第5話 学院にて

エリス–エリス・ファーレンガルト−は、目の前の光景が、信じられなかった。

少し前に、風王騎士団シルフィードの団員から、学院都市で魔精霊が暴れているという連絡を受け、急いで現場に到着したが、その魔精霊はちょうどよく黒い精霊魔装エレメンタルヴァッフェを使っていた人物に倒されていた。普段なら、相手に礼を言うだけでよかった。しかし、今回はそうはできなかった。黒い精霊魔装エレメンタルヴァッフェを持っていたのは、白髪の長髪に炎よりもなお紅い目をした…………

ー男の精霊使い?そんな馬鹿な⁉︎

周りの団員たちも、

「男の精霊使い?見間違いかしら?」

「実は女性なんじゃないかしら。」

「もしかしたら、精霊に憑かれているとか?」

「調べた見た方が早いんじゃない?」

ー調べる必要が、あるな

そう考えたらいい、あとは早かった。

その青年を呼び止め、風王騎士団シルフィードの本部まで連こ…同行してもらったのだ。

しかし、何をしたらいいのかもわからないので、学院長に報告しようと、学院長の部屋に行くことにした。

その後に起こる事を、彼女はまだ知らない…



ーー帰りたいなぁ〜

僕は、エリスという少女らによって拉致され、連れてこられた建物の中で、ため息をついた。

ーめんどくさい事になったなぁ、ルナのことどう誤魔化そうかな?

彼女たちに、精霊魔装エレメンタルヴァッフェを展開していたところを見られた事は失敗だったか、と思っている。しかし、あそこで使っていなければ、あの親子は助けられなかった。後悔は、あんまりしていない。

相棒であるルナは先程から、元素精霊界アストラル・ゼロに帰還している。

➖終わったら、召喚してね〜、とか言ってたな。まだ、終わりそうにないなぁ。

僕はまた、ため息をついた。



アレイシア精霊学院の廊下を、1が歩いていた。旅をしていたのだろう、薄汚れたロープなどの旅荘姿で、なぜかあちこちに焼けた跡があった。青年–カゼハヤ・カミト–は、ため息をついていた。カミトは、この学院の学院長を務めている魔女に呼び出されて、ここに来ていた。しかし、森の精霊に迷わされて、迷い続け、この学院の生徒の1人に殺されかけた。更に、拘束までされたのだ。カミトは、そのような事をされて、喜ぶような性癖は持っていない。そして、魔女に会いに行く、これが一番気の重い事であった。

そうこう考えているうちに、学院長室の前まで来たが、何か話し声が聞こえる。

–少し、待っているか。

この選択が、彼に何をもたらすのか、彼はまだ知らない。


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