第3話 邂逅そして…
4年前 オルデシア帝国辺境 「教導院」
「ねえ、私と契約しない?」
少年は最初、何を言われているのか理解ができなかった。「契約」というからには目の前の少女は精霊なのだろう。それもかなり強い。それなのに、目の前の少女は「契約」における常識を知らないのだろうか?わけもわからないまま、少女に尋ねてしまった。
「あんた、僕が女に見えるのか?」
「?男の子じゃないの?」
少女は心底不思議そうに首をかしげていた。
「精霊契約は女にしか許されていない。男の 精霊使いなんて魔王ぐらいしかいなかったはずだけど、知らないの?」
「知ってるけど?」
…頭が痛くなってきた。目の前の少女はきちんと精霊契約について知っている。なのに、なぜ僕と契約をしようなどというのか…
少年は何も言うことができなくなっていた。
すると、少女の方は待ちくたびれたのか
「ねえ、私と契約するの?しないの?」
「僕は男だから、する資格からないじゃないか、なんでそんなことを聞くんだ?」
「?」
少女は少年の言葉を聞いてさも不思議そうに、
「あなたは、男の精霊使いじゃないの?」
「は?」
少年は理解ができなかった。男の精霊使いなど、少年は1人しか見たことがないことがない。
「それはどういうことだ?」
少年は半ば確信を持って少女に聞いた。少女の答えはほぼ予想通りで、
「ここの教導師?とかいうのに何かされたんじゃないの?とりあえず、あなたは契約出来るの!早く契約しないと、死ぬよ?」
…もう、選択肢はないのかよ…
少年は聞きたいことは山ほどあったのだが、ここから逃げることを優先すべきだな、と思い、
少女と契約する決心をした。
「…じゃあ、僕は何をすればいい?」
「私の後に続けて
ー旧き聖剣に封印されし、気高き精霊よ!
ー汝、我を主君と認め契約せよ、さすれば我は汝の鞘とならん!
ー我は三度、汝に命ずる、汝、我と契りを結びたまえ!
周囲には神威と炎が嵐のように渦巻いている。
一瞬、周りが見えなくなるほどの光が放出されると、突然静かになり契約の儀は終了した。
…あー…疲れたー‥
「これで完了♪これからよろしくね、えーと誰だっけ?」
目の前の少女−精霊は笑顔でそのようなことを聞いてきた。
「今更かよ… あー僕はハヤテ。ハヤテ オウカ。」
「うん♪よろしくね、ハヤテ♪私はルナ。ルナリア=アルデヒルト。」
これが僕と精霊−ルナとの旅の始まりとなった。
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