09

 ……どのくらい気を失っていただろうか。


「どないすんねんコイツ」

「どないするもなにも起こすしかないやろ。見とき」


 頭から冷たい水を浴びせられ、一気に意識を引き戻された。

 後頭部が痛む。まだ視界がチカチカしていて状況が把握できない。俺は拘束されたのだろうか。今の声は? あの女、関西系の組織の手先だったのか。

 周囲を見渡すには勇気が必要だった。きっと不穏な連中に取り囲まれている。手荒な真似しやがって。 

 大上さんは? 大上さんは無事だろうか。

 その一心で起き上がった俺の目の前に、その大上さんの顔があった。

 …………………………………は?


「あ、起きた」


 大上さんの隣には、件の金髪の女。

 二人仲良く並んで、俺を覗き込んでいる。


「ほら見い。なんともないやろ」

「せやかてやりすぎやでエマ……」


 ……ちょっと誰か。

 誰かこの状況、説明してもらえませんかね???

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