EPISODE.XIV 外界の事情
「ホホホホ、なるほどのう。して、お主は『
いやいや、笑いごとじゃねーよ、まじで!
目ぇ覚ましたら自分の記憶は穴だらけ、おまけに某スーパーロボットよろしく両腕がロケットパンチに改造されちまってんだぞ?
こんなの悪夢以外のなにものでもねーよ。
「ふぅむ、それでお主たちは
「……はあ? 何だよ、いねーのか?」
おいおい、結構な距離を歩いてきたのに無駄足かよ!
「ホホホ、何やら『神界』の方で事件が発生したみたいでのう。『仙人界』も少々ごたごたしておるのじゃ『人間界』も荒れ放題じゃし……いやはや、困ったものじゃのう」
はあ……? 『神界』に『仙人界』に『人間界』ぃ??
何を言ってんだぁ……こいつ?
超意味わかんねー?
まるで世界がいっぱいあるみてーな言い方じゃねーか?
「んん? その反応は、お主……もしかしてこの世界のことを何も分かっておらんのか? いくら記憶が混乱しているとはいえそれはちょっと大事じゃのう……どぅれ、『
そう言うと自らを『
「まず、この世界は大きく分けて三つの世界で成り立っておる。一つ目は、人間たちが暮らす『人界』。二つ目は、仙人たちが暮らす『仙界』、三つめは、天上人たちが暮らす『天界』じゃ。そしてこれらの世界は基本的にそれぞれ不干渉とする取り決めがなされておる。……ここまでは良いか?」
「ああん、その、何だ? 普通の人間が暮らす『人界』。お前らみたいな変人が住む『仙界』つーのはなんとなく理解できたが……その最後の『天界』つーのはなんだ?」
「ふぅむ、『天界』というのは天上人……儂ら仙人や人間は勿論、この世界の歴史や文明、その他、森羅万象のすべてを司るといった、とーってもお偉い方々が住んでいる場所と言えば良いかのう。まぁ、『天界』は絶対的上位ゆえに我々と接触することはまずない。今は忘れてしまって構わんよ」
そういうと子牙は地面に書いた『天』の円に大きな×印を書き込んだ。
「さぁて、問題は儂ら仙人の住んでいる『仙界』じゃ……ここは細かく分けると二つの派閥が存在しておる。一つは、『
●『
= 山の仙人 = 超エリート
●『
= 海の仙人 = クズ、ゴミ、マジ死ね。
「あー、ちょっと待ってくれ、てめぇ自身のことを超エリート扱いすることは……まぁ、この際おいておこう。『
おいおい、『仙人』の時点でぶっ飛んでんのに次は『妖怪』?
『妖怪』っつーとあれか?
目玉が親父で墓場で運動会的な奴か……?
馬鹿ばかしいにもほどがあるつーの。
「ふぅむ、読んで字の如くそのままの意味なのじゃが……そうじゃな、分かり易く言うと才能を持った選ばれし人間が厳しい修行を経て
『
原理はよく分からねーけど古い道具なんかにゃ『魂』が宿るなんてことを聞いたことがある気がする。あー、記憶が混乱してっけど多分それと同じようなことを言ってるんだろう。
「そして問題はこの『
「ああん、おい、ちょっと待てよ! つまり今、この国が荒れてるのは……派閥は違げえーけどお前ら『仙人』のせいってことじゃねーか? お前らも同じ『仙人』なんだろう? そいつらのことを黙ってみているだけなのかよ!」
記憶が混乱している俺の目から見てもこの世界の状況を異常だ。この山道を歩いているだけで一体何度、野盗どもに命を狙われたか!
山道の端にはおそらくその野盗どもに襲われて身ぐるみを剥がされ……そして殺されたであろう。行商人やまだ幼い子供の屍が塵のように無残に転がり、その死肉を獣が貪っている光景も目にしてきた。
遺体を発見する度に墓を掘って弔ってきたが……あー、本当に気分が悪りぃ。
「無論、儂らも黙って見過ごすわけがない。奴らは仙界の名を穢す恥じゃからのう。そこで儂らはそのようなクズ仙人……仙界内では中途半端な力しか有しておらぬために居場所がなく、ゆえに人界に降りて人間たちへ害を成す……そんな輩を封じ込める『監獄』を創世したのじゃ」
そう口にしながら子牙は『仙』の円の横に更に1つ円を描き、それに『神』と書き記す。
「『神界』儂らは『
そう口にすると子牙は困った表情で自分の頬をポリポリと掻く……
「ここ最近、その『
「ピーッ、問題ですか!? 私の姉弟機に何か欠陥が!?」
おおう、ビビった……姉弟機に問題があったと聞いてロボ子がいきなり復活しやがった。相変わらず鼻から緑色の液体をダクダク垂れ流してっけど……あー、どうやら意識の方はしっかりと回復してきたらしい。
「ふぅむ、ロボ子よ……お主らには自動学習機能というものが付いているそうじゃな? どうやら今回はそれが悪い方向へと作用してしまったらしいのじゃ……この世界の現状を見た『
ははは、おいおい、なんじゃそりゃ?
つまり『
――マジで滅茶苦茶じゃねーかっ!
「ふぅむ、現世は乱世、混沌と化しておる……この一連の事象。偶然の一言で片づけて良いものか? 何者かの黒い陰謀を感じるのじゃが……まあ、今はそのようなことを考えている時ではあるまい、よっと!」
そう呟くと地面にかがみ込んで図を書いていた
「のう、お主。『ナタク』と申したか? 行く宛がないのであれば暫し儂と行動を共にせんか? この出会いは
はあ?
なんじゃそりゃ? 運命みてーなもんか?
そんな意味深な言葉と共に
―― EPISODE.XIV END ――
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