4痛目 ご主人様と初吸い口って話だな!羨ましいだろ!

あー。なんとか意識があるな。

俺が何だかゴツゴツしたモノの上で気がついたその瞬間にまた頭の中でピロリロリーンという・・・音は嘘だけど、単語がが閃く。


固有ギフト『苦痛は神の栄光なりグローリーオブザペイン1』・・・あらゆる苦痛、あらゆる痛みによる魔力・肉体性能の劇的向上。それは神へと辿る道とならん


え?何この凄まじく不吉なギフトってやつは?ギフトなのに全然嬉しくない!寧ろクーリングオフ希望!パスパスパス!


バシッ!!

とんでもない衝撃で俺は目を開ける。

痛い!痛いって!今誰かまた平手した!?


飛び上がって辺りを見渡すと俺は森の中でデカい木の根っこの上で倒れていた。

目の前にはアーリアが不機嫌な顔で仁王立ちしている。

え?またこのパターン?

本当にこいつは暴力的だな!くそ!この怪力がなけりゃ説教してやるぞ!あー痛ぇよ!


「お前は吸血鬼の風上にも置けない奴だな。羽も出せない、完全再生も遅い・・・全てがダメじゃ」

アーリアはその不機嫌な顔から不機嫌な声を出しながら呆れたように言った。

俺はその顔を見ながらふてくされたように声を上げる。

「いや、んなこと言われても俺人間だしな」

「何を馬鹿なことを言っておるのじゃ。見て見よ。お前はもう再生しているぞ。普通の人間なら死んでおるわ」

「え?」

俺は自分の身体を見た。


うん、確かに傷もないし口も元通り・・・。じゃあれは夢・・・じゃないよね!

だって纏っていた布がもうどえらいことになってるし!

凄惨な殺人現場の被害者の服みたいだよ。真っ赤な血がベタベタについているし、木にひかかってボロボロからさらに酷くなって穴が開きまくっている。

というか、ちゃんと俺はこの布を握っていたんだな。

そうだよな。俺の持ち物だもん。この布ちゃんが俺の唯一の持ち物で財産なんだよ!

そう思うとすげー大事にしたくなるこの布。

今日からお前の名前はヌノーだからな。よろしくな!ヌノー!


「もうよい。わかったから足を掴め。私が運ぶぞ」

「拒否する!また落とすだろアーリアは!」

「・・・」


ん?なんだ?アーリアがちょっと禍々しい笑みを浮かべているようにも思える。

え?なんか俺ダメなこと言った?また打たれるの?打ちゃうの?


「ふん。さっさと行くぞ」

アーリアはそう言ってクルリと俺に背を向けてまた羽を出して浮かび上がる。


あー行くしかないんだろうなぁ。こんな森の中に置き去りにされても困るし。

俺は渋々その足を掴んでまた空へと上る。

今度は比較的低高度だ。うーん500mぐらい?高度計とかないからわからん。

とりあえず先ほどよりは低いのは確かだ。


今度の空中遊覧は穏やかに過ぎた。

よく考えたら俺落ちるのは二度目だな。前世?で交通事故でダイブして、ここで吸血鬼に強制ダイブさせられて・・・。

なんだこのダイブ人生?ダイブしすぎて頭可笑しくなるわ!既に可笑しい場所にいるけどさ!

ダイブするならサイバーネットとかで格好良くハッキングダイブしたいよ。こうネットの海は広大だ・・・とか呟いてさ!

あーあれも見たかったな続き。まだ前世で生きていたら見れるんだろうな。気になるなぁ。


俺がどうしようもなくどうでもいいことを考えていると森が途切れて、草原ではなく畑?

広大な畑が綺麗に区切られて広がっていた。

ああ、見たことがあるぞ。これはあれだ。箒に乗った宅急便の女の子が旅立ちの夜に見ていた光景に近い。

広大なヨーロッパ的農場って奴だ。綺麗だな。

あの映画だと汽車とか走ってるけどこっちは何もないな。

てか、文明あるのか?電気とか蒸気とか使う。


「おい。あそこに人がいるぞ」

「え?」

俺はその声に思わず見上げそうになって強制的に首を真下に向ける。

ダメだ。上を見上げてはならん。それは魔物が住んでいる。

俺は目を細めて遠くを見る。


おわっ!

一瞬にして遠くの距離のものが近くにあるように詳細に見えた。

何これ?え?目が良くなったってレベルじゃねぇ。なんとか部族みたいに数キロ以上先のモノが見えてしまう。

これも吸血鬼の従者になったお陰か?よくわからんが、貰えるものはもらっておこう。あの固有ギフトって奴だけはいらんがな!


なんとなくアーリアが見ていそうな場所を目をこらしながら探していると、人がいた。

第一村人発見!いや第二?第三・・・第四

えっ!?

ありゃ違う!

あれは女性が襲われそうになって逃げているんだ!一人の女性を男が三人追いかけている。その男達の手には剣や斧が握られていた。

マジかよ!これはあれか?強姦魔ってやつか?

村のような場所から少し離れた木の小屋から逃げ出した女性が男に追いかけられて泣きそうになっている。

許せねぇ!許せねぇよ!お天道様が許しても俺が許せねぇ!

女性は紳士に扱うもんだろうが!俺みたいによ!俺だって本当は上を見たいんだが我慢しているんだぞコラ!


「あれは性交をしようとしてるのか?」

上からアーリアの声が聞こえる。

俺は怒りを滲ませながら彼女に答えていた。

「違う!あれは成功なんてもんじゃない!あんなのは成功じゃねぇよ!ありゃ悪事だ!大犯罪だよ!」

「ふむ。悪人は成敗するのじゃな。ちょうどよい。あれにするか」

「え?」


すんなりとアーリアと意思疎通が出来て嬉しいんだけどなんだか怖いな。

成敗ってのが引っかかる。どうやって成敗するんだろう?こう印籠でもつきつけるのかな?

バサリと一際羽ばたく音をさせながら、アーリアは鋭くその悪事の場所へと滑空していく。

俺は必死になってヌノーが吹き飛ばないように抑えた。

だってスースーするし、バサバサして今にも千切れてしまいそうなんですもの!頑張れヌノー!俺のイチジクの葉を守ってくれ!


俺の必死の思いが伝わったのかヌノーは耐えたが、

「ぎゃあああああああああああああああ」

本日三度目の落下だ。今度は比較的低い。二十メートルぐらいかな?


グギ!

うぉおおおおおお!痛いって!足首が!右足がグギってなったよ!痛ぇええ!

地味に痛ぇ!これなら千メートルからの落下の方が意識飛んで痛くねぇよ!

あの野郎!いやあのアマ!下ろすのが面倒くさいからって俺を振り落としやがって!

おー痛ぇ。


俺は地面にうずくまって右足首をさすりながら涙目であのアマの方を見る。

アーリアは既に地面に着地して走って女性が男に捕まっている現場へと行った。


いや、のんびり見ていたらダメじゃん!俺が行かないと・・・って待てよ。

空を飛べるし、あの分厚い遺跡の壁を殴って大穴を開けた奴だ。俺が行かなくても大丈夫なんじゃね?

というか相手が普通の人間なら相手の身体のことを心配・・・。


あ、アーリアが女性をかばって男達の間に入った。

おーすげぇ。あの女性はお礼も言わずにアーリアを置いて凄い速度で逃げていったな。

普通助けてくれたらもっとこう・・・なんだろう。ありがとうございます!とかないのかな?ほら水戸の偉いおじいさんとか遠山のおやっさんとかさ。

あるじゃん、こう悪人成敗的な時代劇だともっとこう・・・。

あらら、アーリアがスキンヘッドのムキムキマッチョに・・・。


パーーン!

おお、すげぇ。ビンタの音がここまで響いてくるな。うわぁ、あのスキンヘッド吹っ飛んでいきやがった。

ほら他の男達も目を飛び出さんばかりに驚いて・・・。

パーーン!

おっと二発目行ったーーー!もんどり打って長髪の細身の男が吹き飛んだ!アーリア選手の無双だぁ!これは痛い!

おっと、リーダーらしき男が何やら土下座して命乞いを・・・。

パパーン!

綺麗に入ったーー!命乞いに一切の妥協を許さず二発入った-!これ凄いぞ!アーリア選手は左手で男の胸ぐらを掴み上げて右手でビンタした後の手の甲で更に痛撃!連続技が決まる-!その攻撃まさに目に入らぬ高速の二連ビンタ!まさに無双!強いぞアーリア選手。


うわっ・・・すげぇ・・・。

あのリーダーの男口から血をバシャバシャ吐いてる。ていうかありゃ歯だな。一本なんて生やさしいもんじゃねぇ。全部歯が抜けてても可笑しくないなぁ。


ここで一句。

『星降る夜 血の天の川 抜歯の跡』ユウヤ心の俳句。


おっさん。俺は分かるぜ。その痛みがな。小娘にいいようにされた心の虚無が俺にはわかるんだよ。だが、強姦はよくねぇな。どんな時代どんな場所でもそれだけはいけねぇよ。それが俺とおっさんの違いだ。俺は紳士、おっさんは強姦魔。一生離乳食だぜ。

まっ!どーでもいいがな!


正直、強姦魔に関しては俺は一切の同情はしない。小娘にいいようにされたってのは少しだけ哀れんでやるが。

俺は足を引き釣りながらアーリアの元へと近付いた。

彼女は完全に伸びて口から血と歯を零している男の髪を引っ張って気絶しているかどうかを確認していた。

なんか悪人がどっちなのかわからねぇ。俺にはわからねぇよ。

「そいつどうすんだ?」

俺は屈んで男の頭を小突いているアーリアに声をかける。彼女は不機嫌そうないつもの顔を俺に向けた。

「服だ」

「服?」

「ああ、お前それ裸なのであろう?私というレディーの目の前でそんな格好は許すわけにはいなぬのじゃ」

「え?その服着ろってのか?」

「そう言っておろうが!」

いや、分かってるよ。言いたいことは分かってるんだよ。だからそんな鬼のような顔をするなって。

でもよ、見てみてくれ。襟付き袖付きのシャツのような麻のゴワゴワした寸胴のボタンがないシャツとそのズボンをよ。

汚ねぇじゃねぇか。なんだか黄色い染みついているし。ダニとか一杯いそうだしさ。


俺が無言で抗議しているとアーリアは素知らぬ顔で男の服を剥がしていく。

ついさっきその可愛らしい口からレディーという言葉が出たが、恥じらいも見せずにひん剥くレディーって何よ?

アーリアは男達の服を順番にひん剥いて一番清潔そうな服を着込み、残りを適当に俺に投げて寄こす。

まあ、いつまでもヌノーとの逢瀬は辛いからな。ここは涙を飲んでその服を着込むことにした。


着終わると多少だぶつきがあったりするが、様になったと思う。

というか俺はいいのだが、アーリアが大変だ。サイズが全くあってない。ベルトがあるのでそれで縛ってなんとかずり落ちてないが、もう子供が大人の服を着たようになってる。

よく見たらアーリアって十六歳ぐらい?高校生ぐらいの見かけだからまだ誤魔化せるか。


しっかし、この服やっぱり汚い。汗臭いし、黄ばんでるし、ごわごわだし、ヌルッとしているし。いやヌルッとは血か。乾くな。

それよりもダニとかシラミとかが心配だ。血を吸われて痒くなるのも嫌だし、何より病気が怖い。

絶対なんかいるよこの服。

俺は顔を顰めながらアーリアに聞く。

「なぁ、吸血鬼ってシラミとかダニとかに血を吸われて病気になるのか?」

「シラミ?ダニ?ああ吸血魔蟲のことか?」

アーリアは普通にみたらすげー可愛い顔しながら首を傾げて聞いてくる。思わず惚れそうになっちまう。

だが、ユウヤよ。お前は前世を忘れたのか?小娘にもう振り回されてはいけないのだ。

俺は必死でその誘惑を心の声で打ち払って頷いた。

「そうそう多分それ」

「吸血鬼が吸血魔蟲に血を吸われるなんて馬鹿なことがあるか。あれは全部我が眷属。なんだ追い出したいのか?」

「そうそう。すごーーく追い出したい」

「ならば、命ずるが良いのじゃ。出て行けとな」

「コツとかあるのか?」

「コツなんて知らぬわ!ただイメージして命ずれば良いのだ!」

アーリアは苛立って怒鳴ってくる。


いや怒鳴られてもさ。てか怒鳴らないでよ。もっと人間らしく平和的に話し合いで決めよう。

君、ちょっと人を墜落させすぎだよ?痛いんだよ?いまもさ、右足首がパンパンに膨れてるしさ。

いいさ。俺も大人だ。我慢してやりたいようにやろう。


俺はなんとなくこの服にいそうなダニやシラミをイメージしながら・・・気持ち悪いなダニ。

ダニを追い出すために告げる。

「『出て行け』」


ブワッ!

「うあああああ」

見た?見ちゃったよ!なんか細かい塵みたいなのがブワッて飛んでった!キモ!気持ち悪すぎる!

「うるさい!一々喚くな!」

「いやだってあれ全部ダニとかだと思うとそりゃ叫ぶでしょ」

アーリアは眉間に皺を寄せながら言う。

「そもそもあれは全部我が眷属といっておろうが。可愛いのじゃ。それに役に立つ!ムカついた奴がいれば襲わせればいいのじゃ!」

「え・・・」


ドン引きだよ。アーリアそこまで性格悪いのか。眷属だとか行ってあれを全部ムカついた奴に飛びかからせる・・・吸血系が眷属なら蚊もか?無数の蚊を従えて、相手を襲わせるアーリア。想像するだけで凶悪すぎる。

怖いよ、怖いよアーリア。

あんまり近付かないでくれます?蚊が飛んでくる。


アーリアは鼻でふんと息を吐き出して、また気絶した男に向き直る。

「それより食事するぞ」

「もしかして・・・血を吸うの?いや俺は遠慮しておくよ。ほら俺はやっぱり米とかパンとか人間の・・・」

俺が言葉を濁しながら遠慮しているとアーリアがまた振り返って不機嫌そうに鼻を鳴らす。

「お前、吸わぬと死ぬぞ?私が吸った分、落ちて失った分の血を失っておる。お前は木偶の坊で気づかないであろうが、死の一歩手前じゃ」

「え?」


マジかよ・・・。そんな重病人なの?俺。そう言えば捻った足首がジンジンして痛かったような・・・。

ってそれは全部アーリアのせいじゃねぇか!血を吸ったのも!落としたのも!全部アーリアが悪いんだよ!

でも言えねぇ!この暴力の塊みたいな美少女に言っても殴られて、死ぬかも知れねぇ!

八方塞がりかよ!


俺が悶々とアーリアへの不満を爆発させているとアーリアはカプリとその男の首筋に噛みついた。

チューチューという可愛らしい音はない。ズズズというなんだか恐ろしげな音が小さく聞こえるんだなこれが・・・あははは。


グゥゥゥゥ。

と何故か俺の腹の虫が鳴る。

え?ちょっとまって。なんだかとても美味しそうに見えてきた。

え?マジで?

仄かに香る男の血、口臭が臭い口から出てくる血とアーリアの口から零れる血がまるで美味しそうなジュースの甘い香りがしてくる。

これはあれだ。隣で凄く美味しそうなモノを食べている人のモノを涎を垂らしながら見ている感じ。腹が減っているところに焼き肉屋のあの香しい肉の香りをかいだときと同じと言ってしまえる。


う、うまそう・・・。ごくりと俺は喉を鳴らす。

そういえばずっと水も飲まずに平気だったのにここに来てアーリアの吸血を眺めているととんでもなく『渇き』がわき上がってくる。

くぱりとアーリアは口を男の首筋から離して、腕の服で口元を拭った。

やばい。エロすぎる。アーリアの美しい口から糸のように流れる血・・・。月の光に照らされて艶やかに光るその赤い瞳と髪。あらゆるものを従わせるような妖艶さ。

痺れるような誘惑が俺を襲う。このままアーリアを突き倒して、男の血が枯れるまで共に吸いながらまぐわいたいという妄想が俺を縛り付けた。


「どうした?吸わぬのか?お前の分も残してあるのじゃ。だが、吸い過ぎるな。死ぬまで吸うと亡者になってしまう。焼くのがめんどうじゃ」

俺はそのアーリアの言葉でハッとなる。

ダメだ。何を考えていたんだ俺は。

血を吸うのも、アーリアとまぐわうなんてしたくない。俺は人間だ。人間は人間の食べ物を食べるんだ。

「いや・・・止めとくよ」

俺はなんとか言葉にして彼女に伝えた。その言葉を聞いて彼女は不機嫌そうにするとまたフンと鼻を鳴らして男の首元に噛みついた。

俺はその光景を見ないように目を閉じた。見てしまえば・・・ダメだ。耳からアーリアが血を啜る音、鼻から男の血の臭いが俺を苛む。

胃が痛くなる。俺の身体が食べ物を求めて、胃酸を出しているに違いない。

ぐっと我慢していると音が止んだ。

俺はなおも目を閉じる。目を開けたら誘惑に勝てそうになかった。

アーリアが動くような気がする。動いてこちらにやってくる。


「んぐ!???」

え?何この唇に当たる柔らかいモノ・・・。え?唇?俺の?

違う!マウストゥーマウスってやつだ!接吻だ!吸い口だ!

そのまま今度は俺の唇を強引に割ってきた俺のものではない舌が生温かいドロッとした液体を流し込んだ。


美味すぎる!ちょっと時間が経って酸っぱくなった果実・・・極上のブドウのような味の液体が俺の口を満たした。

俺は夢中でそれを飲み込んで、更に求めるようにその舌に絡みつく。

「んんんん!?」

なんだかくぐもった叫び声―――。


バシッ!!

とんでもない衝撃で俺は目を開ける。

痛い!痛いって!また平手!?何度目だよ!


「何をするのじゃ!」

「何って・・・吸い口?」

「アホが!いいから吸うのじゃ!」

「アーリアの口を?」


あ、ごめんって!振りかぶらないで!そんなに振りかぶっちゃダメだって!


ゴガ!!!!

「ぎゃああああああああああああああああああああ」

激痛が走る。

痛い!痛い!発狂するぐらいに痛いよ!何度目だよこの激痛!可笑しくなるわ!

顎がまた潰れてるよ!


「ふん。もうよい。それだけ飲めばしばらくは保つのじゃ。行くぞ!」

仁王立ちしながら怒髪天を滾らせたアーリアが睨みながら声を上げる。


「ま・・・まっへ(ま・・・待って)」

俺は痛みにうずくまりながらアーリアに言うと、じろりとその紅玉の瞳が俺を睨む。

こえぇえええ。

「ふん。男共の持ち物をかっぱらっている内に直すが良いのじゃ」

アーリアはそう言って男達のひっぺ返した服やら武器やらを集め出した。

うわーこういうことか。

モンスターやら人間の敵を倒してお金や道具を集めるRPGの現実って怖すぎるな。

俺は日本に戻ったらRPGを一切しないと心に誓おう。だって、倒した敵が憐れすぎる。全部奪われるんだぜ?主人公に。

まあこいつらが悪いから罪悪感ってのは余り出てこないがよ・・・。


アーリアは服やらお金の入った革袋や武器をまとめると俺のヌノーを奪って、それをグルグル巻きにして俺に渡す。

持てって事ね。いいけどさ。

アーリアが無言で羽を広げ、俺は荷物を左手に抱えながらその足をまた掴んで夜空へと飛び出した。


そういえばさ。痛みで忘れてたけど・・・。

通常スキル『農作業セット1』・・・一通りの農作業に精通する。収穫量微少向上

通常スキル『ヴォーリア語2』・・・ヴォーリア語を習得する。日常会話のみ

ってのが閃いたんだけどさ・・・これってもしかして血を吸ったから?

だって、俺はさっきの男ザリグ・ボットクランドって男の人生を知ってしまった。家族構成やら趣味嗜好、犯した女性の数まで・・・。

知りたくねぇ!全く知りたくねぇ!!

最悪の気分だよ!

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