第7話 乃恵の悩み

 

 二人の会話の間、廊下で待っていた乃恵は悩んでいた。


 ——先生と心太さんの話……やっぱり、私かな? 迷惑だ、って思われてるのかな。


 乃恵は廊下にしゃがみこんで一人で悩み始めた。

 さっきの自己紹介ではっきりとわかった。

 やっぱり自分はダメなんだ。貧乏神は嫌われ者だと、はっきりとわかった。

 心太があまりにも普通に接してくれるからつい忘れてしまうが、彼は特別。

 普通の人や妖怪は、嫌うのだ。

 そんなことわかっていた。わかりきっていた。だって、ずっとそうだったから。

 なのに、なのに……新しい場所なら変われるだろうと思っていた。

 いつの間にかそう思ってしまっていた。


 乃恵の周囲に、黒い霧が立ちこめる。

 それに気づかず、乃恵の思考はどんどん深みにはまり――コツン。

 突然、頭の上に何かが乗った。ハッと我に返った途端、霧は霧散した。

 乃恵は、頭の上に乗ったものを手に取る。

 それは――やかんだった。クラスメイトのやかんづる。


「……管路さん、ですよね?」


 心太の気絶でうやむやになってしまったが、確かそういう名前だった。やかんづるは肯定するように注ぎ口を立てに振った。


「どうしてここに?」


 尋ねてもやかんづるは答えない。ただ、やかんづるは乃恵のまわりをくるくると回っている。まるで乃恵を励ますように。


「励ましてくれているんですか?」


 乃恵が聞くと、はぐらかすようにくるりとやかんづるは回った。


「ふふふ」

 なんだかうれしくなって微笑んだ。――ガラガラと扉の開く音がして乃恵は振り返る。


「乃恵? どうしたの?」

「乃恵くん、具合が悪くなったかい?」


 話を終えた二人が保健室から出てきて、廊下にしゃがみこむ乃恵を見つけて声をかけた。


「だ、大丈夫です。ちょっと疲れて座っていただけですから」


心配そうな二人にあわてて乃恵は立ち上がる。そのときに振り返ったが、やかんづるはもういなくなっていた。



****



「遅くなったお詫びに、家まで送るよ」

 

 その葛野葉先生の申し出をありがたく受けとった二人は、車で家に帰ってきた。

 現在、午後七時。

 二人はうがいや手洗いを済ませ、部屋着に着替えると夕飯の支度を始めた。

 

 今日の夕飯はちょっと豪華だ。二人の入学祝と、乃恵の引越し祝いを兼ねての夕飯。乃恵の実家から鯛が届いたので、それをメインに使うことになった。

 乃恵が主に調理をして、心太はその手伝いをした。


「え、すごい、乃恵、鯛さばけるんだ」

「いえ、そんな、たいしたことじゃないです、私なんて全然まだまだです」


 乃恵が謙遜ではなく本気でそういってるのを聞いて、過小評価がすぎる、と心太は思った。

 そもそも鯛ををさばける女子高生がどれほどいるだろうか。


「二人の入学と、乃恵の引越しを記念して、乾杯!」

「はい、乾杯!」


 全ての料理がそろい二人で座ったところで、二人だけの乾杯をする。かちゃん、と打ち合ったグラスの中身は麦茶だ。


「いただきます!」

「いただきます」


 夕飯の献立は、散らし寿司に鯛の塩焼き。鯛のあらのお吸い物。それから茶碗蒸し。豪華な夕飯を二人でゆっくりといろいろな話をしつつ、楽しみながら全ての料理を残さず食べた。


「「ごちそうさまでした」」


 全ての料理を残さず食べ終え、二人そろってあいさつした後、洗い物をしようとした乃恵を心太が制す。


「洗い物は任せたまえ」

「いえ、そんな! だ、ダメです、私がやりますから!」

「いいからいいから」


 乃恵を制して、台所に立つ心太。

 乃恵は、落ち込んだように唇を噛んだ。

 彼女の家では男性が台所に立つことはない。だから、乃恵は「仕事を取られてしまった」と感じた。

 申し訳なさと、所在なさに彼女の心は沈む。


 そんなことはつゆ知らず、心太は洗い物をしながら悩んでいた。

 

 『入浴』

 

 心太はそこに本気で悩んでいた。一緒に入るか、それとものぞくか……ではなく、どちらが先にお風呂に入るか。

 心太はそこで悩んでいた。心太は別に先でも後でもいいんだが、女の子は気にするだろう、と。

自分の入った風呂に入られるのと、男の入った風呂に入るの。どちらが嫌なのだろうか……答えは出ずに堂々巡り。

 洗い物ももうすぐ終わる。心太は悩んでも仕方ないか、と乃恵の意見を聞くことにした。


「乃恵、お風呂どうする?」

「は、はい!?」


 家事も満足にさせてもらえない自分がここにいる必要はあるのだろうか……。

 そう、自分を責めていた乃恵は心太の言葉にビックリすると同時に気がついた。


 ——そうか、料理なんかよりも身体で尽くせ、ってことかな?


 至極純粋に、そう思った。


「俺の前に入るのと、後に入るのどっちがいい?」

「あ、ええと、その……」


 もちろん、心太にそんなつもりはまったくもってない。悲しいぐらいない。


「いや、やっぱり女の子はそういうの気にするかなぁと思ってさ」

「わ、私は、後で……いえ、やっぱり先でもいいですか?」

「もちろん。ゆっくり入って疲れを取るといいよ」


 ナニかを想像して顔を赤くする乃恵に気づかず、心太は答える。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 着替えを用意して乃恵はお風呂に入る。

 脱衣所で服を脱ぎ、生まれたままの姿を鏡にさらす乃恵。

 彼女は鏡に映る自分の身体を見てため息をついた


 ――なんて貧相な身体だろう。胸も小さいけれど、肩やおしりにも女性的な丸みがまるでない。

 こんな身体で尽くして、果たして喜ぶ男性がどれほどいるだろうか。

 

 乃恵は落ち込みながらお風呂場へ入る。

 ふわり、と黒い霧が舞う。

 シャワーを頭から浴びる。暖かいシャワーを浴びて、顔を洗うと少し気持ちが晴れた。乃恵はシャンプーで髪を洗い、ボディソープで身体を洗った。

 全てを流し終え気持ちもリフレッシュした乃恵は湯船に浸かった。黒い霧も一緒似流れていく。

 あたたかいお湯に肩まで浸かる。


「ふー」


 ゆっくりと息を吐き、さらに深く浸かる。ぶくぶくぶく、と口まで浸かった。そうして湯船に浸かりながら、乃恵は昨夜の姉との会話を思い出していた。


 昨日の夜、乃恵の部屋にやってきた姉は


「あなたは居候になるの。貧乏神の居候。自分の立場はわかっている?」


 と乃恵に確認してきた。

 それから、居候の心得と称して乃恵に話を始めた。「相手の誠意に甘えちゃダメよ。誠意には性慰で答えなくてはいけないわ ナニを擦(す)るのか、わかるわよね?」と。

 こんこんと諭すように言われると、正しい気がしてしまうから不思議だ。乃恵は姉の言葉に首を縦に振った。その乃恵を見て満足そうにうなずいた姉は、一晩かけて「具体的ないろいろ」を教えてくれた。

 顔を赤くしながらも全部をちゃんと聞いた乃恵に、「明日の夜、頑張りなさい」と姉はやさしく頭を撫でてくれた。

 

 姉の言うことは正しかったのだ、と乃恵はひとりで納得していた。

 自分がどれほどこの家の迷惑になるのか、それはまだわからない。けど、迷惑になるのは確実だ。せめてもの出来ることと言ったら家事と……夜の相手ぐらい。

 自分の貧相な身体でお礼になるかはわからないけど、できることはしないと。姉はただ面白がっていろいろ教えていただけなのだが、乃恵は気づいていない。


 それに相手は、心太さんだから――だから、だから……。


 「だから」の先は出てこなかった。乃恵はまだ自分の気持ちをうまくつかめていない。

 もやもやとした思いを抱えながら乃恵はお風呂から上がった。新しいバスタオルで身体を拭いて、真っ白の薄手の着物――時代劇とかで女の人が夜に着ているあれ――に袖を通す。もちろんこんな着物普段は着ない。今日のために用意したのだ。姉が。

 髪を梳かして、しばらずにまっすぐに流す。唇に薄く紅を差す。

 ……よし。

 鏡を見て全ての支度を整えた乃恵は、確かな決意で心太のもとへと向かった。


乃恵がお風呂へ向かった後、心太は自分の部屋へと戻っていた。居間にいると、耳を澄ますとシャワーの音が微かに聞こえてきてそわそわするからだ。

 心太は机のイスに座り、ノートを開いた。五ページ目に今日の日付を記入。

 これは四日前からつけ始めた家計簿。母の言いつけに沿って、乃恵が来てからの変化を記すために用意したのだ。簡単なものはいままでもつけていたので要領はわかっている。今日の分の支出を計算。書いていく。

 その後に、もう一冊。こちらはまだ真新しいノートを取り出した。白紙の一ページ目に日付をいれて、今日の出来事を書いていく。こちらは日記にする予定。


 この日記には、出会った妖怪についてを書いていこうと思っていた。自分の知識にある妖怪と実際の姿の違いとか、そういったことを書こうと。自分の将来にも役に立つかも知れない……と思いつつ、今日会ったクラスメイトの妖怪の名前、自己紹介の内容。印象などを書いていく。それを書いていると、聞けなかった分の自己紹介が非常に惜しく思えてくる。

 後で乃恵に聞いてみようか。

 そんなことを半ば本気で考えつつ、心太は熱心にペンを走らせた。


 トントン、と部屋の戸がノックされる音で心太はノートから顔を上げた。


「あ、あの……乃恵です」


 戸越しに乃恵のくぐもった声が聞こえる。どうぞ、と心太は声をかけた。


「し、失礼します」


 妙に角張った声で乃恵は戸を開けた。


「お、お風呂、いただきました」


 廊下に正座したまま乃恵はそう言った。お風呂から上がったばかりだからか、乃恵の頬は紅潮していて、髪もまだ微かに湿っていて色っぽい。

 女の子の匂いが部屋に入ってきて、心太はドキッとした。しかも乃恵は真っ白の薄手の着物を着ている。それが肌からの湯気でか、くたっとなって妙に色っぽいのだ。彼女が髪を下ろしているのも原因の一つかも知れない。


「そ、そう……疲れは取れた?」


 ドギマギとしながら、それを必死に抑えつつ心太は聞いた。


「は、はい……いいお湯でした」


 乃恵はそう答え、顔を伏せた。


「そ、それはよかった」

「……はい」


 あ、あの……、と乃恵が言う。


「入っても、いいでしょうか?」


 乃恵はまだ廊下に正座したままだ。春とはいえ四月の夜は冷える。このままでは湯冷めしてしまうだろう。心太はどうぞ、とうなずいた。


「お、お邪魔します」


 乃恵は心太の部屋に入ると、戸を閉めた。途端、部屋の中が急に狭くなったように心太は感じた。


「……ど、どうぞ」


 入り口付近に正座したまま動かない乃恵に、心太は座布団を勧める。


「す、すいません。ありがとうございます」


 乃恵は座布団に正座。心太と向かい合う形となった。


「……………………」

「……………………」


 無言だ。心太は乃恵が何か話したいことでもあるのだろう、と思って待っているのだが、乃恵はうつむいたまま動かない。


「えーと、乃恵。何か話したいことが……?」


 何か気になることがあったら、気を使わないでちゃんと言って欲しい、と心太は乃恵を促した。


「……え、あ……その……はい……」


 おどおどとしつつも、乃恵はうなずいた。しかし、彼女はなかなか言い出せない。一体なんて言ったらいいのか……。


「あの……話はちゃんと聞くからさ、その話がなんであれ、それで怒ったり嫌ったり追い出したりしないから……そんな心配しないで」


 心太は多分自分の行動についてを言われるのだろうと思っていた。

 これから最低でも三年は一緒に暮らすのだ。何か気になることがあるのならちゃんと言ってもらった方がいい。

 そうしないと、ストレスが溜まったりしていつか爆発するかもしれないから……とそういうつもりで、熟年離婚番組なんかの情報を思い出しながら言ったのだ。

 しかし乃恵は心太の思惑とはちょっと違うように受け取った。自分の言い出すことを心太が先読みして、背中を押してくれたのだと。その言葉で決心がついた。顔を上げて心太を見つめ、姿勢を正して言った。


「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」


 三つ指をついて、深々と頭を下げる。

 ――グハッ、と心太は血を吐きそうになった。

 乃恵の言葉の意味を考える前の話だ。それ以前の段階で心太は血を吐きそうになった。

 心太はイスに座っている。乃恵は座布団の上に正座をしている。自然と軽く見下ろす形になるのだが……乃恵が頭を下げたことにより、胸元の奥が見えてしまったのだ。

 いや、もちろん全部じゃない。大事なところは守られている。しかし、前で合わせる着物、と言うこともあって、結構深く胸元が見えてしまうのだ。白い柔肌が見えてしまっているのだ。ギリギリラインで守られているあたりがさらに心太の脳髄を刺激する。

 着物で出来た影が乃恵の胸元を守っているのだが、その影が! その暗闇が! 心太の目を惹きつけて離さない。ブラックホールだ。逆らいがたい吸引力。

 見てはいけない、ダメだ。と思っているのに、目が離せない。徐々に心太は前傾姿勢に。胸元へとの距離を縮めようと身体が勝手に動いてしまう。イスから立ち上がりかけたその瞬間、乃恵が頭を上げた。


「ふぉっ!」


 あわててイスに背中を押し付けて深く座る心太。その拍子に机にぶつかり、派手な音を立てる。


「あ、あの……心太さん?」


 乃恵は不安そうに心太の方へ膝で一歩、詰め寄ってきた。その動きにより着物の裾が膝で広げられ、連鎖的に胸元がもっと見え、さらに太ももまであらわになる。

 心太は狂いそうだった。もう狂っちまいそうだった。だが、それを理性で必死に押さえつける。


「し、心太さん……そ、その……だいじょうぶですか?」


 そう言って乃恵はさらに心太へ詰め寄ってくる。


「あ……う……ああ……う」


 声にならないうめきをもらす心太。見てはいけないと思っているのに目が離せない。どんどん近づいていく。

 その二つの思いにより、心太の上半身は前にどんどんと進み、下半身は後ろへとどんどんさがる。結果、心太の身体はすさまじい体勢へとなっていき、


「心太さん」


 乃恵がもう一歩つめたとき、心太の体勢はバランス能力の限界を超え――


「あ」


 ――間抜けな声とともに心太は倒れこんだ。乃恵のいる前方へと。


 ガタガタ、バタン、ガシャン、


 派手な音を立てて、イスが倒れた。くるくるとキャスター部分がむなしく回る。だが、幸いなことにどこも壊れてはいない。


「…………」

 

 倒れこんだ心太は動けずにいた。

 目の前には仰向けに倒れた乃恵がいて、自分は彼女に覆いかぶさるように乗っかってしまっている。幸いなことに押しつぶすことだけは回避できたが、結果、自分の四肢が乃恵の身体を縫いとめるようにしてしまっていた。

 その状況で心太は乃恵と見つめ合っていた。


「…………」

「…………」


 乃恵が、すっと目をそらした。心太もあわせるようにほぼ同時にそらす。そらした先には、乃恵のさらにあらわになった胸元が。そこからむわっと女の子の匂いが漂い、鼻腔を通じて心太の脳を直接握りつぶす。


 ――すぐに退くべきだ。見てはいけない。触ってもいけない。舐めるなんてもってのほかだ。


 わかっているのだ。頭は全てをわかっている。だが、身体はかたくなに退くことを拒む。それどころか、自分の顔は徐々に乃恵の胸元へと近づいている。

 ピクッ、と乃恵が震えたのがわかって、心太は必死の思いで自分の身体の動きを止めた。アロンアルファ丸々一本使って接着されたかのような目を、根性だけで胸元からそらす。これが精一杯だった。これ以上近づかないようにするのが、精一杯だった。

 ふう、ふう、と乃恵の浅い呼吸が心太に伝わってくる。

 ――ダメだ、退かないと。でも、動けない。


 悲しいほどに自分の身体は欲望に素直だった。

 ごめん、と心太が退けないことを謝ろうとした瞬間、目が再び合った。

 ――グッ、と心太は息を呑んだ。

 乃恵の目は潤んでいて、熱を帯びていた。その熱は彼女の全身にもまわっていて、重なった心太の身体へも薄い着物越しに伝わってくる。

 目が離せなかった。全身が硬直して動けなかった。

 そんな心太の視線から恥ずかしそうに顔をそらした乃恵は、自分の右肩の上に乗る心太の手を、右手の指先できゅっ、と掴み、心太に言った。


「……や、やさしくしてください」


 小さく、聞こえるかどうかも危うい声でつぶやいた乃恵の声はしかし、心太の鼓膜を確実に揺らした。鼓膜を揺らした衝撃は加速度的に威力を増して、心太の頭蓋を貫通。その奥の大脳を覆う理性の担い手、大脳新皮質を的確に破壊した。

 心太の中にあるダムが決壊した。本能という荒ぶる海を必死に押さえていたダムが、音を立てて崩れ去った。


「の、乃恵……」

「……はい」


 乃恵は全身の力を抜き、心太に全てを任せた。

 二人の顔が徐々に近づく。

 乃恵がゆっくりと目を閉じた。

 十五センチ——十センチ——少しずつ、ゆっくりと二人の距離は縮まっていく。

 七センチ——五センチ——心太も、礼儀にのっとり目を閉じた。

 三センチ——そして——コツン。

 重なろうとする二人の唇の間に割り込むように、何かが上から降ってきた。目をつぶっていた二人はそれに額をぶつけて、閉じていた目を見開いた。


「……や、やかん……づる?」


 先に口を開いたのは心太だった。彼はまだ状況を理解していない。ただ、目の前にあるものを見て、反射的に口が動いただけだ。


「か、管路さん……?」


 心太につられるように乃恵も口を開く。目の前にあるやかん。それは多分、クラスメイトの管路さんだ。やかんの見分けはつかないけれど、多分そうだと乃恵は思った。

 肯定するようにぶるぶる、っと縦に注ぎ口を振る、やかんづるの管路さん。管路さんはふいっと、上へ上がった。

 ぽかんとそれを見上げていた心太と乃恵は、そのときにふとお互いの姿勢に気がついて、あわてて離れた。

 乃恵は自分の着物の乱れに気がついてすごく焦っていた。あわてて着物の乱れを直す。

 心太は丸っこく地面にうずくまっていた。ナニが、とは言わないが、気づかぬうちに大きくなっていたのだ。それをおさめるためにうずくまる。


 そんな二人を眺めるように、やかんづるがくるくると円をかいて回っていた。

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