第四章 真の強さはどこにある
第1話
寮の自室に帰れるかと思ったら、そんなことはなくて風紀委員管轄の隔離施設に収容された。
大斗乃先輩曰く、「部屋に《デウス》を隠されていたらたまらないからね。君の部屋は徹底的に調べさせてもらう。だから、それまで何もない部屋で暮らしてね。別に行動を拘束するわけじゃないから、岩浦潰しは普通にやってちょうだい」とのことだった。
俺の放り込まれた部屋はベッドしかないとても質素な部屋だった。何もないがゆえに、俺は暇も潰せない。紛らわすものもない。だから、いつだって身体は怠く、ただただ苦しい。
五十海の居場所はやはりわからなかった。部屋にもおらず、電話を掛けても出ない。というか、お掛けになった電話番号は現在使われておりませんと言われる始末だった。
いきなり五十海から潰すというのは難しい。ならば、やっぱりほかの木端から始末していくべきなのか。
身体の調子を考えれば、さっさと済ませたいところだが仕方ない。
リストの密売人をコツコツ潰していくか。
俺はさっそく行動をするために収容所を出る。
「おはよう」
収容所を出たところで、俺は声を掛けられる。
「天之原……」
天之原奈月がそこにいた。
「なんで、ここにいるんだよ」
「あれ? 生徒会長から聞いてない?」
「え?」
何のことだ? と首を傾げていると俺のスマホが震える。
着信があり、俺は電話に出る。
『そういえば言い忘れてたことがあったんだよね』
電話の相手は大斗乃結実生徒会長。
『行動に制限は付けないとは言っても、一人であっちこっちに行かせるのも心配だからさ、お目付け役に天之原奈月を付けることにしたから。君の行動は彼女を通して、私の耳に届くようになっている。そういうことで、よろしく』
天之原がお目付け役。つまり、俺はこいつと行動をしなければならないというわけか。
「ということで、よろしくね。戌井くん」
天之原奈月はそう言って微笑んだ。
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