第5話
中継地点を作る、隠密を心掛ける、美味いものを探す。3つともやらなきゃいけないのが辛いとこだな。覚悟はできてるか?俺は最後のしか出来てない( 小声 )
でも正直こういうの素人だからさー。俺ってさー。ねー?
ゲームでもシーフ的な職業は率先してやらなかったからな。やっぱ戦士系がナンバー1!人間性捧げる時も全身甲冑の掟を自ら課してたからな!
ゲームといえば大学や地元のダチども元気だろうか。あいつらに限らず、家族や恩人とかにも一言別れを言いたかったよ。
ここに俺を送り込んだやつはゲイのサディストに決まってる。なんせ俺を含めて個人名の記憶をキレイに消しやがるからな。
この世界の神様カッコ仮は一体何がしたいのやら。個を消して俺をここに定着しやすくさせようとでもしてるのかね?まあ今考えても詮無きこと、とやらだがな。
まあそんなこんな考えつつもコソコソしたお陰なのか、偶然にもひとりで眠りこけてる謎爬虫類を見つけた。
単品か。ふむ。
こんないい機会もまたと無いことだし、せっかくだから俺はこの赤い扉( 意味深 )を選ぶぜ!
カサカサカサカサ、スゥッ、ドバァッ!!( ビクンビクン )
へへへへ…よく効くだろう?そのままチヌェ!って、あっ、あれ?首チョンパできねぇ!おいコラ暴れんじゃねーよ!ちょっと怖いだろうが!動くなっつってんだよぉあああああ血飛沫ブシャアァ!っていやぁあああああ!!?
Oh…スマートに行こうとしたらこのザマデース……。
てか、なんで首切りにいこうとしたんだオレ。初めての本格的な狩で我知らずにちょっと興奮しすぎか。ま、まあ初めてだし、多少はね?
うん。なんかゴメンな謎爬虫類…もう茶トカゲくんでいいや。呼ぶならこっちの方がいいよね。
そして狩ったからにはこいつを食わにゃいかんよなぁ。なんか世紀末的市民の如く襲いかかっちゃった件については本当に、申し訳ないと思っている( メタルマン並みの感想 )。
というわけで試しに一口。チョキチョキチョキっとな。いただきます。もぐもぐ。
うん!おいしヴォエッ!!
ぐっ、くっ、おおぉぉぉぁあマッズ!吐き出さなかった俺は偉いぞ偉いぞ〜( 白目 )。
レアの肉は好物なんだがこれは無理ですわ。血と肉の生臭さと控えめなアンモニア臭みたいなのとちょっぴりの酸味が、旨味という単語を長期腐敗させてそれを雑巾の絞り汁で混ぜたかのような風味を醸し出していた。
い、いや、まだだ。血抜きやら水洗いをしたりキノコとかと合わせて食えばあるいは…。よし。そうと決まればこいつは川まで一旦持っていくとするか。手間だぜ。
茶トカゲの死体をがんばって運んでいると何処からともなく鳴き声が。
ジャーシー!ってのは確かこいつの声だったような…。まさか、血の匂いでやってきたか?
いかん。血飛沫を浴びたせいで俺にも匂いがついてる。ならさっと離脱するに限る。帝王に闘争は無いのだ!ガサガサガサガサ!
うわっ!後ろなんか嫌な咀嚼音がしてる!あいつらあんな不味い肉で共食いするとか極まってんな。
おっと、横の茂みから2匹飛び出してきた。俺を囲もうとしてるんだろうがそうはいかん。先ずは目潰し水鉄砲で牽制。怯んでありがとよ!そして右の奴の足指を狙って素早く鋏を打ち込む。
茶トカゲが痛みに耐えかねて転げ回る隙に、素早く脇をすり抜ける。やつらは2体同時でなければ、俺のような攻撃手段に訴えてくるにやつはかかって来にくい。ここしばらく影ながら観察してきた付け焼の知識みたいなもんだが、うまくいったのでとにかくよし!
普段なら2匹だけだったら殻にこもる方が大した消耗もせずにやり過ごせたが、今回は俺自身が撒き餌のようになってしまったので素早く離脱したかったのだ。
多分10匹ぐらいの群れだったから、流石に絶え間なく攻撃されちゃあ殻にこもっててもいつかやられる可能性があった。
しかしとんでもない目にあった。得たものはあのクッソ不味い肉だけだと思うと精神的疲労が半端なかった。
まだ日は高いし、川で体を洗って再スタートするかぁ…。久々の動物性たんぱく質に目が眩んだ結果これとは。要反省だ。てか前にもこんなことあったような…うん。本当に気をつけなきゃなあ。
〓〓〓
多分一週間未満にかけて行われた周辺探索。中継拠点によさそうな木の下を見つけたり、ようやくマトモに美味いキノコを見つけたり、にっくき茶鳥や茶トカゲどもを何度か撃退( 数の暴力からはもちろん逃走した )したりなど色々イベントがあったが、その中でも抜きん出て注目すべき事態に出会った。
なんと南国の如きこの島には、燃え盛る活火山があったのだ。
あれですよ。正に某狩りゲーのようなあれですよ。いやあ感動したなぁ、こんなのにお目にかかれるとは!
しかしこの島も中々にエキセントリックというか、個性的というか。
ただでさえ日差しが暑いってのにマグマの熱気と硫黄の香りまで提供してくれるとは恐れ入った。探索するのは最後にしてやろう。
しかし火山か。すげぇ鉱石とか、ありそうじゃね?あと炭鉱夫の恋人兼愛人とかもありそうじゃね?化石化しかけた太古の武器とかもありそうじゃね?
オラ、なんだかワクワクしてきたぞ。
いや、待て待て待て。俺のようなファンタジー甲殻類がいるんだ。あんな燃え盛る厳しい環境にはそれこそ想像だに出来ない極限生物がいるやもしれん。
…見てみたいかも。いや、まだ考慮することはあるはずだ。あんな場所にいったら食糧事情はどうなる?
…なんか水場近いし、俺って鉱石でも生きていけるよな?
いかん。いかんぞ。また好奇心に負けて突っ込んでいきそうだ。つい最近まで気を付けようて心に決めたハズなんだ!
よし。こういうときはセッチューアンを出せばいいんだ。俺は詳しいんだ!使い方は間違ってない( ハズだ ) !
やはりここは、厚さ2ミリくらいの鉄板作戦である「アンタのことなんて全然気にしてないんだからね!」でいこう。ちなみこれは幼馴染がやると高確率で失敗するので注意だ。甲殻類だけにな。
すみませんでした。
未知の領域に踏み込む際には、まずは頭をチラ見させるだけにし、とにかく注意深く進むという作戦だ。
え?作戦名と全く関係ない?そりゃこの作戦自体今までやってきたのと変わらんからな。コレぶっちゃけノリだけで出来たんで!
それにだ。最近の探索はちょっとマンネリ気味な感じだったからな。気分転換も兼ねられる。
あと中継拠点から水場が結構遠かったから、ここに新しい拠点を作るのは渡りに船ではなかろうか。
それにうまくいけば俺の強化につながるかやもしれん。
……最後に探索すると言ったな?アレは嘘だ。よっしゃあ!自己弁護も済んだことだしいっちょ行ってみますか!
乗り込め〜^ ^
➖数分後➖
アツゥイ! ヒュゥー、アッツ!アツウィー、アツーウィ!アツー、アツーェ! すいませへぇぇ~ん!アッアッアッ、アツェ!
そりゃそうだよなあ!アッチでも冷却ドリンコいるもんなぁアツゥイ!み、水ぅ〜〜ッ!!
ピョイン!ドボン!最高飛距離ダイブと共にオレはウォータボーイズになった。スイミング(笑)
やっぱアカンかったか?!いやもう少し進めばなんかキラッと光る壁あったし諦めるなよもっと熱くな…いや気温は下がってくださいオナシャス!なんでもしませんから!
ええいこんな序盤でつまずいていちゃあ俺様の沽券に関わるわぁ!
トライアンドエラー!ヤバレカバレ!為せば成る!男は度胸!制圧前進あるのみよ!
待っておれよまだ見ぬ食い物どもよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます