作品紹介の渋い声の下りでもうちょっと笑っていましたが、実際作品を読んでみると別の意味でものすごく面白い。ライトな読み心地にみせかけてハードなSFというのはSF好きならすぐ挑戦したがるものですが大抵はライトな語り口で役にも立たない科学知識の羅列ができあがります(自分のことかぁ?)。対してこれは一話を読むだけで作品への十分なこだわりが感じられます。作品の冒頭に著者の注釈が入るのですが、そこからしてユーモアたっぷり。虚数空間のアイディアは読み手の知的好奇心を煽りますし、どの登場人物の語り口もウィットに富んでいて下品な大笑いとは違うしっかりとした面白さを感じさせてくれます。とにかく、2、3話まで読んでみましょう。続きが気になっていつの間にか最後まで読んでますよ。たぶんね。