【序章:4】ジョブ選択

「以上が、【属性】のあらましと【無属性】についてになります。他になにか質問はありませんか?」

「……そうだな。それぞれのジョブについて有利に働く属性、不利に働く属性っていうのはあるなら教えてくれ」

「もちろんございますが、それはジョブを選択してからではないとお教えできない事になっていますので、ご了承下さい」


 あるのか……。まあ、そもそも自分が他に何の属性を有しているかわからないんじゃ対策もなにもあったもんじゃないか。


「まあ、仕方ないか。わかったよ。じゃ、次は【アビリティ】と【基本スキル】について頼む」

「【アビリティ】はそれぞれのジョブならではの能力になります。剣士の【アビリティ】は【盾装備】ですね」

「何か地味だな。楯ぐらい他の連中も持って装備することぐらいできるだろ」

「はい。新世界エレクザードでは楯は防具としてよく利用されております。ですが、効果のある楯ほど重く、それを常時持ちながら魔物と戦い続けるのは至難といわれております。ですが、この【楯のアビリティ】があることにより、【MP】こそ消費しますが、自在に扱うことが可能となっております。【楯】の中には【魔力】を含んだものも多く、楯自体が持つ【属性耐性】や【それ以外の効果】もあるとされております」

「なるほどな。まあ、木の楯ならともかく、鉄製の楯になると重くて持ち運べないからな」


 それぞれの認識が俺のゲーム知識通りなら別に構わないんだが、思い込みや勘違いでしたじゃ済まされないからな。基本から理解しておかないと。

 続けてくれ、とイザベラに先を促す。


「はい。それにはまずこちらの【必須スキル】に小玉をお入れ下さい」


 俺は言われるまま、イザベラが出した画面の【覚醒】と書かれてあるあるスロットに小玉をはめ込む。

 小玉は赤い光を灯し、【覚醒】の文字を浮かび上がらせた。

 それと同時に、俺の体がぶるるっと震えた。

 悪寒とかそういう感じでなく、なにかが体の中に入ってきた感じだ。体ないのに。


「続いて、こちらの【一般スキル】の【鑑識】のスロットにも小玉を入れて下さい」

「わかった。これってさっき言ってた、進行上【知識】として必要な8個の小玉の数にはいっているのか?」

「はい。その通りです。【転生】【記録】【覚醒】【鑑識】そして【ジョブスロットの解放】、【ジョブ獲得】【砂時計の時間】で7つ。あと1つは後にお話しいたします」

「わかった」


 【鑑識】のスロットに小玉をはめ込む。

 これもまた赤い光を灯し、【鑑識】の文字を浮かび上がらせた。


「いかがですか? わたくしをみて【鑑識オン】と呟いてみて下さい」

「……【鑑識オン】」


 俺がそう呟くと同時に、ふっとイザベラの頭の上あたりに文字が浮かび上がった。


 ・イザベラ <女・??歳>

 ・Lv.??

 ・【ジョブ】 案内人

・??


 と書いてある。

 名前、性別、年齢、【ジョブ】あと、??


「それが、今のあなたから見ることのできる、わたくしの【鑑識】内容になります」

「年齢不詳なんですけど」

「【鑑識Lv】が5になったら見えるかもしれないわね、坊や」

「心に込めておくよ、お姉様」


 お互い「ふふふふ」と笑い合う。36歳より上ですねわかります。


「また【鑑識】で自分のステータスを確認することができます。自分のステータスだけは【MP】を消費せず、念じるだけで見られるようになっています」


 なるほど。では【鑑識オン】俺。


 ・任田孝弘 <男・36歳>

 ・Lv.??

 ・【ジョブ】??

 ・人族


 おーでたでた。イザベラにあった、最後の【??】には種族が入るのか。


「ん。【鑑識】の効果を確認したぞ。【鑑識】で見られるのは、名前、性別、年齢、Lv、ジョブ、種族だけなのか?」

「【鑑定】スキル自体にもレベルがございます。鑑識Lvが1つ上がるごとに、より詳細なデータを見ることができます。先ほどお話しした【属性】についても、Lv2からの情報となります」

「B/W/HとかもLvによっては調べることができるのか?」

「可能でございます。ですが、【鑑識】スキルが存在するのと同時に【暗幕】スキルも存在し、【鑑識】が効果をなさない場合がございます」

「ああ、なるほど。そりゃまあ、個人情報を赤裸々にされちゃたまらないものな。見られた方も気分悪いだろうし」

「はい。【選出者】同士においては、情報は戦術の一環。お互いの身分を隠すことは当然の行為と言えるでしょう」


 ん? 今おかしなこと言わなかったか。


「……つまり、新世界では知らない町に入るたびに町人全員から【鑑識】を受けるわけだな」


 想像すると気持ちが悪い。

 【鑑識Lv5】とか持ってるヤツがいたりしたら、俺の恥ずかしい情報がダダ漏れじゃねぇか。

 らめぇぇ、体脂肪とかバツイチとかバレちゃぅぅぅ。


「いえ。あくまで【鑑識スキル】は【選出者】のみが扱えるものです。新世界エレクザードに住むものたちにとって、【鑑識スキル】は認識できておりません」

「ええと、つまり……」

「【一般スキル】、【ジョブスキル】は、もともと【選出者】が創りだしたものであって、新世界エレクザードに暮らす方々には、ジョブにより受ける恩恵は――」


 イザベラの指が動き、目の前の画面には、先ほどの【剣士】のジョブ欄が映し出される。


【剣士】

・識別色:緑

・オーブスロット:片手剣・両手剣

・特性:HP中上昇・腕力小上昇・敏捷性小上昇

・短所:魔力属性に耐性の偏りがある。毒属性にやや弱い。

・アビリティ:盾装備

・基本スキル:両手持ち


「【特性】【アビリティ】【基本スキル】の3種類の効果のみ受け取ることができるのです。【選出者】はさらに【一般スキル】および【ジョブスキル】を【ジョブLv】をあげることによって獲得していくことができるのです」

「新世界の人間にはLvがないのか?」

「ございます。ジョブを身に就け、魔物を刈り続けることにより、【ジョブLv】が上がり、より強くなることができます。しかし、【鑑識スキル】がないため、自分自身のステータスを見ることができず、【小玉】の操作も行うことができません。新世界エレクザードの【剣士】は【両手持ち】の基本スキルだけで日夜戦い続けています。

 基本スキルの【両手持ち】は、MPを消費し、通常攻撃の1.5倍の威力があります」

「なるほど。そうなると【選出者】が有利な世界ってことになるな。【ジョブLv】を上げまくってスキルを覚えまくったら、【選出者無双】とかできるようになるんじゃないか?」

「新世界エレクザードでは、そのような方々が【勇者】【賢者】【英雄】あるいは【魔王】などと呼ばれ、あるものには尊ばれ、あるものには畏怖されております」

「勇者と魔王ね。もともと同じ世界の人間なんだから、仲良くできないものなのかね」


 まあ、異世界に送られるなんてことなくても、人間から諍いを無くすことなんて、できないだろうしね。


「それに【選出者】の方々も、【転生】する先が【種族】の違いによって、異なる立場を有することになりますので、一概に善悪の判断はできかねますが」

「あー。そっか種族とかってあるんだっけか。イザベラ。全体的に他種族への【転生先】は何が多いんだ?」

「やはり人気があるのは【エルフ】でございます。続いて【夜魔族】でしょうか」


 生まれかわるなら美男美女がデフォの【エルフ】。【夜魔族】って名前からして多分【吸血鬼】とかそんな感じだろ。


「だろうな。悪い、脱線した。続けてくれ」

「話を戻しますと、【鑑識】と【暗幕】はスキルスペックとして拮抗しているため、【鑑識Lv1】では【暗幕Lv1】スキルを持つ方の情報を完全に読み取ることができません。ですが、【鑑識Lv2】であれば【暗幕Lv1】のスキルを抑え、【鑑識Lv1】程度の情報を読み取るとこができます」

「わかった。要するにLvの高い方が有利なわけだな」

「その通りでございます。そして、各【スキルレベル】を向上させたり、新しいスキルを習得するためには、先ほど話したとおり、【ジョブLv】上昇ごとに得られる【小玉】を使いカタマイズしていっていただきます」

「わかった」

「では、ここまでで何か質問はございませんか? なければ【ジョブ選択】を行っていただきたいのですが」

「……そうだな。基本的なことだが、【Lv】、【HP】、【MP】、【経験値】について教えてくれ」

「わかりました。【Lv】は【ジョブLv】のことを指します。【ジョブLv】は新世界エレクザードに存在する全ての生命体を【オーブスロット】付きの武器で殺すことにより、【魔力】を吸収――つまり、魔力を吸収する行為のことを【経験値を得る】と表現します。

 そして、魔力がある一定の量溜まると、【オーブスロット】から小玉が創られます。これを【鑑識】を使って、スキルなどに振り分けていきます。つまり、【オーブスロットから小玉がいくつ創られたか】を示したのが、【ジョブLv】ということなのです」


 つまり、【経験値】を得るためには、【ジョブ】を身に就けた上、魔物等を【オーブスロットの入った武器】を通して倒す。そんな血なまぐさいことを繰り返さないといけないってことか。


「続いて、【HP】【MP】ですが、【HP】はその者の【体力・生命力】を数字化したものになります。【MP】については、あなたの世界にはない概念でありますので説明が難しいのですが、【魔力に変換することのできる生命エネルギー】と、お考え下さい」


 ……まあ、確認のための説明だったんだけど、Lv、HP、MP……世界観がまんまゲームの使い回しみたいで、ひどく憂鬱な気分になる。

 ゲームの世界で働かされるキャラクターたちはこんな気分なんだろうか。

 ばかばかしい。俺が俺で。俺が俺だ。


「では、ここまでで何か質問はございませんか? なければ【ジョブ選択】を行っていただきたいのですが」


 さっきと同じ台詞をイザベラが使う。あと一度使わせてやろう。


「……さっき【選出者】同士においては、情報は戦術の一環。お互いの身分を隠すことは当然の行為と言える、と言ったよな」


 【記憶】のスキルがあるおかげか、一言一句間違えず記憶している。


「はい。申し上げました」

「新世界での【選出者同士】の立場って言うのは、どんな感じなんだ?」

「【目的】によりますが、その多くが利害関係を一致させることができると思われます。【目的】のためにパーティを組むことも珍しくはありませんが、新世界エレクザードは大きく広く、【選出者同士】が出会う確率もそう多くありません」

「俺の目的って言うのは、確かアステアのオーブを探してここに持ってくることだったな」

「はい。他の【選出者】を見つけ、パーティを組むことができたなら、より安全且つ容易に目的を達成することができることでしょう。ですが、他の【選出者】に出会うことは稀で、多くの【選出者】は新世界エレクザードの住人たちとパーティを組み、目的の達成のために日々邁進しております」


 新世界エレクザードという異世界の中で、100人を見つけ出す。

 それは砂浜から……いや数人くらいなら出会えるかもしれない。勇者とか魔王とか、名の通った存在になっていれば見つけ出すのはそう難しいことじゃないだろうけど、パーティを組めるかはまた別問題だろう。

 他人の面倒ごとに手を貸すゆとりのある心境じゃないかもしれない。なんせこの世は……じゃなかった、新世界エレクザードは魔物がうようよいる危険な世界らしいからな。

 ネトゲで言う協力プレイってのも、ネトゲやったことがない俺からしてみれば未知の世界だ。

 だからといって、リアルな世界では、俺は部屋に引きこもっていたわけでもないし、対人関係も悪くない。おかしな病気はないし、それになにより、一度は結婚していた。

 ……。まあ、【選出者】って言っても、元は同じ境遇の人間だろう。ゲーマーだけを選りすぐった訳じゃないだろうし、そもそもゲーム自体知らない人間の方が多いはずだ。

 ひょっとして、ゲームは知らないけど戦争は知ってる、とか言う人間もいるかもしれない。だからって、出会っていきなり好戦的な行動を取られることもないと思うけど。

 でも、ネトゲの中には【PK】とかいう恐ろしいものもあるらしいからな。


「イザベラ【PK】ってわかるか?」


 試しに聞いてみる。PKが何の略かわからんが、ネトゲでプレイヤー同士がしばき合うということだけは聞いたことがある。


「つまり、『選出者同士の争いはあるか?』という意味でしょうか?」

「そうだ。話が早くて助かる。で、どうなんだ?」

「答えは【Yes】になりますね。【選出者同士】の争いやトラブルは数多く報告されています」

「そうか。するとやはり、装備品の強奪とか相手を倒すことで、他より多くの経験値が得られるとかかな」

「それはあるかもしれません。希少な防具や武器であればあるほど、殺してでも奪い取りたいという気持ちが起こるのかもしれません」

「そういうのは、イザベラの方で処罰するとかできないのか? 立場的にその世界の管理人ぽいし」


 ネトゲとかでいう、アカウント取り消しとか、ネットポリス出動とか。


「申し訳ありませんが、わたくしにそのような権限はありません。わたくしの立場は【案内人】。【選出者】様を新世界エレクザードにお連れするのが役目と心得ております」

「新世界の中で、人殺しが行われていたとしても、知らんぷりってわけか?」

「もとより他者の命を奪うのが新世界エレクザードでの生存・共存の要となっておりますので、ご了承下さい。ですが、もっとも相手は魔物になると思いますが」

「そうか、魔物がでるんだったな」


 どんなゲームであっても大概のRPGなら主人公と相対する敵が存在するわけだしな。そこで斬った張ったやらかしてたら、生きる死ぬに慣れてきて、それで殺人に至るんだろうか。

 現実だと【犯罪行為】。ゲームだと【正当防衛】。もしくは。


「盗賊とか存在するのか?」

「数多く存在するとご報告を受けております」

「報告ってのは……?」

「この場に戻ってこられた【選出者】様方から終始報告を受けております。わたくしの新世界エレクザードに関しての知識は、データ上にあるものと、【選出者】様からのご報告を介してのみでございます。わたくしは新世界エレクザードの概要しか存じ上げておりません。未だその世界をこの目で見たことはございませんので、ご容赦下さい」


 そう言って、イザベラは頭を下げた。

 本来なら「ふざけるな」と怒り出すところだが、これ以上状況を悪化されたくはない。

 しかし、自称【案内人】が現地視察もしていないなんてどうなの。


 そしてイザベラは【盗賊】などについての説明をはじめた。

 盗賊とひと言でいっても様々あり、町中では自警団がいるのでそういう行為は滅多にないが、町の外や、城壁の外になるとしばしば現れるそうだ。

 それに【盗賊】にも種類があり、というか人族以外にも【ゴブリン】や【コボルト】など、そういった種族が集団で現れては暴行し金品を強奪していってるそうなのだ。

 町の城壁の外に出るときは気をつけましょうと、イザベラは締めくくる。


 と、そこでまたもやピリリリ、ピリリリとアラームが鳴る。

 もう1時間経ってしまったらしい。考え事をしている時間が多かったせいか、時が経つのが早すぎる気がする。

 俺はイザベラに促されるまま、小玉を砂時計のスロットに入れた。


「では、ここまでで何か質問はございませんか? なければ【ジョブ選択】を行っていただきたいのですが」


 イザベラに促される。

 俺は「わかった」と頷いた。改めて【ジョブ選択画面】に向き合う。


 剣士。

 戦士。

 魔闘士。

 弓術士。

 治癒士。

 魔法使い。

 シーフ。

 槍術士。

 幻術士。

 砲撃士。

 暗黒剣士。

 ネクロマンサ-。

 召喚士。

 バーサーカー。

 魔剣士。

 竜騎士。

 アサシン。

 精霊使い。

 錬金術師。

 薬術士。

 魔物使い。

 呪術師。

 侍。

 海賊。


 円を描くように24種類のジョブがそこに表示されている。

先ほどイザベラから聞いた話では、多くは【選出者】が創り出したものらしい。

 聞けば、本来は半分ほどの数のジョブしかなかったという。それが今では24種にまで増え、今もまだ新世界にいる【選出者】たちは、新しいジョブを発現させようとしているらしい。

 ジョブ自体は、基本ひとりにつき1つのジョブにしか就くことができない。

 それではなぜ新しいジョブが発現されるか。

 それが【セカンドジョブ】と呼ばれる、いわば【転職】なのだ。

 【転職】なんて言うと、就職先を変えたりすることだが、この場合、新しいジョブを新たに選択できるようになるのだという。言ってみれば副業扱いになる。

 で、その副業の斡旋は何処でしてもらえるのかって言うと、まさに「ここでしょっ!」というわけで、イザベラがハローワークよろしく、ここはダーマの神殿かよってつっこみたくなるが、もちろん、ただでやってもらえるわけではない。


 【目的達成】で、ここに生きて戻って来たときに、選択できるらしい。


 ・記憶を残したまま、元の世界に戻るか。

 ・記憶を消してもらい、元の世界に戻るか。

 ・セカンドジョブを手に入れて、新世界エレクザードで隠居生活を送るか。


 どちらにしろ、目的達成でゲームクリアになるらしい。

 そのクリア特典として、この3つを選ぶことができる。


 それでその【セカンドジョブ】だが、たとえば基本ジョブの剣士が、既存の魔法使いを【セカンドジョブ】として選び、ジョブレベルを上げていくと【サードジョブ】が産まれるらしい。

 剣士と魔法使いの合いの子なので【サードジョブ】は“魔剣士”が手に入る。

 その【サードジョブ】として産まれた“魔剣士”は晴れて基本ジョブとして登録されるということになるらしい。


「それで、その魔剣士っていうのは強いのか?」

「魔剣士についての【知識】が必要でしたら、小玉をお使い下さい」

「ああ、いや……。説明は大雑把でいいんだけど。選ぶかわからないジョブにまで小玉を使っていいものか、判断できない。迷うな……」

「いいえ。これ以上はお答え……ああ、そうでした。では、小玉をひとつジョブ選択画面中央の、先ほど小玉を入れたその隣にはめ込んでみて下さい。全ジョブの情報開示の幅が広がります。それぞれのジョブの特長と、その【アビリティ名】をお教えすることができます」

「なんだ。それはいいな。さすがに残り23個使って全部のジョブ情報聞くのも無駄かなって思ってたところだし」

「はい。ですが、それにより各ジョブのスロットを選択しているわけではないので、開示情報も少なく、改めてお決まりのジョブを選ぶときにはジョブスロットに小玉を入れていただく必要があります」

「わかった。じゃ、入れるぞ」


 俺は小玉をジョブ画面中央にある、空きスロットに小玉をはめ込んだ。

 ……ふと、その隣に空きスロットの数が、まだいくつか空いていたことに疑問を持たなかった訳じゃなかったが……。

 小玉は赤い光を灯し、イザベラは満足そうに口を開いた。


「では、どのジョブからお教えしましょうか」

「じゃあ、とりあえず時計回りに【戦士】から行こう」


 イザベラが指を動かす。


【戦士】

・識別色:??

・オーブスロット:??

・特性:??

・短所:??

・アビリティ:あらゆる武器が装備使用可能

・基本スキル:??


「【戦士】の特長といたしまして、やや攻撃に特化したかたちとなっておりますが、アビリティにもありますように、全ての武器にオーブスロットが付き、攻撃の幅が広がることでしょう」


 ――魔闘士


【魔闘士】

 ・アビリティ:気脈


「【魔闘士】は、身のこなしが早く、動体視力にも優れ、アビリティにもある【気脈】を操り、武器や防具を持たなくても、素手で相手を圧倒します」


 ――弓術士


【弓術士】

 ・アビリティ:イーグルアイ


「【弓術士】は、弓と矢で敵を射止めることのできる遠距離系スタイルの持ち主です。持ち前の身軽さで動き回り、相手との距離を取っての攻撃を得意としています。アビリティである【イーグルアイ】で木の上からの狙撃手として定評があります」


 ――治癒士


【治癒士】

 ・アビリティ:治癒魔法


「【治癒士】は、主に回復魔法で傷を癒したり、毒や麻痺などの状態異常にも対応でき、パーティを後方支援する要として重宝されることでしょう」


 ――魔法使い


【魔法使い】

 ・アビリティ:四属性魔法


「【黒魔道士】は、【火炎】【氷結】【疾風】【電撃】の四属性魔法を主に扱うことができ、後方からの援護、もしくは属性魔法を中心とした攻撃型の魔法スタイルとなっています」


――シーフ


【シーフ】

 ・アビリティ:盗む


「【シーフ】は、素早い身のこなしと器用さ、直感に優れ、主に迷宮での活躍に定評があります。アビリティである【盗む】は、ある必須アイテムを身につけることにより、魔物が隠し持っているアイテムなどを【盗む】ことができます」


――槍術士


【槍術士】

 ・アビリティ:貫通


「【槍術士】は、中近距離を得意とし、常に相手と自分との間合いを把握できるため、受け攻め共に他者の追随を許さないバランスの良さと、槍身一体となり疾駆する姿は優美とも言えるでしょう。アビリティの【貫通】は、その得意とする間合いを一歩踏み出すことで、複数の敵に攻撃を行うことができます」


――幻術士


【幻術士】

 ・アビリティ:幻術


「【幻術士】は、主に味方のステータス上昇効果の魔法や、逆に敵の視力を奪ったり、感覚を狂わせたりと、【精神属性】の魔法を得意とし、主にパーティ戦略の補助的役割を担う重要な存在となります」


――砲撃士


【砲撃士】

 ・アビリティ:急所を狙う


「【砲撃士】は、革新的な技法で造られた道具を用い、【魔力】を付与した弾丸を撃ち込むことのできる狙撃手です。アビリティ【急所を狙う】は相手の弱点を見つけ出し、一撃で仕留めることができます」


――暗黒剣士

 ・アビリティ:暗黒


「【暗黒剣士】は、MPがございませんが、その分HPが高く、その全ての【スキル】を自らのHPを魔力に変換して使うことができます。アビリティ【暗黒】はHPを糧にした【○○属性】の魔法を使うことができます」


――ネクロマンサ-


【ネクロマンサ-】

 ・アビリティ:宿罪


「【ネクロマンサ-】は、死者を蘇らせ、傀儡として操ることで間接的に相手を攻撃することができます。一体のクグツを強力に育て上げることもでき、または、死者の軍団を作り上げることもできます」


 …………。

 …………。

 …………。


 ピリリリ、ピリリリと警告音。


「……どうかなされましたか?」


 少しの間、俺は呆としていたのか、砂時計の音ではっと我に返った。

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