第5話

 約束の午後五時になったので、俺は五十海の部屋へ行く。十万円もしっかり持参。


 五十海の部屋の扉をノックすると、五十海が顔を出して「どうぞ」と言う。俺は五十海の部屋に入る。


 部屋に入ったところで五十海が言う。


「じゃあまず、お金の確認をさせてもらおうかな」


 俺は五十海に十万円の入った封筒を渡す。


 五十海は封筒から札束を出して、それの枚数を数える。一、二、三……十。


「うん、ちゃんと十万円あるね。じゃあ、これ」


 がさり、と。音を立て、俺に渡されるのはビニール袋。俺はそれを受け取り、中を見る。中には《デウス》がたくさん。


「ちゃんと二十袋あるか確かめてね」


 五十海がそう言ったので、俺はビニール袋の中の《デウス》を数える。一、二、三……十、十一、十二……二十。


「うん、二十袋。確認した」


「毎度あり」と言ってにこっと笑う五十海。


 俺も欲しいものが手に入って笑みが浮かぶほど満足。


「では、これからもご贔屓」


「ああ」


 俺は五十海の部屋を出る。そして自室へ戻り、《デウス》を吸った。


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