目ガーリック6枚目おろし7枚目ワサビ醤油で余り噛まずに食べる

然しペースは流石に落ちて5~7枚目で18分ほどかかってしまった

「8枚目だけはウェルダンで焼いて欲しい!」

と唐突に俺が切り出すと

「ガハハハ!流石に限界か!?小僧!良いだろう!じっくり焼いてやる!」

然し勝ち誇った顔をしてるのはむしろ俺の方でサラダにメキシカンソース

レタスとコーンだけのシンプルなサラダをシャクシャクとゆっくり食べる

サラダを食べ終わる頃に丁度ウェルダンの8枚目が来る

8枚目にワサビ醤油とおろしのブレンドをかけて細かく刻み急いで飲み込む!

此処だ!此処がキーポイントだ!これを乗り越えれば勝てる!

「マスター9枚目レアで!」

「何だと!?小僧!?もう限界だったんじゃ・・・?」

甘い!甘いよマスター!

9枚目はガーリックとおろしのブレンドソースで細かく刻んでよく噛んで食べる!

ラスト10枚目!細かく刻むのは同様だがソースを少しずつ4種類全て使う!

そして・・・


5分近く余裕を持って完食!


「参った!小僧!やり抜いたな!ワシの負けじゃ・・・」

「どうもご馳走様でした!」


そしてマスターは屋台を引いて何処かに行ってしまった

ベンチに座るとナコが

「魔法みたいです~!あんな量のお肉がどうして食べられたんですか~?」

「魔法じゃなく科学のカラクリが有るんだよ」

味に飽きが来ない事 満腹中枢を満たさないコツ 胃から腸に送る技 etc

色々説明してナコがビックリしている

フードファイターレベルではないけど大食いにもポイントが有る!

ラーメンスペシャルしょっちゅう喰ってるから自然と覚えてしまったんだが

それが功を奏するとは思いも寄らなかった

「まぁこんな感じ!因みに野草を選択してたらどんな死に方だった?」

「あ~鈴蘭とツツジと水仙の大量摂取で中毒死でした~」

「えっ!?そんな一般的な物に毒有るの!?」

「有りますよ~でも今回はステーキ食べ切れなくても殺されていたのですよ~」

「じゃあ2問正解って事?」

「いいえ~あくまで1問扱いだそうです~」

残念 そうは上手く行かないか


まぁお腹いっぱいになったしクリアもしたし問題無いでしょう!

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