魔法の解けた朝
「リノアちゃん大好きいいいいいい!愛してるよおおおおおおお」
親友のマリアと一緒に散歩していたサリアは、朝の街に響く老婆の奇声に度肝を抜かれてしまった。
やがて、マリアは呆れたように言う。
「ああ、あのババアまたやってるよ」
「いっ、一体あのおばあさんはどうしたんですか?」
「あのババアか。どうやら、最近、長年連れ添った親友を亡くしたらしくてな。それが、愛しのリノアちゃんってわけだよ。昔は、二人とも美少女で、お互いに深く愛し合う、理想の恋人同士だったらしいんだが……」
「やがて、年をとって、愛をこじらせた挙句、一方に先立たれて、今じゃこの有様ってわけですね」
「サリア、お前なかなか辛辣のこと言うなー。まあ、朝っぱらからデートしてるうちらも他人のことは言えんけどなあ。まあ、純粋で情熱的な恋心も行き過ぎるとああなっちゃうってことだね」
「ふふふ、でも、おばあちゃんになっても仲良しって良いですね。私も死の直前までマリアちゃんと……」
「おっ、おい、頼むからあのババアみたいにはなるなよ。いくら素敵な女の子同士の友情でも、あそこまでいくと、色々とアレだからな」
マリアは、思わず顔を赤く染める。
それを見て、サリアは微笑ましい気持ちになる。
おばあちゃんになってもこんな風に、マリアちゃんと仲良しでいたいな。
サリアは、あのおばあさんことを少し羨ましく思ったのだった。
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