rave
Lefter
第1話
俺は家路に向かう途中、路地裏を歩いていた。
バーン
後方から聞こえた銃声が俺の身体を突き抜けた。
じわじわと胸に激痛が走る。どうやら何者かに撃たれたようだ。心当たりはない。意識が薄れていく。。。
さてある廃墟状態のライブハウスに場面は移る。ステージに人知れずスポットライトが灯る。バーテン服を着たきつね目の男がそこには立っていた。そして、傍にある檻の中でベッドに寝かされている男が一人。
そしてきつね目は語りだす。
"彼は中途半端な男だった。幼少期からやることなすこと中途半端に終わっていった。
習字、バスケ、ギター。。。
実家には突き通せなかったガラクタが無惨に転がってる。
それで高校を卒業にあたり特にやりたいこともなかったため、現在は工場勤めに至っている。
たまたま内定をもらった工場が県外だったため、やむなく1人暮らしをしている。かれこれ5年ほどになるようだ。
そんな中途半端な彼が、もし何かに夢中にならざるを得ない状況に立たされたらどうするだろう?"
きつね目のスピーチが終わり深々とお辞儀を済ませた。
その直後、ベッドの男は深い夢から醒めたように目を覚ました。
大きく伸びをし欠伸した後、男は目をパチパチさせてしばらく自分の身に起こったことを思い出そうとしている。
だが完全にこれまでの記憶がない。まるで裸同然で未知の世界に放たれたようだ。
恐怖。絶望。喪失。まだ頭の片隅に残っているその言葉が彼の頭を巡る。
そして記憶を失った彼はそばにいるキツネ目に気づき問いかけるのだ。
「私は誰なんですか?そしてこの世界は?」
キツネ目は微笑みながら応える。
「さあ私にもあなたが誰なのかわかりません。この世界については争いを嫌う世界です。それにより誰もが孤独を抱えている。そんな世界ですね。」
キツネ目の応えに男は目を伏せ、ベッドのシーツを握りしめる。そうしてこう呟く
「そうですか。私はこれから何のために生きればいいんだろう。」
キツネ目は待ってましたとばかりにその呟きに応える。
「何のために生きる?それでは私から一つヒントを与えましょう。」
そしてキツネ目がパチンと指を鳴らす。誰もいないはずのライブハウスの客席入り口付近にスポットライトが灯る。そこには20代前半のスーツ姿の女性が立っていた。彼女はキョロキョロと周りを見渡し、私?という顔で自分を指差す。
ベッドの男も彼女に視線を移す。
キツネ目は彼女に応えるように頷き、男に説き伏せる。
「では記憶がないあなたは彼女と一緒に暮らしていただきましょう。それで何かしら得られるはずです。」
そしてキツネ目は女性にお願いをする。
「申し訳ありませんが、彼と一緒に暮らしていただきませんか?」
そして女性は、完全に呆気に取られた顔で5分ほど時間を経て、悶え考えた末に応える。
「まぁいいですよ!部屋も狭くないし。仕事から帰ってもどうせ暇です。」
キツネ目はホッとするとともに、内心軽すぎる応えに「こいつで大丈夫か」と少しの不安を抱いた。
キツネ目はまたパチンと指を鳴らすと男女は意識を失う。
「ではお願いいたしますよ。。。ときどきプレゼントを贈りますから楽しみにしていてくださいね。」
rave Lefter @suzu_yu
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