第3話 教会

 百五十ヤードも歩くと荷馬車が待っていた。錬金術師が樹海の際に戻ってくる前に、そこでの待機を依頼していた。

 知人の農夫が手を振る。双子は飛び跳ねて喜んでいるようだ。

 「無事だったかい!」

 「きのこは捨ててしまいましたが」

 「命あっての物種さぁね」

 事情を話し、市街への早急な帰還をお願いする。

 双子のホムンクルス、美少女東方剣士、練菌術師という奇妙な組み合わせで、荷馬車に揺られる。

 座っている少女剣士の両側に、双子がぴったりと密着している。あっという間に懐いてしまったようだ。

 「剣士のお姉ちゃんキレイだニャ」

 「剣士のお姉ちゃんキレイだニャ」

 少女剣士は、少し照れたように言う。

 「お主らもたいそうな麗容じゃぞ」

 双子はくすくすと笑いながら両側から抱きつき、ちんまりとした愛らしい頭を丁度高さの一致した少女剣士の胸に押しつける。大人に成りきれていない顔には似つかわしくない豊かな胸が、下から押されては上に膨らみ、微妙な振動でたゆたゆと揺れる。

 双子はひとしきり少女の各所を撫でまわしたあと、表情を消して、ささやくように問う。

 「お姉ちゃん、ボクたちの仲間ニャ?」

 「仲間ニャ?」

 少女剣士は、微苦笑を浮かべながら答える。

 「我は捨て子でな。出自は不明じゃ」

 「お父さんお母さんいないのニャ?」

 「いないのニャ?」

 「いや、どこかにはいるはずじゃ。生きているかどうかはわからぬし、名前すら知らぬがな」

 「練菌のお兄ちゃんの仲間ニャ?」

 「仲間ニャ?」

 少女剣士は、大きく美しいアーモンドアイズを細めて困惑したような笑みを浮かべたのち、ふと顔を上げて僕を見つめる。

 僕も、同じような笑顔を作る。

 一目でわかっていた。

 彼女にも、エルフの血が入っている。

 「お主、練菌術師か」

 「はい」

 「……我以外のハーフエルフに出会うのは、初めてじゃ」

 目を伏せて、密着している双子をゆっくりと撫でる。

 「ニャー」

 「ニャー」

 双子が、気持ちよさそうにしている。

 「メルリウスよ、年はいくつであるか?」

 「十七歳です」

 「我のほうが年下じゃな。丁寧な言葉遣いなどせずともよいぞ」

 「うん。わかった」

 「まぁ、はっきりした年齢はわからぬのだがな」

 「誕生日ないニャ?」

 「誕生日ないニャ?」

 「いや、一応はある。育ての親が適当に決めてくれた」

 「錬金のお兄ちゃん、ボクたちの誕生日決めるの悩んでたニャ」

 「悩んでたニャ」

 どの時点でホムンクルスの『誕生』となるのか、判断の難しい所なのだろう。

 少女剣士はきょとんとしている。二人のことを、普通の人間と思っているに違いない。

 「お主ら、何歳なのじゃ?」

 「聞いても驚かないニャ?」

 「驚かないニャ?」

 少女剣士は、軽く笑いながら言う。

 「武者修行で諸国をまわっておる。滅多なことでは驚かんぞ」

 「絶対ニャ?」

 「絶対ニャ?」

 「なんじゃ疑っておるのか」

 笑いつつ、小さな二人のホムンクルスの背中を優しくさする。

 「お姉ちゃん、きっといい人ニャ」

 「お姉ちゃん、きっといい人ニャ」

 「大した人間では御座らん」

 双子は、少女にギュッと抱きつく。

 「なんじゃなんじゃ。可愛いなあ」

 少女も双子をきゅうきゅうと抱きしめる。双子は少女の胸に顔を埋めたまま、こっそりと打ち明ける。

 「ボクたち一歳と十一ヵ月ニャ」

 「一歳と十一ヵ月ニャ」

 「ははは。からかっておるのか。どう見ても三歳か四歳ぐらいであろうが」

 「ボクたちホムンクルスニャ」

 「ホムンクルスニャ」

 「おお、話に聞いたことはある。初めて出会うぞ。こんなに可愛いものなのか」

 双子は、小声で恐る恐る聞く。

 「怖くないニャ?」

 「怖くないニャ?」

 「ははは。なにを言うておる。我はこの世に怖いものなどないぞ。そしてお主らは大変かわゆい」

 少女は二人の体をさらさらとこする。二人が人造人間であることに、全く驚いていない。

 確かに、この子たちはとてつもなく愛らしい。天使なる者が本当にいるとしたら、このようなものだろうかと思わせる程の美しさだ。事情を知らずに双子に出会う者は皆、瞬時にその魅力に取りつかれてしまう。

 しかし。

 極めて奇異なる超常秘術で作り上げられた人造人間、ホムンクルスと知ると、大抵は顔を引きつらせて去ってゆく。

 王国内でも特に差別や偏見の少なく、自由闊達な雰囲気のあるこの市の人間たちですら、多くはそうだった。

 ヒタスキが、今までどのように生きてきたかは知らない。

 でも、僕は彼女を好きになれると思った。

 「やっぱりお姉ちゃんいい人ニャ」

 「お姉ちゃんいい人ニャ」

 「はは。そうでもないと言うておるに」

 「お姉ちゃん大好きニャ」

 「お姉ちゃん大好きニャ」

 双子とヒタスキは、しばらくお互いに体を撫で擦りし合っていた。


 普段どおりの賑わいを見せる街に帰り着く。

 農夫とは市門でお別れ、真っ先に教会へ向かう。

 神との対話だけではなく、自然と対話する技術も重要視している教団だが、ここには竜族を含む魔族との交感が可能な者もいる。魔族に関する事件が起きた場合は、まずここに一報を入れるのが正解だ。

 ヒタスキは双子を両手に軽々と抱えて歩きつつ、しきりと街並みを見まわしている。

 「王国の北の端っこなのに、随分と栄えておるな」

 「最近は毛織物がよく売れてね」

 「強兵の都市と聞いたぞ」

 「そうだね。戦争なんてもうずいぶん起きていないけど」

 ヒタスキが、溜息をつきつつ下を向いて肩を落とす。

 教会の門前にヒタスキと双子を待たせて、一人で敷地内へと入ってゆく。樹海に鉄竜が出ました、と伝えると、やはり大騒ぎになった。滅多にお目に掛かれない司祭(僕が教会に顔を出さないからであるが)も、すぐに出て来る。

 「おお、メルリウス。怪我人は」

 「大丈夫です」

 しばらく見ない間にずいぶんと痩せたようだ。かなりの高齢なので仕方なし、といったところだろう。

 「それはよかった。して竜は」

 「通りすがりの剣士が退治しました」

 「何人かね?」

 「一人です」

 「なんと、かなりの手練れの勇者であるな」

 「ここらに竜が出たという話は、どれくらいぶりなのでしょうか」

 「残っている記録だと、百年以上前になるはずだ」

 広大な樹海の奥地にあるエルフ族のテリトリーの、そのまた奥の急峻な山岳地帯。

 そこが竜族の領域だ。

 現場検証のために、司祭を含めかなりの人数が現地に向かうこととなった。騒がしさが増してゆく。領主への報告は教会のほうからしてくれることになり、助祭が走ってゆく。多分、現場に騎士団が急行することになるだろう。

 「メルリウスよ、勇者はいずこに」

 「表に待たせています」

 「それは宜しくない。中で休んで頂こう」

 「えらく空腹のようなのです。飲食店に案内しようかと」

 「こちらで軽い食事を用意しよう。現場へは一緒に来て頂けるかな」

 「大丈夫だと思います。呼んできます」

 建物を出て門の外にいる三人を手招きする。双子を抱えているヒタスキが、のしのしと歩いてくる。年のせいで体の動きもずいぶんとゆっくりとなってしまっている司祭も、出迎える。

 「あなたが、竜を退治した勇者ですか」

 無表情で返答する、ヒタスキ。

 「勇者と言う程の者ではない」

 「騎馬は、いずこに」

 「馬には乗らぬ」

 「騎士ではないのですか」

 「うむ。我は剣のみで充分じゃ」

 「その剣で竜を」

 「ただの小型竜じゃ。大したことではない」

 「東方の剣士です。刀も技術も違うようです」

 「顔立ちは、こちらの人間に見えますが」

 「……故あって東方で育ったのじゃ」

 「まぁ、お入り下さい。軽食を用意します」

 「ちょっと今、竜の所に錬金術師が残っていまして、双子を預かっているのですが」

 「構わぬよ。一緒にお入りなさい」

 双子はもう地面に降りて、少女剣士の後ろに半分隠れている。

 教会もホムンクルスの存在を快く思っていない。人の感情を敏感に感じ取ってしまうこの双子は、当然そのことをわかっている。しかし、司祭は出来た人なので、嫌な顔もせずに迎え入れてくれた。間食も教会では厳禁のはずだが、柔軟な人だ。

 来客用の小部屋に案内される。すぐにスープとパン、チーズ、シードルが給仕される。

 優しげな表情を見せながら、司祭が言う。

 「さ、お上がりなさい」

 「かたじけない」

 「剣士殿、食事が済んだら竜の出没した場へ、御同行願えますかな?」

 「うむ。共に向かいましょうぞ」

 司祭殿は感謝の意を表して、一旦席を辞した。

 僕は、双子に声を掛ける。

 「なにか食べる?」

 「シードルがいいニャ」

 「シードルがいいニャ」

 教会の小間使いが、すぐにグラスに注いでくれる。

 「ありがとニャ」

 「ありがとニャ」

 僕も、この全く馴染みのない場で食事をする気にはなれず、シードルだけ頂戴する。

 ヒタスキが食べ始めるのを見て僕は中座、錬金術師と懇意の商人の店舗へと足を運ぶ。店主に鉄竜の件を話すと大変喜び、急ぎ向かうと言う。現地には教会よりも早く着きたいと、滑稽なほどに慌てふためいていた。

 卓越した商才を持つこの主は、生真面目だが中々の変人で、だからこそ錬金術師とは仲がよく、買い叩くようなことはまずしない。

 用件が済んだので、急ぎ教会に引き返す。

 馬車の用意が出来ている。騎乗の修道士が、先行で出発するのが見える。

 小部屋に戻ると、出されたもののほとんどをヒタスキが平らげていた。僕の姿を見て、パンだかチーズだかを口に頬張ったままモゴモゴなにか言いつつ両腕を振りまわしたが、すぐにやめてそれらをシードルと一緒に飲み込んだ。

 「ぐふー」

 「落ちついた?」

 「と、とりあえずはな。ぐふー」

 双子が、小ぶりな手のひらでヒタスキの背中をさすっている。

 「剣のお姉ちゃんよく食べたニャ」

 「よく食べたニャ」

 「さて、竜のとこへゆくか!」

 双子を両手で抱えて、ざっと立ちあがる。強靭なバネを連想させる動作。

 「馳走になった!」

 後片付けは小間使いに任せ、四人で建物から出る。

 「なんじゃ今の奴は。矢鱈と刀や戦闘のことを聞いてきおったぞ」

 あの小間使い、というか俗装の下級奉仕者は、非常時には僧兵の役割を果たすのだと思う。

 

 司祭に請われて、僕、ヒタスキ、双子が馬車で同席。双子はヒタスキの両側に座り、ぴったりとひっついてお互いに撫で撫でし合っている。

 実に出来のよい馬車であまり揺れず、そして、とにかく速い。これなら一時間と少しで現地に到着しそうだ。

 道々、竜との遭遇時のことを聞かれる。生物反応感知スキルの話をすると、ヒタスキも持っていると言う。

 「魔族だと、一層ひっかかりやすいな」

 「剣士殿も、エルフの血を引いていますな」

 「……まぁ、見ての通りだ」

 ヒタスキの困惑したような表情を読んで、司祭は話を変える。

 「よく斬れる剣のようですな」

 「鉄をも断つ」

 「随分と細く見えますが」

 「鍛え方が違うようじゃ。我等は斬鉄剣と呼んでおる。尤も、使う者の技量が高くないと、樹もろくに切れぬがな」

 「そうでしょうな。して、この地にはなにをしにいらされた」

 「我は武者修行中である」

 「なるほど。これからどこへゆかれる」

 「どこぞで戦があらば、傭兵として参加したいのじゃが……」

 「領主同士の武力衝突も半世紀前まではよくありましたが、今ではすっかり落ち着いています」

 「……そのようであるな」

 ヒタスキが、また肩を落とす。

 「農業技術の飛躍的進歩もありますが、新規開墾の促進で、どの領主も今は戦争より協調を選択しています。そして、知と勇のある新王の元に中央集権化が進んでいます」

 「我の暮らしておった東方辺境には、こちらの情報が数十年は遅れて伝わるようである」

 「まだまだ未開の地は沢山あるし、領主同士の争いも、今はあまり現実的ではないやもしれませぬ。それに……」

 司祭が言葉を途中で切る。

 皆が沈黙して、司祭を見る。

 「実は、竜族の世界で異変が起きていると、教会本部から情報がきておりましてな」

 「異変?」

 「竜族にも社会というものがあります。メルリウスは知っていると思うが、上級の竜はかなりの高度な知性を持っています」

 ヒタスキが、すました顔で言う。

 「我は話したことあるぞ」

 「え? 本当に?」

 「さすが剣士殿」

 「コルム・レミル山脈の高所で、空竜に出会ったぞ。かなり頭いいな。下級竜は獣みたいなもんじゃが」

 この国と東方世界の間に横たわる、険しい山脈だ。

 「竜族は文字を持たぬのですが、記憶力が大変優れているのです。上級竜には人語を解す者もおりますな」

 「で、その竜族の社会でなにかがあったのですか?」

 「詳しい理由はわからぬが、統率が乱れて一部の下級竜が樹海の際までさ迷い出てきたとの報告があった」

 「そうでしたか……」

 「身近に出没したとなると、対策を立てねばならぬ」

 「そうですね」

 「街道と樹海の際に、監視所を建てる」

 「心強いです」

 司祭の態度が改まる。

 「そこで、剣士殿にお願いがあります」

 「なんであろう」

 「しばらくこの都市に逗留して、竜族の動向の監視に協力しては下さらぬか。給金は満足のいく額を渡せぬかもしれませぬが、領主様と相談して明日にでも条件を提示させて頂きます」

 一切の迷いなく、ヒタスキは即答する。

 「了解した。お待ち致す」

 「ありがたい」

 司祭は、ほっとしたような表情を見せる。

 「宿が決まっていなければ、教会に泊まられては如何かな」

 「いや、そこまでして貰っては恐縮だ。こちらでなんとか致す」

 「わかりました。詳しい話はまた明日に」

 その後、ヒタスキの武者修行行脚の話を聞く。

 すっかり表情の和らいだヒタスキは、中々の饒舌だった。

 「いや、当初考えていた戦時傭兵のような仕事は、全くなかったんだよなー」

 「残念だったね」

 「うむ。だが、自称腕自慢やらメスに飢えた奴やらが、結構ちょっかいを出してきおってなあ」

 「おりますな、ならず者。困ったものです」

 「弱いんでしょ。そういう輩は」

 「うむ。大抵はアホだから剣を抜くまでもなく粉砕してやったが、まぁ暇つぶし程度にはなったな」

 笑顔を見せつつ、得意気に語るヒタスキ。

 「どんどんやっつけちゃうといい」

 「あと、野宿してるとたまに盗賊やらなにやらが襲ってきてくれるので、肩慣らしになったぞ」

 「あー、寝ていても生物反応感知スキルを発動させておいて」

 「そうじゃ。全部返り討ちじゃ」

 「盗賊にはよい薬になりましょう」

 「一度、盗賊共のねぐらの近くで野宿してしまったことがあってな。なんだか三十人以上に取り囲まれたが、二分掛けずに二十人斬ったら残りに逃げられた」

 話をしながも、喜々として双子とさわり合っているヒタスキ。

 司祭は、慈愛を感じさせる笑みを浮かべて言う。

 「剣士殿は不思議な方ですな。ホムンクルスをも同じ生命を持つものとして愛でるかと思えば、盗賊をなんの躊躇もなく瞬時に斬殺する」

 ヒタスキは、可憐な頭を軽く傾げる。

 「……少し前の時代なら、あたりまえじゃったような気もするがのう」

 確かに、昔は暴力や殺人がもっと身近にあったのだろうし、普遍宗教が政治と結託して人民を統治する以前の謎や闇の多かった時代ならば、ホムンクルスも今よりも受け入れられたろうと思う。状況によっては、神のように崇め奉られたかもしれない。

 「拙僧も、剣士殿の仰る通りだと考えます」

 ヒタスキが、ニヤリと笑って返す。

 「おや、司祭殿の言葉とは思えぬな」

 「はは。これでも結構俗っぽい部分を内に秘めておりますでな」

 「成る程」

 教会とエルフとの関係はよくないのだが、彼はそんなことを一切感じさせずに僕に接してくれる。

 「司祭殿は、偏見のない方ですね」

 「慧眼のメルリウスにそう言われると、なにやらこそばゆいな」

 「慧眼だなんて、とんでもないです」

 「レンティヌスも、若いのに優れた才を持っておる。もう少し角が取れるとよいのじゃがな」

 あの錬金術師は教会が大嫌いで、寄りつかないようにしている。それでも、司祭は彼のことを気に掛けている。

 「しかし、君たち双子を授かって、以前よりも随分と人当たりがよくなったようだが」

 司祭は、ホムンクルスにも優しげな微笑みを向ける。双子は、ヒタスキの胸に顔を埋めている。

 「こんなに可愛い子が出来てはのう~」

 「この二人の存在は、彼の才をより一層伸ばしてゆくように思えるね」

 「天才ですね。彼は」

 「メルリウス、君もだよ」

 僕は、首を横に振る。

 「いえ、とんでもないです」

 「そして、剣士殿。あなたもです」

 「いや、我はまだまだ修行中の身じゃ」

 「太刀筋は拝見しておりませぬが、優れた天賦の才を感じます」

 「鉄竜を一対一で撃破出来る戦士なんて、そうはいませんしね」

 ヒタスキは、顔を赤らめて両手を振る。

 「そ、そう褒めんでもよい」

 司祭は、軽く笑う。

 「メルリウス、レンティヌス、ヒタスキ殿。興味深い組み合わせですな」

 ふと真顔になる、ヒタスキ。

 「剣士殿には、この地に出来るだけ長く逗留することを望みます」

 ヒタスキは、はにかみながら言う。

 「司祭殿にそのように言われると、そうしたくなるな」

 「いつでも教会にいらっしゃい。出来うる限りの助力をしたいと考えています」

 「恐縮である」

 「時代は目まぐるしく変化してゆきます。俊逸なる若者たちに期待するばかりです」

 司祭は、どこか悲しげな表情を浮かべた。

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