第2話

 サマーコンペティションで俺が優勝して一夜が明けた。


 起床した俺はもはや日課になりつつある《デウス》の吸引を行う。袋を開けるとそろそろ《デウス》がなくなりそうなことに気づいたので、五十海から購入しないといけない。


 サマーコンペティションでの優勝賞金もあるから、ここは一つまとめ買いでもしようかしら。


 確か、一万円で二袋買えた。ならば、一袋五千円ということか。


 最近、《デウス》の消費量が激しい。使うときは一日で一袋消費する。一週間分、買うとしても七袋以上の購入が必要だ。七袋ってことは三万五千円か。


 優勝賞金は百万円だった。


 いっそのこと十万円分の購入をするか。すると、二十袋が手に入る。一か月分といったところか。


 俺はタブレット型の携帯電話――スマートフォンを取り出して、電話を掛ける。相手は五十海だ。


 ぷるるる――と呼び出しが二回ほど鳴り、通話は開始される。


『もしもし』とスピーカー越しから五十海の声がする。


「ああ、五十海? 俺だ、戌井だ」


『うん、どうしたん?』


「《デウス》をさ、二十袋ほど買いたいんだけど」


『二十? それはまた大量購入しますね』


「優勝賞金も入ったから、この際、一か月分をまとめ買いしようかと思って」


『わかった、オーケー。ただ、二十袋となると仕入れないといけないからさ、今すぐにってわけにはいかないよ。今から仕入れるとして……そうだね、今日の午後五時に、僕の部屋に来て。用意しとくから。あ、お金も忘れずに。二十袋となれば、十万円だね』


「うん、ちゃんと用意しておくよ」


『毎度ありー。じゃ、五時に待ってる』


 そこで通話は切れた。


 さて、とりあえず、お金の用意をしなくては。


 時間もそろそろ昼になる。


 昼飯を食べるため、そして十万円を下ろすために、俺は外出をすることにした。

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